「「ヘレディタリー」と逆ベクトルのスリラー」ミッドサマー とけいさんの映画レビュー(感想・評価)
「ヘレディタリー」と逆ベクトルのスリラー
観てよかったと思いました。
というのも、今作を観る前に同監督の「ヘレディタリー/継承」を見て、心が180度ボッキリと折れたように恐怖を感じてるいたからです。
「ミッドサマー」を観て、「ヘレディタリー/継承」の恐怖が、なぜか半分ほど払拭されたように感じました。
「ヘレディタリー」が「呪詛」による死者の為の物語であるなら、今作「ミッドサマー」は「祝福」による生者の為の物語です。
(どちらもスリラー作品であることに変わりはないかもしれませんが…)
また、「家族」という題材を思うと、「ヘレディタリー」が現代社会の中の〈孤立〉を描いているとしたら、「ミッドサマー」は民族社会の中の〈連帯〉を描いている、と言えなくもないように思いました。
個人的には、まるでA面とB面のように…どちらが表か裏か分かりませんが、逆ベクトルで作られた、対のような作品だと思いました。
また個人的な、変な憶測ですが、「ミッドサマー」か「ヘレディタリー」か、どちらか片方だけ観た方が怖いのではないか、と感じました。
両方観てしまうことで、意外と自分は、心のバランスが少し取り戻せたように思います…。
映画そのものの完成度は高く感じられます。
劇中には様々な謎が散りばめられていますが、あまり気にせず、なんとなく観ても楽しめる(スリラーが大丈夫なら…)映画と思います。
どんな映画に似ているか、と問われれば、「楢山節考」のような映画、と思います。
グロテスクなシーンも一瞬ありますが、目を背けても内容はある程度分かるのでは、と感じます。
客層としては、自分が入った時は女性の方が多い印象でした。
見終わった後、どんな内容だったか話し合うのも楽しい映画かもしれません。