「自分のことなら悲劇、他人のことなら喜劇」ウエスト・サイド・ストーリー kekeさんの映画レビュー(感想・評価)
自分のことなら悲劇、他人のことなら喜劇
クリックして本文を読む
ダンスと音楽は心地よかった。
ミュージカル映画は踊り出すと途端に喜劇に見えてしまうが、
それはそれで楽しんでおきたい。
どちらにせよこの話、何が正しいとかダメだとかのメッセージ性は無いように思う。
「昔こんな話があったんだ」と知り合いを通して語り継がれ、
やがて自分の耳にも届いたかのような、そんなお話。
感情移入の着地点は抑えてから見た方がいいかもしれない。
感じたことは、
いざこざによって二人の死者が出て、ヒロインの心も死んでしまったが、
そこで何もかも終わったわけではなく、
街は解体され、残された人間は受け入れて生きるしかない現実に戻る。
そこは物語を通して何も変わらなかったんだなと。
何をやっても変わらないから何かにエネルギーをぶつける彼らに寄り添うも良し、
何も変わらないのに何やってんだこいつらと彼らを軽蔑するも良しである。
登場人物たちの間でも、鑑賞者たちの間でも、理解の方向が異なることは不思議ではない。
ただ現実、毎日同じような生活ばかりで現状を変えられないと嘆き、
酒か女か暴力かで消化しているとしたら、
それこそジェット団が置かれた環境と同じなのでは。
自分がいつのまにか、そんな変えられないループに落ちていないことを願う。
こんなことかすり傷だと言って死ねるほど、この世にはまだまだ未練があるのだから。
コメントする