「群像劇の妙味、ここに極まれり。TVシリーズのファンにはたまらない最高のフィナーレ」ダウントン・アビー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
群像劇の妙味、ここに極まれり。TVシリーズのファンにはたまらない最高のフィナーレ
TVシリーズを知らないまま映画版へ飛び込むのは無謀だが、一族と使用人の物語を一貫して見つめてきたファンにとって、本作はいつも通りの安定したクオリティと言える。出番の少ないないキャラクターでさえ、その表情やセリフや仕草は決して「点」ではなく、これまで点描されてきたものの延長にある「線」。おびただしい数を配した群像劇を卓越した手腕でさばくあり方は、過去のどの特別編よりも凛として冴え渡っている。
階級社会のイギリス。変わりゆく時代を生きる伯爵一家と、使用人たち。彼らは出入り口も違えば、階段を超えると住む世界も違う。その立場をわきまえつつ、従者は貴族に敬意を払い、貴族は一族のみならず従者のことも気にかける・・・。シリーズを通して描かれた光景に一つの国家が集約されている、という見方も可能だろう。そして今回のラストには、ヴィスコンティの『山猫』のエッセンスが投入されているのではないか、とふと思った。
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