劇場公開日 2019年7月13日

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「アリアーラが示すものとは・・・?」ANIARA アニアーラ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アリアーラが示すものとは・・・?

2023年1月9日
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うむ・・・中々考えさせられるテーマの作品だった。話題の原作は未読なのだが、どうだろう。更に難しいテーマになっているはずだ。それを最後までめげずにページをめくれる自信が自分には無い。よほど文学に対する意識が強い人で無ければこれはある程度かいつまんだであろう劇場作品で十分かもしれない。
本編の中で、シーンが暗転する度に何年か経つ形になるのだが、本来約1ヶ月で着くはずの場所に何年経っても辿り着かないという焦燥感や恐怖感が上手く描かれている。初めの数年は微かな希望を信じて決して美味しくは無いという食料を受け入れて生活をするのだが、段々と狂気を帯びてくる乗客の意識が異様な混沌さを産んでいく。
主人公は、「MIMA」と呼ばれる人々の意識を映し出す装置の管理をしている人物なのだが、初めは体験者の少ないものがトラブル後に管理出来ない程に需要が増していく。そのMIMAが後々新たな火種を産むことになるのだが、10年単位の世界になるとおかしくなるのは当然だろう。新興宗教の誕生、性快楽信者の誕生、謎の違法薬物の誕生と秩序もへったくれも無い世界へと変わっていく。
今でこそ地球は平和かも知れないが、地球がここと同じ状況になった時に人々はまさにこうなるはずだ。このアニアーラ号は、我々が住んでいるこの地球の宇宙船版。人類の誕生から退化までをここで描いているのだろう。ラストで描かれるそれは、これからの人類の未来なのか、警告としてのメッセージなのか、それは原作を読んでより深める事が出来るのだろうが、ともかく背筋の寒くなる思いのする作品だった。近年はハリウッド級のスケールで映画が製作されており、今までは埋もれていた構想やらが実現されて来ている。コロナ禍における映画産業の低迷はあるかも知れないが、映画好きには面白い時代なのかも知れない。

Mina