犬王のレビュー・感想・評価
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アヴちゃんが南北朝に生まれていたら…
女王蜂ファンなのでアヴちゃんが声優をやるということだけでも興奮するのに、監督が湯浅政明さん!絶対映画館見たい!と思い見に行きました。
大胆な解釈だけど、最高にロックでかっこよかった〜〜〜!!!
圧倒される歌声!!
アヴちゃんが南北朝に生まれていたら犬王になっていたと思う。
森山未來くんとのペアも良かった。
NEOLの2人のインタビューも最高でした。
外連味のある舞台だけでなく、その装置までもきっちり見せてくれるところがすごい一作。
湯浅政明監督の『DEVILMAN crybaby』(2018)を彷彿とさせるような、友情とも愛憎とも、何とも言いがたい男同士の関係を描いています。犬王という能楽師は実在したとのことですが、その名前と能楽の発展に寄与したらしい、という以外はほとんどその素性が知られていない人物です。それだけに、物語を膨らませる余地が大きいと湯浅監督は考えたのか、驚く程創意に満ちた映像と音楽で満ちています。
異形の者でありながら、人々を惹き付けて止まない魅力と超絶的な身体表現能力を備えた犬王というキャラクターの存在感は、アヴちゃん(女王蜂)の見事な声によって裏付けられています。確かに力強いがどこか心に引っかかりを残すような歌声がむしろ、生と死、栄光と破滅の瀬戸際を敢えて選んで歌い、躍る犬王の姿と完全に溶け合っています。
主人公の犬王と友魚(森山未來)のパフォーマンス場面は、時代考証を度外視した、現代のライブ会場そのものという描写なんですが、フィクションとして描きつつも、細かな舞台装置を間に入れ込んで、まるで目の前の舞台装置を本当に人が動かしているような錯覚を与えてくれます。この「虚構の中の現実感」を描くという、本筋とは直接関係してこないところに多大な力を注いでいるところに、湯浅監督の凄みを感じました。
パンフレットは絵コンテなどの資料やインタビュー、アヴちゃんと森山未來のポートレート写真など内容が非常に豊富で、読み応えがありました!
00年代サブカル中高年達の立派な墓標
絵に描いたような時代劇×ロックオペラ。
ストーリーも一切の奇を衒わない直球のもの。悪く言えば色々な何処かで、散々見てきたプロット。
つまりは物語よりも、音楽やビジュアルを混じりっけなしで堪能してくれ。そのために物語はあえて様式的にしておいたぞ。という意図なんだろう。
ということみたいなので、音楽を軸に見るのだが、一言で言えば「感覚が時代遅れ過ぎて中年臭い」。
楽曲は80年代ロック丸出し。和風ロックみたいなことをしたいんだろうが、和楽器バンドを通り越して、感覚的にはほぼ人間椅子(人間椅子の方がカッコいいけど)。
後半はQueen色が強すぎて、ほぼ替え歌。王冠被って直訳で歌ってた「王様」を久しぶりに思い出した。
その上でさらに引っかかるのが、「ロックが我々を何かから解放してくれる」なんて価値観に、いまだに信心深いということ。驚かされる。いつの時代の話だ。
大見得切ってストーリーを捨てた割に、楽曲の力が全然及ばず。その背景にある想いも、アンティーク過ぎて動いてない。この時点で、映画の骨格は崩壊してる。
そして全編に漂う「00年代サブカルに引き篭もる中年の加齢臭」も、酸味がキツくてなかなか厳しい。公開時期を20年間違えたんじゃないかい? あの頃遊んでた人達は、もう誰も残ってませんよ? みんなAdo×中田ヤスタカの『新時代』を聞いてるみたいですよ。
抑圧されてもアイデンティティを捨てない路上のロックスターよりも、よりメジャーである為に作家性を後回しにできるAdoと中田ヤスタカにこそ覚悟を感じる。
とまぁこれは個人的なアレが過ぎるかもしれませんが。老人ホームでライブエイドの話に花が咲く時代です。それが素敵だと思うならば、どうぞご自由に。
無念に怨念はロックなのだ
葬り去られた声なき弱者の声を代弁することで
同様に弱者である自らもまた癒されてゆくこと。
「表現とは」について、なんて言葉があったような、なかったような。
不思議な運命を背負った犬王の活躍を追いながら、そんな事を巡らせる。
だからして原作者は、監督は、己が身も省みたりしたのだろうか?
自らが語る「ものがたり」についてもまた、重ね合わせたりしたのだろうか?
素人の邪推が止まらない。
基本的に徹頭徹尾、暗く残酷な話を
ここまでパッション溢れる前向きな展開で描き切った事に凄味を感じる。
アニメーションとしての動き、その躍動感も凄まじい。
おかげで無念、怨念のままに吠えまくる琵琶法師にあおられ
雅な世でありながら、気付けばコチラもすっかりヘッドバンキング。
同時にコレ、「自分よりも強い奴を倒せ」のCM
ペプシコーラ桃太郎編の世界観では?
と気づいてなおさらノリノリになってしまった。
そう、「表現」は昇華であり癒しなのだから、
それこそ犬王らの願うところだろう。
盛り上がって、燃え尽きろ。
あと、時系列、縦横無尽な構成の脚本に、野木さんの仕事だと知ってうなずいたな。
南北朝時代と現代を融合させた快作
5月28日に全国ロードショーとなった作品ですが、7月も中旬になった今でも少ないながらもまだ上映が続いており、人気の高さを証明している感じでした。上映館、上映回数ともに減ってしまっているものの、逆にそのせいで私が観に行った回は9割方客席が埋まっていました。
小説の原作は未読でしたが、室町時代前期の南北朝時代の歌舞音曲と現代のバレーやダンス、ロックを融合させ、とかく国籍不明のアニメ作品が多い中、日本ならでは作品に仕上げていたのは凄いと思いました。また声の配役も絶妙で、犬王を担当したアヴちゃん、友魚を担当した森山未來は、これ以上ないハマリ役でした。というか、彼らの存在があったればこそのアニメ化だったように感じられました。
歴史物、時代物という観点では、戦国時代や幕末~明治維新期の作品は数多あれど、南北朝時代を扱ったものは少なく、その点でも新鮮でした。
また人物描写も素晴らしく、南北朝を統一し、世の中の安定を図ることで足利将軍家の支配を安定化させようと考える足利義満や、芸のためなら全てを投げ打つ芸道の鬼と化した犬王の父親、義満に寵愛され能楽の保守本流となった世阿弥など、観ている方の想像力も掻き立てる程の出来栄えでした。
最後になりますが、犬王そのものが実在の人物であることを知り、自らの不明を恥じるとともに、驚愕しながら映画館を後にしたところです。
室町ロックフェス!!
観たことのない種類の映画だった。言うなれば、室町ロックフェス。映画やアニメを観た、というよりも歌声や映像美を「浴びた」感覚に近い。
舞台挨拶でアヴちゃんが言ってたけど、いつか本当に舞台化してほしい!!鯨のシーン、生で観てみたいなぁ!
アヴちゃんや森山未來さんなら、本人がそのままその役をやれそうです。
なんなら津田さんも「あかんパピー」役をそのままご本人に演じてほしいです。笑
全身で日本を浴びた
目の見えない琵琶法師と猿楽の家に生まれた異形の子・犬王が出会い、そのパフォーマンスで多くの人を魅了していく話。
「歴史は勝者のもの」というように今に残るものは全て勝ち残ったもの、それはエンターテインメントの世界も同じではないか?という視点がまさに負ける側の物語「平家物語」と重なる。
そしてこれは絶対たまたまだけど、同日公開の『トップガン』はTheアメリカ映画らしい軍の精鋭たちが集まる勝者の物語で話も完全に陽だった一方で、『犬王』は負けに美学を感じる日本ならではの映画。この2つが同じタイミングなのやけに納得してしまった(もっと言えば日本は敗戦国だし笑)。
この映画の大半が犬王と琵琶法師のパフォーマンスで占めていて、それが湯浅監督らしさをとってもとっても味わえるし、2人のパフォーマンスが普通に現代のライブなので新感覚和製アニメライブを見に行った感じ。だからといって、ストーリーが薄い訳ではなく短い時間内にストーリーをまとめて、かつキャラに多くを語らせない、でもちゃんと深みのある話、になってるのはさすが脚本の野木さん。
個人的にアニメ表現で良いなと思ったのは、犬王のライブ、アニメだからといって絶対にありえない舞台演出を描かないのが良かった。犬王は絶対命綱を付けてるし、水の上を舞ってるように見えるのもちゃんと下に立てる床が水に埋まってるから、"手"の演出もどうやって動かしてるか容易にわかる。そこにアニメを使うのではなく、犬王と犬王のライブの美しさを誇張するためにアニメ表現を使ってるのが、アニメの誇張表現にウッてなる人間なので良かった。
最後に、日が暮れていくにつれ空の色が絶妙に変わっていくシーンの色使いがすごく繊細で綺麗で、色々奇抜なシーンはあったけどそこにいちばん感動した(笑)
見る人を選ぶが私はハマった
見に行ったきっかけはピンポンのアニメが好きだったので
その2人が作るなら間違いなく面白いだろうという事でした
結局今日までに5回見ています
最初に見た時は正直ポカーンでした
ただ見終わった後からじわじわ来て
すぐにCDを買い
もう一度見ないと分からないと見に行き
見れば見るほどハマってしまいました
声優さんに関しては知らない方でしたが
声も歌も良く違和感はありませんでした
最後にもう一回見に行きます
動きは凄く良い、けど…
作品のほとんどがミュージカルといえるレベルで曲に合わせて動いてた。その当時の技術で表現できそうな演出技巧も素晴らしかった。しかし、ここまでの作り込みがありながら、音楽の構成が全く歴史と地域を考慮していない。せめてこれも当時の技術を踏まえた音楽からの演出であれば。犬王の名声が現代に伝わってない、断絶された理由も組ませて話が進んでいれば、ストーリーとしての説得力が高まっただろうに
途中からの音楽の跳躍を見ながら、自分が思い出してたのはAKIRAだった。AKIRAは強烈なアニメーションと共に芸能山城組という音楽ユニットを使った今までに無い映画を表現した。だからこそ歴史に残った。この作品もそれぐらい音楽に対して真摯で革新的な人が必要だったと強く感じた。この作品は色々革新的な表現があったとしても、その根源にある音楽への造詣がこの作品の時代的背景として考慮されてなく、単なるパフォーマンスとなってしまった。結果、歴史を踏まえる、歴史に残る作品にはなれなかった。そこがとてももったいないと思わせてしまう作品だった
解釈が非常に面白い
おおよそ700年ぐらい前のアーティストってどんな感じだっただろうって具合を現代に置き換えたら
こんな事して当時の人を魅了してたのでは?という空想がとてもいい具合に混ざり合っていて
それほど室町時代や犬王について知らない人にとって、こんなポップアーティストがいたんだという
全く予備知識を知らない人にとって良い見せ方ではあったと思う
なので予備知識がある人にとっては少しぶっ飛んだ話に思え好ましくないかもしれない。
どろろだったり魍魎戦記マダラだったりと大枠として失ったカラダを取り戻す物語みたいなのが
なんか好きだから
あっ!ココが源流なんだってハッとして、より犬王が気になりました。
しかし鎌倉時代もそうですが室町時代も乱世なのか諸行無常
悲しかったが
時を超えて見つけてくれるとしたら、そんな素晴らしい出会いはないと思えるし
今を持ってすればそこまで現世に恨みつらみを抱いて絶つこともそれほどないが
そうだとして700年も探してくれる友は私にいるだろうかと?
どこか不幸せなような幸福なような今のボクでは測れない物語であった
アヴちゃんの歌声が素晴らしいのでぜひ、良い音響の映画館で観て欲しい
メジャー日本映画はアニメのみ新しい
私は今までよく日本映画のミュージカルや音楽映画に対する(ろくな作品がない、若しくは出来ない事に)批判(?)や疑問を口にしていたのですが、本作を観てしまうとその答えが簡単に見つかりました。
要するに、その類の才能は全てアニメ業界に集中していて、実写映画として製作しようとしてもその才能を集結させるだけの力が無いという事なのでしょうね。
アニメだと作ろうと思えばこうして傑作を生む事ができてしまうのだから、やはり日本のアニメ業界の力を見せつけられた気がしましたよ。
今世界で日本で誇れる(認識されているモノ)と言えばアニメしかないという現実をまざまざと見せつけられた気がしました。
本作なら当然世界に出しても通用するだろうし、逆に言えば世界が日本に求めている要素の詰まった高品質な作品だとも言えます。
更に言えば、本作ほど日本的要素を強く詰め込んで、その異国文化を海外の人にも理解しやすい工夫と内容でしかもハリウッド手法とは全く異なるテイストで面白く作られている作品であるということ。
ここからは、本作から脱線する話になりますが、結局2000年代以降の日本映画って、ハリウッド的な娯楽作品作りを日本の国内で試みても意味がなく、日本として勝負出来る強みのあるジャンルに特化して制作していく方向性にあり、ガラパゴス化であっても仕方ない国になってしまった事を認めなければならない時代であったということです。
今でも日本映画の代表を黒澤や小津の名前を出すトンチンカンな年寄りがいますが、世界の映画好きの若者は日本映画と言えばジブリを代表としたアニメしかないという事を、本作などは時代錯誤の年寄りに思い知らせる為の作品だった様な気がします。
てなことを、今の日本のリアルタイム映画ファン以外の年寄りに言っても、全く意味が分からないとは思いますが…、映画だけに留まらずそれが30年以上社会的停滞している今の日本という社会の現実であり、アニメは今の日本の象徴でもあり、その低迷した日本の中で世界に供給できる数少ない貴重なコンテンツであるということです。
しかし、普段から映画を観ない年寄りにこの作品を見せても全く分からないだろうなぁ~。
まずは、今の政治家達に見せてあげたいよ(苦笑)
まさに「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」だよな(爆)
この時代に生まれなくてよかった~
アニメが素晴らしいです。
もう、映像として観ているだけで楽しめました。
物語も、平家物語をベースにどこかもの悲しさがあって、好きです。
音楽は、和ものでいった方が私は好みでした。
平家物語がベースで、琵琶法師もでてくるのに、なぜ?と違和感ばかり残りました。
途中、ライブシーンでは心地よくて寝ちゃったりしました。
絶対的権力者が、芸術でも人の命でも好きにできていた時代。
犬王と友魚の生き方に自分を重ねてみました。
…命がけで自分を貫くって、しんどい。
そんなことをしなくてすむ環境に生きていることに感謝しました。
同時に、ロシアのウクライナ侵攻を思い出し、無念な気持ちになりました。
プーチンの周りの人も、命をかけて意見できない状況なんでしょうね。
せっかくの時代設定なのに
製作スタッフが凄いので期待して観に行きました。
イラストデザイン、アニメーション、歌声は素晴らしいのですが、肝心の音楽シーンが…
なぜ琵琶を弾いているのにギター? 打楽器だって、この時代のがあるでしょう。
ロックフェスまがいではない、もっと古い日本らしい音楽シーンが欲しかった。
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