「犬王・友魚・二人の友情の物語。」犬王 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
犬王・友魚・二人の友情の物語。
内容は、舞台は平安時代魑魅魍魎の跋扈する京の都で起こる。猿楽と呼ばれる芸能と琵琶法師による🎭コラボレーション犬王と友魚二人の友情物語。要素として皆さんのレビュー通りで、手塚治虫の『どろろ』と世阿弥『風姿花伝』と『平家物語』を組み合わせて、二人の主人公の友情を扱った作品。
印象的な台詞は、『美しい仮面も仮面に過ぎない全ては作り物ということだ』犬王が公家達に花見の宴席でいう言葉。一貫する諸行無常をよく表す言葉で面白かった。
印象的な場面は、友魚が兄弟子と共に京に登る場面の大工仕事や生活風景の場面。槍鉋や板割り茅葺きや墨打ちなど緻密で素晴らしい表現に驚いた。メシいた場面からの音の視点から現れる映像表現は新鮮でした。
印象的な演出は、琵琶法師とハードロック特に、最後の🌸桜散りゆく場面で完全体となった犬王が無音の中、唯一無二の友魚を素顔で探す場面。無表情が非常に悲しく伝わりこの場面での能が一番印象的でした。
最後に、現代の世界で無念を語り継ぐ友魚を違った生き方をしながらもお互いの事を思い合った犬王との再会が感動的でした。平家の呪いを受けた犬王が、呪いを祓う。その呪いを友魚が600年引き摺る。しかし最後に二人は再会。お互いを『犬王!』『友有!』と呼び合う様はカタルシスを覚えます。
『腕塚・重盛・鯨・竜中将』其々のパフォーマンスで合計45分超えという半分はMVの様な作りには気怠さも感じた。ピンポンを強く意識した影も感じれて個人的は好きですが、主題として世の儚さや虚しさに友情を合わせる事には、視野がぼやけてしまう様に感じる所が残念です。余りに素晴らしいアニメーションだけに勿体無いと感じました。色んな感じ方があるとは思いますが、基礎知識無しに見るには厳しい感じもしたので、その点でも勿体無い作品です。