「3つの舞台のアクション」トリプル・スレット Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
3つの舞台のアクション
映画の冒頭、マハ・ジャヤのジャングル奥地にあるインドネシア軍?キャンプにいかにも悪そうな傭兵が急襲しようとしている。その道案内人が、主人公のパユとロン・フェイの2人。何故? 後にわかることだが、彼らは、人道支援目的だとだまされた連れてこられ、しかもそこにいたインドネシア軍側のジャカの奥さんも戦闘に巻き添えになって死んでしまいジャカの恨みを2人がかってしまう。傭兵の目的は?
場面が変わって、
"Love, and a safe place to call home."
なんて背中がこそばゆくなりそうな言葉をテレビで平然と言ってのける巨額の富を相続した女性・シェンが財を投じて、人道支援をするとテレビのインタビューに答えるところを闇組織のボスが見ていて、彼女を亡き者にしようと誘拐を企てスコット率いる武装傭兵部隊に命じる。 警察に逃げ込んだシェンと武装部隊に対抗する3人の運命は.........?
「マッハ!!!!!!!!(2003)」 あれから16年、多少雰囲気が変わったトニー・ジャーなのだけれども彼のトレードマークでもある ”CG・ワイヤー・スタントマン(スタンドダブル)・早回しを一切無し、唯一使うのが最強の格闘技ムエタイ。” そんな彼が、個人的には「マッハ!無限大 (2013)」以来のご登場となる。今回もタイを舞台にした武装部隊との銃あり、機関銃あり、ナイフあり、リボルバー・ グレネードランチャー を操る女子あり、と多彩な武器をこれでもかと見せ、しかも、そこに各アクションスターが持ち前のマーシャルアーツをこれでもかと競い合うように見せつけている。
ロン・フェイ役のタイガー・チェン。「カンフー・トラベラー(2018)」という一風変わったというか、個人的には訳の分からないSci-Fiカンフー映画にご出演していたのを思い出すが、今回のヘアースタイルとこの「カンフー・トラベラー」のヘアースタイルが180度違うところが笑えてしまうし、その変わったシナリオ、エイリアンを倒すロボットに備えるべく武装システムを開発するために過去のカンフーの達人の必殺技を教えを乞いにタイムスリップするってどうよッ?
敵の大将の悪の権化・コリンズ役にイギリスのスタントダブルやアクション映画で主演をしているスコット・アトキンスが務めていたが、そのアクションに対して40才を超えている年齢に反比例をするかのようにキレッキレの身体の動きに対して、”早送り”なんてショボいものは一切使わない、この人のアクション映画に臨む、その姿勢の真摯的なものが肌で伝わってくる。それと忘れてはいけないのが、笑顔のかわいいマイケル・ジェイ・ホワイトさん。彼はほかの映画でもトニー・ジャーと共演していて、例えば、ドルフ・ラングレン主演の「Skin Trade (2014)」で、その時、セリーナ・ジェイドさんも出演されていました。今回の映画では、ディズニーもびっくりの”ホワイトウォッシイング”なんて一蹴してしまうほどの悪役を好演されています。
一切の余分なものを受け付けない映画、そのシンプルな映画作りを受け入れるならこの映画を観ても納得のいくものと感じ、またワイヤーアクションやCGをこれでもか?と使った映画ばかり見ている方には多少の物足りなさを感じるかもしれない。それとこのシナリオ、不可解なラストの展開が.............訳の分からない部分も!?
2008年に設立されたエンタメ専門のWEBサイト・The AU Review
”Film Review: Triple Threat may not live up to its promise, but it is still an action-packed treat”の記事から「この映画”トリプル・スレット”は、アクションスターが出ているかもしれないけれど、アクションワンダーランドとは言えないものとなっている。しかし、彼らのパフォーマンスと荒々しいアクションシーンに対しては、マーシャルアーツの良いエンターティメント映画の一品として感謝を述べたい。」
映画とテレビの過去から現在までに特化した情報サイト・Film Inquiry
”TRIPLE THREAT: An Enjoyable, If Slight, Flurry Of Martial Arts Mayhem”の見出し記事から
「彼らがどれほどの印象的な才能があるのかはっきりとはわからないが、登場している3人には、どのように敵と戦うか知っている。つまり、結果として、彼らの才能を見せる場として、最高の洗練されたエンターティメント映画を作り上げている。」
余談として、数年前に亡くなったタイ王国のレイト・プミポン国王(ラーマ9世)、この国は渡辺謙さんがブロードウェイでも演じていた「王様と私(1956)」を上映禁止にしている(国が違えどインドも同じに上映禁止)。その理由ははっきりしていて、アジア唯一の列強に支配されなかった国で、この映画のモティーフになったラーマ4世は、イギリスに親書を自筆で出すくらいの賢人でしかもラーマ9世がアメリカを訪問された時もラーマ4世の人柄が映画の人物とはかけ離れた人柄であったことを述べている。しかもこの方がなくなった理由が、マラリアを撲滅するための調査に言ったジャングルで病気になったためとされている。心配なのはボンクラ失礼、今の国王...........!?
この映画でところどころで登場する、タイを代表するビールSingha Beer。現地の人はこのビールに氷を入れたりもする。個人的には、夏場など暑いときに一気に爽やかさを求めて真似したりもする。ビール通からすれば、もってのほかで「それは邪道だ!」なんてBooingされそうだが.........? それとタイ焼きめしも出てくる。その付け合わせとして、日本ではあまり見られないトマトやキュウリなんかも添えられている。