だれもが愛しいチャンピオンのレビュー・感想・評価
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障がい者
冒頭、知恵遅れと言う言葉が飛び交うので、今はこういう映画は推薦映画にはならないのだろうな。でもとても爽やかで良い映画でした!障がい者にバスケットボール指導するマルコ。最初は自己紹介すらままならず、悪戦苦闘でしたが、彼らの気持ちに寄り添う姿勢を示すとすぐに心の距離が近くなり友情が芽生える。ここは彼等の純粋さゆえ。結局のところ交流を通してマルコの方こそ精神的にグッと成長出来たのだろうな。
鉄板だよ。分ったよ。好きにしなよ。
って言いたくなるじゃないですか。万国共通がんばれベアーズのハンディキャップ編。罰ゲームが発端で、心理的な僻地に飛ばされた主人公が何かを見つけて生き方を変える話。その僻地にいるのは、概ね社会的弱者と呼ばれる人達なんだけど、実は俺達よりも、主人公よりも、ある意味においては幸せであり、リッチであり、偉かったりする。
どっからどう見ても漫才でしょ、それは。ボケvsボケ。いやいや、真っすぐ行くと思ったよ。真っすぐ走ると思ったよ。クソ、笑かされるし。わぁった、わぁった。何着ても良いから、もう。好きにしなよ。全国大会?ナヌ?それ?勝った?うっわ、そんなに直ぐに勝てるようになるんだ、スゲ。蹴るなぁ!蹴り上げるな!つか、ガッツポーズすんなぁ!いや、ネズミちゃん助けるって、それ、捕まえるってこと?ムリでしょうに。つか、キャンピングカー、新しくなっとるやん!どっから調達して来た?あら。お父さんするならあなたが良いとか。お父さんにしたい人選手権?俺、降ります。ででで。外れるんかよ、ここで。ここまで来て。まぁ。良いか。って、ノーサイドかよ。これですか、見せたかったのは。あはは。参った。
って事で。鉄板ですからね。いつも程度には、泣けた。
エンドロールの皆の胸にぶら下がってるのは「金」でしょ?ハエ無しの、金属の「金」。コーチの胸には黒いホイッスル。代表チームって、まさか「パラ」の方なの?いや、パラならユニがちゃう。って事は、何年後かには、また、彼らのチームに戻ってコーチするんでっかね?いやいや違う。内心に尊さを秘める彼らこそ、チャンピオンだよ、って事でさ。
ま。好きにしなよ。って思いました。
ほっこり。ホンマ、ほっこり。
これだから、鉄板は止められないw
【アンモラル満艦飾男が、多士済々のアミーゴスのメンバーにより”更正”していく姿をコミカル要素を塗して描き出す。”サブ”だって良いじゃないか!】
冒頭の数シーンでマルコ(ハビエル・グディエレス:”オリーブの樹は呼んでいる”以来である。)が大馬鹿者だと分かる。
で、彼はどん底に落ちる。
けれど、救う神あり。
彼が、奉仕活動を行う先は・・・。
この作品が素晴らしい点は幾つもあるが、
・アミーゴスの愛すべきメンバーのキャラクターがしっかり立っている点と、彼らをきちんと一人の人間として細かい特徴まで含めて描き出している所。
・マルコが彼らの姿を見ている中で、自分自身の生き方を修正しようと努力する姿。
・随所に”仕込んだ笑い”を盛り込んでいる所。
1.出生時の出来事により、シャワーを浴びる事の出来ない男フアンマがマルコに仕掛けた事。”蛇ガイルヨ!”
2.皿洗いを一生懸命に朝5時起きで行うアミーゴスのメンバー”ベニート”(試合後半のとても大事なシーンで漸く登場)に対しての接し方が”労働基準法違反”のもう一人の”馬鹿者”から、マルコの連れ合いの"女優"が見事な演技で”旅費”を巻き上げる件。
3.瞬間、どこかに行ってしまう”セルビオ”の絶妙なトリップタイミング。
4.時折意味不明な言語を発する検事”様”のお知り合い。豊かなバストがお好き・・。
5.マルコのコーチ振りに対して、過去の哀しき経験から”上から目線で”的確な意見を述べる、バスケットの力量は”金メダル”クラスの”ロマン”。
・ラストは予想の斜め上を行く見事なモノで、やられた・・。
そして、試合終了後の、両チーム入り乱れての、多幸感溢れる紙吹雪が舞うシーン。
・マルコが自ら"壁"を乗り越え、妻と”新しいメンバー”を作ろうと決断し、妻に伝えるシーンにはぐっと来た。
<人間は一人ひとり個性が違うから、面白いし素晴らしいという当たり前の事を思い出させてくれた作品でもある。>
『世界に一つだけの花』の歌詞を思い出しました
プロ・バスケットボールチームのサブコーチを務めるマルコ(ハビエル・グティエレス)。
トップコーチと対立して短気が故に退場をくらう。
やけ酒を呷(あお)っての飲酒運転、チームは解雇され、刑務所への収監の替わりに90日間の社会奉仕が命じられる。
奉仕先は、知的障がい者のバスケットボール・チーム「アミーゴス」への指導。
はじめは嫌々だったが、徐々に互いに理解を深めて行き・・・
という物語で、東京パラリンピック開催イヤーのオープニングに相応しい。
とにかく、各人のキャラクターが立っています。
マルコは、まぁ、ステレオタイプだけれど、ステレオタイプということは蛮人に通じるということ。
そんなマルコの視点は、我々の視点。
多くの場合、「障がい者」としてひと括りにしちゃうことも多いが、人それぞれに事情がある。
癲癇の持病があるので発作によりフリーズしてしまう者、
棄てられた動物の保護施設で住み込みで働いているが、幼い頃に溺れた経験から水恐怖症でシャワーにも入れない者、
航空機の運航をやたら気にする者・・・
最後に挙げた彼に関連して、劇中「鳥を一日中観察しているひとは博士として尊敬されるのに」とも言われる(このあたりは可笑しい)。
で、そんな彼らとマルコは一丸となって快進撃を続けていき・・・と話は展開するが、印象的な台詞がふたつある。
子どもを望む妻の意に反するマルコに対して、チームメンバーのひとりが言う台詞。
「ボクだってボクみたいな子どもは欲しくないが、あなたみたいな父親は欲しいよ」
チームを通してマルコが成長したことを示す台詞だが、これには前振りのような台詞がある。
これもチームメンバーのひとりが言う台詞だが、徐々に怒りを抑えられ、コーチングができるようになってきたマルコを評して、
「彼の抱えている障がいは治らないけれども、わたしたちは対処方法を教えているんだ」
この台詞は、結構、胸にこたえました。
身に覚えがあるからね。
快進撃を続け、決勝戦にまで進んだ「アミーゴス」。
その結果は・・・
『世界に一つだけの花』の歌詞を思い出しました。
良作
よかったと思います
ちょっとストーリーに出来すぎた感はあるかな
役者が素晴らしい
確かに、だれもが愛しい
最後のシュートが入らないのがいいw
すごいね!私たち2位だ!と素直に喜べるのがいい
コーチがちゃんと自分の選択をするのがいい
あ、そんなに出来すぎでもないのかw
「普通」の反対の言葉は「普通じゃない」ではなく「個性」だよと。そういうことを伝えてくれる作品です。『みんなちがって、みんないい』です。
スペイン映画は余り見た記憶が無いので観てみようかなと思い鑑賞。
知的障害者によるバスケットボールのチーム。
彼らを面倒みることになった元プロチームのコーチ。
バスケ初心者のチームが試合で勝ち進み、とうとう決勝戦。
さあどうなる? …というお話。
このコーチ
飲酒運転の刑罰の代わりに社会福祉の一環として社会奉仕活動を
って、「トスカーナの幸せレシピ」に似ている気もしたのですが
ズブの素人10人相手に、チームプレイまでも教えないといけない
この作品のコーチの方が、何倍も大変そうです。 …うん
選手がそれぞれ抱えた問題に加えて
コーチ自身の問題がストーリーに程よく絡み、テンポ良く進みます。
場面ごとに音楽も良くマッチしてました。
観た後、十分に満足感を感じられる良い作品でした。
それにしても最後のシュート。
…
ドキドキしながら見守ってしまいました。 いけ~ ~ ~ … あ
☆
以下、あれこれです。
選手の紅一点
得意技はキン距離攻撃。 …ケリ?
え~…
正面に立たれたらどうしましょう ニゲル
コーチの奥さん
と、その胸にいつも目が行く一人の選手。
なぜか印象に残りました。
いやらしい感じは全くなくて、
マリア様と赤ん坊のような …とでもいいますか。
コーチの母親
草笛光子さんに似てる気がしました。
役柄も似たような感じで、どっしり構えたスナックのママさんという感じ。
結構アバウトな性格がとても素敵です。
最後に
とてもコメディタッチのハートフルな作品でした。
「障害者」をテーマに扱ってはいますが、
決して「暗く重い」ものではありませんでした。 ほのぼの。
※ タイトル後半の『』の中に書いた文章は、
金子みすゞさんの詩からの引用です。
念のため。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
ハンディキャップを吹き飛ばす笑って感動の良作です♪
昨年末から公開されてますが、鑑賞された方の評価が軒並み高いので気になってた作品をやっと鑑賞しました。
で、感想はと言うと…良い♪当たり!!
面白い! テンポも良く、随所に笑いがあって、テーマの割に重くない。劇中のBGMも良いんですよね~♪
スペイン映画ってあんまり鑑賞した事が無いんですが、これは良い♪
爽やかな感動と爽快感があり非常にバランスが取れてる。
「ROCKY」と「クール・ランニング」。あと「頑張れ!ベアーズ」や古いテレビドラマですが「頑張れ!レッドビッキーズ」を思い出しましたw
良作の快作です♪
所謂、パラスポーツを取り扱った作品ですが、最初は“これ、笑っても良いの?”と観ているこちらが気遣ってしまう感じではありましたが、そんな気遣いもいらなくなるくらいグイグイと引き込まれていきます。
中盤ぐらいまでは少し中弛みする感じな部分もありましたが、コジャンテスが出てきた辺りから、一気にターボが掛かった感じ。
コジャンテス登場シーンのメンバーの煽りは最高!良いよね、コジャンテス♪
クライマックスでの決勝戦のベニートのロングシュートが入らなかった為、優勝を逃してしまうが、彼らはそれを悲観してない。むしろ自分達が2位になれた事が嬉しい。
周りも敵味方関係なく、アミーゴスを応援している。
順位に一喜一憂するのではなくて、自分達がやり遂げた事が尊いのだと言う、マルコの表情も良い。
マルコ役のハビエル・グティエレスはジャン・クロード・バンダムとダニエル・クレイグを足して割った様に見えるなぁw
こういった作品はバランスが非常に難しい。
他の人も書かれてますが、偏見が入ると非難されるし、気を使い過ぎるとまた差別みたいになってしまう。
多分、映画としてはかなり扱い難いジャンルになるのではないかと思います。
知的障害を持つ人達で形成されたバスケットチームなので、普通に出来る事が出来ない事も多数。
だからと言ってそれを異質な目で見ると彼らはそれを敏感に感じとる。
知的障害を持つ人達は時間の流れが少しゆっくりであったり、感情の起伏が少し大きいだけで、別に何にも出来ない訳ではない。
だから、差別される事を極端に嫌う。
もしかしたら、そう言った目で彼らを見ている者達の方が可哀想なのかも知れない。
だけど、そうは言っても手が掛かる事は手が掛かる訳でマルコが中盤まで何度投げ出そうとしたかは十分に理解出来る。
バスの中のはしゃぎっぷりも普通の人から見たら迷惑この上無い。
どういう風に対応したら良いかは多分現実的な答えが見つからない。
でも映画の中ではそれを真正面から捉えて笑える所は笑えば良いと気付かせてくれた。
この作品の登場人物達は笑われているのではない。笑わせているのだと。
そう思えると個性の強い面々が大活躍する青春スポーツ作品で面白くない訳がない!
でも泣かせる所は泣かせます。
“出来れば、我々みたいなのよりも健常者の方が良い。でもマルコが父親なら嬉しい”とマリンがマルコに言った台詞はグッと来るし、ラストで代表チームのサブコーチに復帰するマルコに爽やかにお別れを言うチームのメンバーにも感動♪
変にご都合主義で感動に持ってこようとしないのが逆に感動出来ます。
遠征資金が無くて、ベニートの勤務先オーナーから資金を脅し取った事や資金が無くて、旅行を中止したチームオーナーのフリオが資金が出来たらシレッと旅行に参加してたのはご愛嬌♪
オンリーワンと言う言葉を都合良く使うとそうなのかも知れないけど、出来る事を確りとやる。
そして彼らと横に並んで歩く事が大事なのかなぁと考えさせてくれる。
もしかしたら、そう言った答えが正解じゃないかも知れないけど、そんな事を考えながらも大いに笑わせてくれる素敵な作品で感動もあり、興奮もあり、クスッと笑えて、時折爆笑!
前評判通りの素晴らしい作品です。
上映館は無茶苦茶少なく、都内でもヒューマントラストシネマ有楽町と新宿武蔵野館でしかやってませんが、時間を作ってでも観に行く価値はあります。
こういう作品に予期せぬ出会いが出来る事が嬉しいから映画館に足を運ぶのが楽しい!
無茶苦茶お薦めです♪
みんなハグしよう🏀
プロバスケコーチが、事件を起こして社会奉仕活動の為に、障害者バスケチームを指導して、全国大会の決勝まで導く…スポ根ドラマのような展開かと思ってましたが、コメディ要素でとても面白い映画だった。
鑑賞して、健常者、障害者と分けなくて良いと
思いました。
一人一人、違った個性なんだと。
演者達は、その違った個性を持った10人!
映画の中というより、10人の日常生活の一コマに、
入り込んだかのようだった。
1番でなくてもいい!
2番でも準チャンピオンなんだ👑
思いやりが理解を生む
もっとタフな作品かなと思ったら、コメディ色が強く意外とラフに見られる作品だった。
まぁそこは監督の意図があったのかな。ハンディーキャップを抱えてるってのを重たく描写するのではなく、健常者となるべく同じように描いてるように感じた。だから、彼らを決してバカにするような笑いではなく、おっちょこちょいな感じで笑えるシーンが多かったように見えた。
ただ少し色々と駆け足で詰め込み過ぎたようにも思えた。この作品で大切なのは勝つことよりも互いを思いやり理解し合うことなんだというのは序盤から伝えたいんだなと言うのはわかった。その割には序盤はハンディーキャップを抱える彼らを理解を示そうとしない監督と選手たちの理解までの道のりが淡白に感じてしまったかな。
ただハンディーキャップを抱えてる彼らとの絆だけではなく、いざこざがあって離れて暮らす奥さんともチームを通して相手を思いやる事の大切さを学んだ監督が実践して理解に繋がるシーンは、ハンディーキャップを抱えてようがなかろうが、まずは相手を思いやることが大切な一歩なんだというメッセージ性が強く伝わって心に響いた。
若干期待していたのとは違ったが、心温まる作品には間違いないだろう。
もともと特別なオンリーワン(笑)
この映画のタイトルを見た第一印象が「(一番なんて決めなくていい。)みんないっしょで、みんな特別だよ」めいたイメージを勝手に抱いて不快感をつのらせてしまうほどに、私は自身をつまらない人間だと自覚した上で本感想を述べる。
私は養護学校に出入りする関係者だ。この学校では、比較的軽度の知的障害者を受け入れている。
日常的に成人前の知的障害者と接する身として、書き進めていく。
まず、私は我が国の知的障害者への物の見方が嫌いだった。幼少期からそれはすでに始まっていた。私は社会科や道徳の授業における障害者を題材にした映像学習の時間が大嫌いだったのである。
スペインの知的障害者をめぐる社会的背景は全く知らないが、少なくとも我が国の知的障害者は、勉学や体力的素養の優劣を決める熾烈な競争に対して、はじめから脱落していてよい存在として許されている。本来ならば上を目指す必要がないし、養護学校で求められる達成水準は「障害者として雇ってもらえるライン」であるために生産性のかなり低い人材でよい。稼ぎは少ないが、障害者である限りは不足分は国が税金を投じて補助してくれる。
養護学校で学ぶのは厳しい社会に出て活躍できるための素養ではなく「外に出たときに他人に犯罪級の迷惑をかけない最低限の自己制御」だ。スポーツなんてものは、ある程度軽度の障害者でないと楽しめるものではない。それも、抑圧された養護学校内でのストレス軽減のためにやらせてるようなものである。
社会人となった彼らの環境も人それぞれだ。特に貧困は全てを歪ませる。
下手に試合のルールが理解でき、試合時間中は何十分も選手としてふるまえると暴露した日には、障害者として享受できている要介護等級を下げられてしまい、保護者の負担を増やしてしまうかもしれないからといって、スポーツをやってみたくても出来ない層がいるくらいだ。
私は彼らを人として扱いたい。冷酷かもしれないが、健常者に近付いておきながら、それを隠して保護を受ける行為は不正だと思う。彼らを見抜けずに、彼らに不つりあいな補助費が血税から注がれ続ける我が国の現状を憂えている。
我が国内で出回る知的障害者に関する映像作品では、よほど奇をてらった一発屋の監督くらいしか、そんな負の一面など決して描写しない。学習映像ともなると皆無だろう。
一般的には彼らと彼らを守る保護者はいつも腫れ物に触るかのように描写されている。私はこれが嫌だった。彼らは簡単に傷つくし、健常者という悪魔めいた存在から、常に差別を受ける被害者としてしか描かれてないし、知的障害者の性格はすべからく「実は天使のよう」だった。
女性が知的障害者に性的な意味で襲われた場合、基地外行動中の泥酔米兵に性的な意味で襲われるよりも何倍も面倒な事態に発展することを、どれくらいの国民が理解しているだろうか。
私は知っている。本物の知的障害者は、すくなくとも私の周りにいる連中はもっと人間味にあふれており、自分勝手で小賢しく、すぐにサボるしすぐに性的に盛り狂う。魅力的で面白い人間もいるが、基本的には甘やかされて諦めが早く、実はしたたかである。
この現実と学習素材の乖離を指摘しようものなら、おそらく差別的な人間としてみなされるだろう。
それに比べてこの映画はどうだ。自由でリアルな彼らを描写していた。選手が監督のほっぺたをつねるシーンにはほっこりさせられる。実に「ありそう」なシーンだった。
粗暴な監督という、障害者への理解がなく、対策知識を持たない者が、いきなり彼らの中に放り込まれて、しだいに彼らをまとめていくという「おたがいに成長していく」設定が「いかにも感動的」なのがどうしてもデキレース感が出てしまい、24時間テレビめいた感動ポルノを感じてしまうが、とても面白い設定になっていると思う。
清々しい思いがした。やはりスポーツはいいな。
障害者、特に知的障害者の方々をこのように描写できる自由さに感心した。
我が国の知的障害者は基本的には周囲や保護者が迷惑をかけないようにと配慮して外に出されず、家のなかで甘やかされて育つ傾向があるので、結果的に自立心と自律心が未成熟になりがちだけど、やはり西洋はそのへんも自由なのかもしれない。日本では身体障害者でこれをやっても多分ここまで面白く撮れないだろう。
強いメッセージに心を揺さぶられる
主人公マルコはプロバスケチームのコーチ。しかし、試合中にヘッドコーチと揉め、チームをクビに。ヤケ酒飲んで飲酒運転で事故を起こし、判決として90日の社会奉仕活動を言い渡される。
彼は妻ソニアとも別居中。まさに踏んだり蹴ったりの状態だ。
そして、マルコに与えられた社会奉仕活動とは、知的障害者のバスケチームのコーチだった。
「がんばれ!ベアーズ」型の映画というのがある。
ダメチームが努力の末、活躍する。「マイティ・ダック」しかり、「クール・ランニング」しかり。
本作も、その派生と思っていたが。
意外にもバスケの中身の話題は後景として描かれ、人間ドラマが中心だった。
本作ではバスケチームの話を縦軸に、マルコとソニアの関係が描かれるのだが。
残念ながら、どちらの観点もやや脚本が甘い。
どうしてチームが強くなったのかよく分からないし、夫婦の愛も描写不足、何で彼らは別居するほど対立していたのかも分からない。
だが、そうした欠点を補う素晴らしさが本作にはある。
それはメッセージだ。
ソニアは40歳を超え、夫婦の間に子を持ちたいと望んでいるが、マルコはそのことに消極的だ。
彼は言う。
「そんなに高齢で子どもを産んだら、障害を持って産まれるリスクがある」と。
その会話を聴いていたチームメンバーがマルコに言う。
「僕だって、自分の子が僕みたいだったらイヤだ。でも、マルコみたいな父親は欲しいな」
そしてラスト、チームは勝てなかった。そのとき、マルコの母親は彼に言う。「自分の子が幸せだったら、親はそれでいいのよ」と。
ラスト、試合には負けたがチームのメンバーは大喜び。紙吹雪がコートに舞い歓喜のシーンが続く。
幸せってなんだ?
普通が幸せなのか?
じゃあ、普通ってなんだ?
試合に勝てなくてもいいし、一番にならなくてもいいじゃないか。
「あなた」ならば。
「あなた」が輝くならば、それでいい。
誰もが、かけがえのない「あなた」だし、この世に生まれた、すべての命が輝くのだ。
脚本の甘さも吹き飛ばす、強いメッセージは胸を打つ。
バスケチームのメンバーは、実際の知的障害者たちをオーディションで選んだのだという。
彼らの笑顔も素敵で、本作のメッセージを太く肉付けしている。
ユーモアある演出、物語のテンポもよく飽きさせない。
良作です。
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