「SFで言うところのファーストコンタクトもの」ミッドサマー ShunActUさんの映画レビュー(感想・評価)
SFで言うところのファーストコンタクトもの
ヨーロッパ人が世界征服の際に原住民に殺されたファーストコンタクトに対する恐怖(この際原住民をその何千、何万倍も虐殺・収奪した歴史は無視する)を題材とする物語は、ジャンルとしてはSFが良く取り上げるテーマですが、異文化をヨーロッパの非キリスト教と定めた上で直球でホラーとしてやり切ったことはスゴいですね。
こーいうのはルーマニアあたりの架空の吸血鬼信仰をでっち上げて作劇するモノだという先入観がありましたけども、実在の信仰を取り上げたことで非常に高い緊張感を作品に与えていますので、全く効果的だと感じます。
当該宗教に対する差別的感情を喚起しそうな気もしますが、ひょっとすると残念ながら当該宗教は既に駆逐されており、要らぬ心配なのかもしれません。
さて、中盤頃から原住民の特異な死生観が露わとなり、現代人から見ると命がいかにも粗末に扱われているように感じ、また悪気なく禁忌を侵してしまった事により仲間にも被害が出るに及んで、「これは生麦事件と同じだな。つまりこれはファーストコンタクトをテーマにしたホラーなんだな」と感じてしまい、前段の感想を持つに至りました。
これが正統な評価なのかも自分では判断できません(まぁ生麦事件は直接的なネタ元ではないでしょう)が、一度そう感じてしまってからは原住民であるところの日本人としては、「こちらの倫理を理解できない不気味なモノとみなし、未開の蛮族とその信仰としてのカルトとして描画しやがって、ムカつくな」と感じるところもあり、しかしながらその描画、演出は真に美を追求しており決して粗末には扱っていないと感じるところもあり、感情が(久々にレビューを投稿する程度には)ぐちゃぐちゃに乱されました。感情を一つの所に納めきれないので、表層的に「ファーストコンタクトものを直球のホラーとして描くなんて凄いなぁ」程度の第一段として置くのが精一杯です。
(感情が落ち着いた頃にレビューを書き直してみたいかな)