「スピード感を持って生まれ変わった」ウエスト・サイド・ストーリー コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
スピード感を持って生まれ変わった
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率直に面白かった。
米トランプ政権からの、欧米における移民排斥の動きや、黒人・有色人種への白人警官の暴行殺人に対する抗議暴動など、こじれにこじれた今の時代に作り直した意義は大きかったかなと。
旧作=61年版はミュージカル舞台の映画化を明確に打ち出し、「このシーン、このシチュエーション」という感じで、場面切り替えをし、あえて舞台劇っぽく同一方面からのカメラワークを主に撮っていた印象だったのですが。
本作では現代ハリウッド風に、あちこちのカメラから、動きあるカメラワークにて撮影されていました。
スピルバーグといえば『激突』『JAWS』から続く、ヒッチコックやディズニー作品で育った世代らしいクレーンショットを多用した画面作り。
『ジュラシック・パーク』のような圧倒的スピード感。
旧作のようなもっさり感はなくなって、サクサクと物語が進みます。
いくらスピルバーグといえども、原作のミュージカルを大幅に変更することなく、ほぼそのままなのですが、「決闘後に2グループがそれぞれ敵討ちの抗争を続けるかグダグダする」くだりを短く切り上げたのは、見易さの上で大正解だと思いました。
また、街の開発で移民たちの棲家が潰されていく様が、旧作での「頭の悪い不良どもの意地の張り合い」にしか見えない決闘から、「追い詰められての出来事」に見え方がかわったのが、構成として実に上手かった。
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