劇場公開日 2020年8月28日

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「力強く美しい。」ソワレ はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5力強く美しい。

2020年9月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

痛々しくて、切なくて、滑稽で、無責任で、どうしようもなくて、でも力強くて美しい。
私はこんな1本を待ってました!

和歌山。ある事件をきっかけに始まる逃避行。でも決して愛の逃避行ではない。出会って間もない2人。
なぜ翔太はタカラの手を取って走り出したのか。
現実から逃げたかったのは翔太も同じだったから。

辿り着いた海岸。静かな波の音を聴きながら遠くを見つめる。寄り添うわけでもなく。そして「ソワレ」のタイトルコール。これはラストまで一瞬も目が離せないな、そう思った。

いつか終わると知りながらも走り続ける。どこまでいっても半端者の翔太とその前に1歩踏み出そうとするタカラ。
苛立つ翔太に「私の気持ちなんて分からない」とぶつける。
離れる2人。

対峙する。自分自身と。
所詮他人に分かるわけがない。
自分に向き合えるのは自分しかいない。
自分の罪に向き合えるのも。
もう逃げてばかりいられない。

そこには翔太の寝顔。ささやかな贈り物。
心を決めたタカラがスマホの電源を入れる。涙が溢れた。
神様は乗り越えられない試練も与える。でも逃げ道はある。
ありきたりで押し付けがましいかもしれない。
でもめちゃめちゃいいラストだった。

そして何より、村上虹郎と芋生悠がとにかく素晴らしい!これからも映画館で会いたい俳優さん。注目していきたい。

はるたろう