草間彌生∞INFINITYのレビュー・感想・評価
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イノセントな前衛水玉戦士・草間彌生
新生渋谷PARCOの8階に入ったホワイト・シネクイントにて鑑賞してきました。
不仲な両親を持ち、特異な家庭環境で育てられたことから、強迫神経症や鬱病を発症しながらもアートを決して捨てなかった草間彌生。ジョージア・オキーフに触発されて渡ったニューヨークでは女性としても東洋人としても差別を受け、自ら生み出した作品さえも他作家から模倣と盗作を受けた。当時のアメリカはベトナム戦争、国の保守化、男性優位社会であり、時代は「前衛の女王」に優しくはなかった。失意のまま帰国した彼女を待っていたのは、追い討ちをかけるような故郷の人々の冷たい視線だった。
それでもアートを手放さず病気を克服しながら突き進む草間彌生というイノセントな作家の姿にとてつもない魅力を感じた。彼女の才能を決して疑わなかった親友とギャラリーオーナーたちとの絆も素敵なものだった。
あの時代にあって、性差に関係なく、前衛的に表現を追い求める姿を見ると、やはり世界的にみても天才的なアーティストであったとあらためて思う。アートで反戦、ゲイの結婚式、誰も考えなかったであろうことを、真っ直ぐな眼差しで行動に移したのは、たぶん草間彌生が初めてではないだろうか。
映画の最後の方で、信州・松本市に美術館が建てられ、彼女の作品が収蔵されることになった時、決して幸せだったとは言えない故郷に帰ってきた草間彌生を見てちょっと涙した。
草間彌生の作品を観た地元の子どもたちが何度も美術館に行きたがるというエピソードは、彼女のアートが純粋無垢な発露からであることをとても象徴的に物語っていた。それはまさに純粋な子どもたちのこころと共鳴するからなのだろう。
イノセントな水玉戦士・草間彌生。時を経てさらにカッコいい前衛の女王。
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