劇場公開日 2020年7月24日

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「ザ・高校演劇って感じが…」アルプススタンドのはしの方 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ザ・高校演劇って感じが…

2020年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

前半は良かった。具体的には、主役4人が心に抱えるもやもやとした気持ちが明らかになり、それが彼ら彼女らの行動に影響を与えるまでは。野球応援に来てはいるが、心そこにあらず思い思いを少しずつ打ち明けるさまはまさに青春といってもいいだろう。
しかし後半はあまり…正直、「あ、こういうシーン、高校演劇で何度も見たな」と思ってしまった。具体的には、面倒な先生の評価を覆すところ、己の心情や試合状況をすべて言葉で説明するところ、思いの高ぶりが叫びとなって発露するところ、斜に構えた子が感極まって泣いてしまうところ…。それ以外にも、演劇に限らないよくある展開の目白押しだった。

高校演劇から引っ張ってきた脚本とはいえ、もっと映画ならではの演出を詰め込むことができたのではないか。特に、わざわざ画面から外した試合の描写をすべて口頭で説明してしまうのはいかがなものか…。
また、登場人物のキャラはベタなものが多く、さらに各々が抱える悩みやその解決法もベタ。よく言えば王道ではあるのだが、ほとんど「アルプススタンドのはし」のみで進めるという映画では挑戦的な試みをしておいて、話の筋やキャラ造形がベタというのは、ちぐはぐな印象を受けた。
たとえば、「告白」や「何者」のような、むしろ演劇を思わせるような濃い口の演出があったら逆に好きになれたと思う。

サブレ