「自転車に乗れない自転車屋さん」今さら言えない小さな秘密 おちゃのこさんの映画レビュー(感想・評価)
自転車に乗れない自転車屋さん
誰にでも小さな秘密はあって、ときどき思い出しては古傷が痛むような心持ちになるがまたすぐに忘れる。人生の中で、ときどきちらつく程度の秘密に大きなスポットライトが当たることはなく、それが基盤になることもない。
自分の秘密にスポットライトが当たってしまったら大慌てだが、他人の小さな秘密にスポットライトが当たったときにはこんなにも滑稽さと愛おしさが発生するものなのかと、始終にやけっぱなしで鑑賞していた。小さな秘密を映画の基盤にするという視点のおもしろさを感じた。
笑わそうとしてない真剣な人が、実はいちばんおもしろかったりする。そんな人の様子をこっそりのぞいているかのような映画。
そして秘密やコンプレックスも他人事になればたちまち大したことではなくなる不思議。
そうやって自分のことを俯瞰できたらと思うが、やっぱり誰にでも秘密は必要で、人生のスパイスみたいなもの。
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