「宇宙をさ迷う巨大船と人類の遥かなる旅」ANIARA アニアーラ N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙をさ迷う巨大船と人類の遥かなる旅
また異なる「インタステラー」に出会ったような気分。
数年で決着がつくかと思いきや、恐ろしい距離と時間を経て宇宙空間をさ迷う巨大船と人類の行方を追う物語。
奇しくもひとつ前に見た「コンクリート・ユートピア」と構造が似ている。
いずれも非常事態における閉鎖空間の群集心理だ。
だがこちらは分断や対立は起きず、個々が静かに壊れてゆく。
この差はお国柄から来るのか、ハナからテーマの違いからか。
いずれにせよ破綻したように見えない、真に迫る人々の心理の変遷から目が離せなかった。
釘付けにするこれみよがしでない描写も、従って荒廃してゆく船内も生々しい。
この絶望加減は穏やかなホロコーストに匹敵する。
それでもなんとか生き抜こうとする人間の、弱いからこそしなる如きしぶとい強かさが神々しくもあった。
最後までどうなるのか予想できず、前のめり。
500万年後の船は果たして本当に石棺なのか。
もしかすると・・・と過らせるニクイ作品だった。
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