犬王のレビュー・感想・評価
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ロックショー
栄枯盛衰の芯と歴史背景はテレビアニメ『平家物語』と通じつつも、どこか手塚治虫の『火の鳥』っぽくもあり。
室町時代初期、南北朝の対立が続く三代将軍・足利義満の治世(たぶん義満が将軍に就いた1374年~犬王没1413年のどこか)で、『どろろ』の百鬼丸っぽい犬王が、『あまちゃん』大友良英さん作曲・女王蜂アヴちゃん作詞のロックンロール・ミュージカルショーをやっていました。
ノリノリな音楽が心地よく。
『ちびまる子ちゃん―わたしの好きな歌』の湯浅さんパートと、『夜明け告げるルーのうた』のダンス、『夜は短し歩けよ乙女』の詭弁踊りなどが頭をよぎりました。
音楽シーンが連続するため、人によっては単調に感じるかもしれません。
ライブハウスでのロックショーがそうであるように、若干歌詞が聞き取りにくく、日本語字幕上映の機会があれば観直したいです。
発声しなくてもいいので、頭を振って手を叩ける感じでの、無発声応援上映またはシネマティック・ライブが観たいななどとも思いました。
昨日の世界。この映画は忘れられた無念を物語る。
※「◎」から色々とネタバレ注意。
湯浅正明監督。あなたの作品を信じて観てきて、本当に良かったと思います。
正直な所、「日本沈没2020」ではあまりにもあまりにもで悲鳴をあげました。個人的には、今回の作品で決別も覚悟の上で臨みました。
松本大洋のキャラデザ、私の大好きな女王蜂のアヴちゃんのミュージカルアニメというだけで期待は凄くあったのですが、逆に「これでダメなら本当にダメだろう」とも思ってしまっていました。
それだけに、期待以上の作品過ぎて、もう映画が終わってからしばらく涙が止まりませんでした。
言葉にすると途端色褪せてしまうため、まずは観てほしい。
湯浅正明監督のイマジネーション世界と松本大洋の絵が動く感動、アヴちゃんと森山未來の変幻自在な演技と歌唱が、未だかつてない夢のような映画体験を与えてくれること間違いなしです。
とにかく犬王と友魚が動いて、歌っているだけで、私は凄く楽しくなっちゃいました。
◎感じたこと
「グランドブダペストホテル」
「犬王」を観終えて、真っ先に思い出した作品がこの作品だ。この作品はシュテファン・ツヴァイクの著作に献辞が捧げられたものだ。ユダヤ人で平和主義であった彼は世界大戦時の反ユダヤ主義の対象であり、母国からの亡命を余儀なくされた。そして、ナチスが認めない彼の書物は葬られ、彼はヨーロッパの未来に絶望しこの世から去ってしまった。こうして、現代ではほとんど忘れ去られてしまった作家となった。「グランドブダペストホテル」は、正に彼の著作に出会ったウェス・アンダーソン監督が架空のホテルマンの生涯として物語り、その物語が現代に伝えられるという入れ子構造の映画になっていた。
「犬王」は正に、現代においてほぼ記録も残っていない、忘れ去られてしまった猿楽師の犬王の物語り。そして、犬王が語る物語はその時忘れ去られようとしていた平家の無念の声を聞き伝えるものであった。しかし、悲しいかな、室町幕府の王道から外れた邪道たる犬王と友有も例外ではなく、その魂の叫びは無念に終わってしまった。
いいや、違う。
彼らの無念は確かに届いた。古川日出男が本を書き、それを湯浅正明が受け取り、この映画が生まれ、それは私たちに届けられた。
そして、それは単なる歴史的理解に留まらず、現代の文法で猿楽を表現する事で、かえって忠実であること以上の人の心に伝える表現の力にまで昇華していることが、本作の何よりも素晴らしい点だ。この映画の制作陣は、正に劇中の犬王のごとく現代的能楽の可能性を作ったのだ。
そして、これでは終わらない。犬王と友有の物語は私たちに継承された。表現は、無念は、物語は、これからも継承されていく。こうして、彼らはどこまでも生き続ける。だから、この映画のラストはハッピーエンドに違いないのだ。全ての物語が未来のハッピーエンドに続いていきますように。
我が名は犬王!
なんか残念な気持ちになる作品
最前線の方々が集結して作り上げた。みたいな謳い文句だったので、期待して観にいったのですが、とても残念な気持ちになりました。
ミュージカル的な要素を含ませているので仕方ないと思うのですが、主人公達の成長の過程や、距離感などがあまり丁寧に描かれないので、物語や登場人物に感情移入する作品ではないと感じました。また芸術性に偏っている訳でもないので、なんて言えば良いかよくわからないです。アニメーションも綺麗ですが、群衆の動きは単調だったりするので、感動するほどのことはないです。
また、これはもしかしたらジョークアニメーションとして観れば、、など色々な事を考えてしまうほど、途中のライブシーンが長く感じられました。早く終わって次の展開行ってくれと願うほどです。もちろん、テンポは良い所はあるのですが、悪いところの印象の方が何か嫌な感じで今でも残っています。
全てが上手く混ざり合わないと、こういう事になってしまうんだろうなと思う作品でした。
参加している方々のファンとかでない限りはおすすめできる作品ではありません。
力作だとは感じます
ミュージカルと言うのでシングやディズニー作品みたいな楽しいドタバタ系を期待して観に行ったらハズします。
そのつもりで行ったのでハズレました(笑)
しかし作画からは力を感じました。かなりの力作ではないかと感じています。でもそこまでです。
解せないのはここまでリアル、シリアス描写してきといてなんで現代的な音楽のロックにしたのか?あそこでエレキギターのソロはないわ。
せめてギターやドラムはサポート的に使ってほしかった。あくまでこの時代の楽器がメインで室町時代のセンスを増幅創造してほしかった。
音楽だけでなく、舞台装置やダンスとかも現代的なものをそのまま当てはめただけやん。アイデアがイマイチ。
その時代、犬王友魚は斬新だったのでしょ?現代人が観る演出としては斬新では、無いね、と。
惨殺シーンや爆死描写もあるので苦手な人にはオススメできないです。
とはいえ反芻思考してしまうかなりインパクトのある作品だと思います。
歌が長い
できる限り多くの人に「映画館」で見てほしい
古典+ロック、ミュージカル耐性は不要
アヴちゃんってすごいな。
声優としてもとても上手。演技もそうだけど、やっぱり歌声。歌い出すと感動する。弦楽器のような響きわたる声。
全体的なストーリーも良いです。アニメ作画も良い。
でも、これは人を選ぶ映画です。
まず、これはミュージックではないかと思います。ミュージカル耐性は不要です。ミュージカルのように、いきなり歌い出すわけではありません。あくまでもステージで歌うので、どちらかと言うとライブという感じです。
その上で、キツかったのは歌のシーンです。
けっこう長い。言葉が少し古い時代劇っぽいので歌詞がわかりにくい。ただただエレキギター聞かされた感じ。ロックや女王蜂ファンは楽しめるかもしれませんが、こんなにロックとは予想もしていなかったので、歌のシーン早く終わらないかな、、、と思ってしまった。映画館にもよるかも知れませんが、とにかくうるさかった。
あとはやっぱり声優かな、、、俳優としては好きでも、あんなに淡々と喋られと眠くなる。やっぱりプロの声優さんを使うべきです。
ロックステージシーンが1番の見ものだと思いつつ。私はキツかった。
身体が揺れる、震える、昂る。
湯浅政明、野木亜紀子、松本大洋。
映画館に足を運ぶには十分すぎるそうそうたる名前。
観賞。
一言でいうと色んな意味で
「身体が動く映画」。
おそらく三分の二ほどが音楽シーン、
しかも室町時代が舞台のため
演奏は琵琶がメインという
かなり大胆な作りになっているため
最初は少し不安がありましたが
ふたを開けてみると
歌も躍りも演出も新しくて
退屈しない。
(ミュージカル慣れてない人や苦手な人は長いと感じるかも?)
主演の森山未來さんとアヴちゃんの
演技と歌声にとにかく惚れ惚れする。
ストーリーと演出も
二人がのしあがっていく楽しさに身体が揺れ動き、
時代に呑まれていく悲しさに身体が震える。
吸い込まれる。
※残酷なシーンも少しあるので注意。
胸が熱くなります。
ミュージカルとしては圧倒的だが
初日舞台挨拶に当選したので初日鑑賞。
最近まったく事前情報を仕込んでおく暇がなく、「犬王」も古川日出男の「平家物語」から持ってきたんだっけ、とかやや誤解しながら鑑賞した(室町時代だった…)。
「狂騒のミュージカル・アニメーション」の名のとおり、ミュージカル・ジャパニーズ・アニメーションとしては面白いつくりだなとは思った。琵琶法師と能楽師がロックをやる的な。舞台挨拶では皆当たり前のように「フェス」と表現していたが、確かにあの情景は完全にフェスだ。どっからあんな仕掛け組める資金調達したんだろうな、とか、犬王と友魚以外のメンバーどっから来たんだろな、とかすごく余計なことが頭をよぎってしまった。
正直なところ物語的な起伏というか妙はそんなに感じることはなかった。犬王と友魚は共に「平家の無念」に人生を取り込まれ、それを語ることで切り開こうとするのだが、肝心のそこが完全にロックフェスとかパフォーマンスで、すごく良いけど言葉が完全に入ってこないのが難しい。そこは主眼じゃないのかもしれないが、物語をロックやポップで語りきるのって難しいものだなあと…。
アヴちゃんは圧倒的でした。森山未來もあんなに歌の表現力あったんだなあと思ってそこはすごく沁みた。
犬王は結局呪いを解放したら先がどうなるのかきっと分かっていただろう。そして友魚はそこで折れることはできなかっただろう。だから最後はああいう形になってよかったのか、どうなのか…。
個人的には犬王の父(津田健次郎さんだった)の執念通り越した怨念的な部分と、谷一さんが大変心動かされた。
全体にリズム含め「ボヘミアン・ラプソディ」っぽさを感じてしまった。あながち間違ってもいない気はしている。
良いのだけれど…
【”平家の呪いにより琵琶法師になりし男、異形の猿楽師と出会い、京の民を魅了する・・、が。”負の者同士が琵琶演奏を昇華させたロックンロール炸裂シーンと、ダイナミックな舞の映像にヤラレタ作品。】
■今作の魅力
1)大友良英氏が作曲した、琵琶法師・友魚達が奏でる楽曲の恰好良さ。
- 橋上で、京の民の前で、奏でる数々のロックンロール。及び演奏シーン。少し前に「ロスバンド」を観た際に、小さな女の子がチェロでロックを弾くシーンを観たが、アニメにすると、橋梁上での仰け反り、琵琶掻き鳴らしシーンは、格好良し!。
更に、あの観衆を巻き込むリズムはクイーンの”We will rock you"に酷似している。そりゃ、熱狂するよなあ、京の民。-
2)松本大洋のキャラ設定及び、それの様々な手法でのアニメーション化技法。
- 筆で書いた様な繊細な画から、異形の犬王の不思議な舞のシーンなどは、アニメならではであろう。特に、湖上の楼閣の廊下を龍が舐めるように通り過ぎるシーンや、湖上での舞のシーンは、市川猿之助のスーパー歌舞伎を彷彿とさせ、且つアイスダンスをも想起させる見事さである。-
3)三種の神器の一つである、安徳天皇と共に水底に沈んだ、草薙剣を壇之浦の海中から引き揚げようとして、平家の呪いにより、琵琶法師になった友魚と、その異形故に虐げられてきた犬王が出会った事で、”負と負が昇華し、止揚(アウフ・ヘーベン)していく様、”見事な音楽と舞を圧倒的なエネルギーとともに生み出すシーンには、カタルシスすら感じる。
4)犬王の身体の変化と、友魚との関係性
・異形の姿から、最期、凛々しき男の表情が露わになるシーン。
そして、時を越えての再会。
<今作を難解と思われる方もいるかもしれないが、全くそんなことはない。
平家物語を知らずとも、無心に観ていれば、今作は心に響くと思うし、独特なタッチのアニメーションもすんなりと楽しめる。(但し、ロックが苦手となると、どうかなあ・・。)
今作の、ダイナミズムな舞、演奏が炸裂するシーンには、唯一無二の世界観と共に魅入られたのである、私は。>
「しいたげられた者の反撃」ストーリーテリング、絵の独特の美しさは良い。ただ「琵琶」と「猿楽描写」はブッ飛びすぎで少々長い。
最初の表題は、有料パンフの原作者の言葉の受け売り。音楽と舞の中だるみはあるが、なかなかの佳作アニメ。
デザインが良い。
コレと「平家物語」の一本化、オーソライズという歴史のカラクリ、
壇ノ浦で安徳天皇と共に滅びた平家の怨念。
なかなかストーリーは面白い。大和猿楽の観阿弥・世阿弥によって確立された「能」
滅び去った近江猿楽比叡座の道阿弥・犬王。
心理的な抽象、怨念と具現的な「歴史は恣意的に記録される」を猿楽の舞と琵琶の音がつなぐ。
異形の奇形で生まれ疎まれる能楽師と盲目になってしまい、琵琶法師に弟子入りした者
2人の「虐げられたもの」は共鳴し
見事な舞と謡曲を完成する。
歴史は「滅びの刹那」が面白いから、ツボにハマる。
あと歴史は江戸時代の「大日本史」その他によって
当時の東京帝大(それ以前)の教授によって過去の書物の整合性を丹念に精緻に検証したもの
だからか「為政者、権力者にとってムシノイイ話」がベースだから・・
この手のアウトロー的な話は面白い、原作読みたくなった。
平氏の怨念はオドロオドロしくて良い。絵も丁寧だ。特に室町時代の家屋・・
サクサクと行こか・・・と掴みはokであった。
ただ歴史の想像、飛躍は楽しいのだが、肝心の猿楽と琵琶の音が・・ビックリ‼️飛躍しすぎ
どう見ても、ハードロックというかヘヴィメタというかパンクというか・・・
どう見ても、ダンス、ブレイクダンス、バレエ、ヒップホップ、オリンピック体操の平均台、平行棒か??
この描写が当然の如く長いんだわ・・・チト辟易、もうチコっと和風で良くないかい?
そこで「寝ないことが勝負の分かれ目」映画。まあ「たまにはこういう作風も良い」と思わせる佳作と言っておこう。
時間は短く感じます。
松重豊は「脳内で松重豊の声刻まれている」有名俳優だから・・チト声優的には個性が出過ぎて、太った男
に合わない、違和感なのはご愛嬌ですね。
なんで途中、犬王の手が短く普通になったのだろか?
でも楽しいよね、歴史の想像、平氏の怨念。
でも「将門塚の呪い」は1億%インチキ。名もなき落武者の方が怖いってば・・・クソ威張りしていた棟梁など怖くないよ。
君を探して600年。
ファーストテイクと言う企画モノ動画でアヴちゃんを観て一発でノックアウトされました。アニメ・どろろのOP曲にもなっていた「火炎」を、アコギ一本の伴奏で歌うんですが、カッコ良すぎですよ。シビレまくりました。
よって。
100%アヴちゃん目当てでした。正直なところ、もっとアヴちゃんの歌を聴きたかったですけど。展開上は十分だったですかねw
申楽が現代化します。クラシックなロックから、ジミヘンになり、ちょっぴりヘビメタ化したり。ヒップホップダンスが体操になってトドメがシルクドソレイユw
もうね。吹っ飛んでますが。これくらいの嘘くささは、あって然るべきでしょうか。
物語りの方は、源平合戦から室町幕府の権威確立までの時代を背景にした若者たちの悲劇、と言うのが基本的な立て付け。平家の呪いや、悪魔的な存在を、起承転結のカナメにしながら、割と淡々と、ともすれば無機質に話を進めて行きますが、その控え目な悲劇展開は、結構好きかも知れない。
ハケンアニメを見た翌週に見たせいか、作り手の裏側を、色々と空想してしまうと言うw
作画の特徴もですが、登場人物の内心描写が良い感じにしつこさが無かったりして、スリムな作りが心地良かったです。
難易度が高い
良い意味でとても形容しがたい作品
この作品の表層部分を表すなら、友情サクセスストーリー、オペラやミュージカルの様な楽しさだと思います。
ではアニメである必要なくない?と思われるかもですが、本作はアニメでの表現がベストな作品であると思えます。それは、実際に存在するが目に見えない物を表現しようとしているからだと思います。
実際に視聴しているとなんとも不思議な感覚を感じます。一例ですが、匂いの表現などは今まで感じた事がない感覚でした。
そして、ぶつけられたテーマは予想より深い物でした。
人を感動させるのは、魂から出た表現であり、正の感情、負の感情は関係ないという物だと感じます。他人からの賞賛はその後についてくるもので決して順序が逆ではいけないという思想かなと...
そして最後に史実?の犬王の顛末が説明されますが、それがとても納得できるものとなっていました。
とても大きくそして、小さいテーマを描いた作品だと思います。
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