「クレージーキャッツの曲の様な制作気質を観る側も理解出来れば楽しめます♪」電車を止めるな! のろいの6.4km 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
クレージーキャッツの曲の様な制作気質を観る側も理解出来れば楽しめます♪
以前からなんとなく気になっていた作品で、なかなかタイミングが合わなかったんですが、なんとか観賞しました。
で、感想はと言うと、正直う〜ん…な感じはします。
作品のジャンルはホラーコメディと謳っているのでそう言われればそうかもなんですが、感動作と言えば感動作っぽいし、自爆ギャグ満載のコメディと言えばコメディ。
かと言えば“マジか?”と言う感じでホラーを確り作ろうとしているホラー映画の様な…
どうにもどっちつかずで劇中劇の作品なので、なんとも言い難い所が多々ありますが、銚子電鉄の社長が最初に「銚C級映画」で「期待しないで~」と言っていたので、期待してはいけないんだと痛感w
でもそう考えると、割りとよく出来てるかもw
果てしなく実在の銚子電鉄と同じく、経営不振からの一発逆転を狙って、様々な企画を打ち立てる中で起死回生の「心霊電車」と言う企画を打ち出し、いろんな心霊現象を演出するも視聴者からの厳しい書き込みで炎上。
しかし、丑三つ時に本物の霊現象が起こり始める…と言うのが大まかな粗筋ですが、何故そうした?と言うのが感想w
原作もあるらしいのですが、それも無視と言う事で原作の意味無しw
内容から製作に至るまでも色々とツッコミはあるんですが、正直それを言ってしまうと身も蓋も無いと言うか、キリが無いw
でも良い所は結構あるんですよね。
細かい部分でのツッコミと言うか、小ネタが効いてて、その辺りが小気味良い♪
作品の質云々よりもこういったジャブが効いてる方がスッキリします。
内容に個人的にはもっと感動作かコメディに振り切った方が良かったかな?と思ったりするんですが、変に脚色し過ぎてもなんかイヤらしい感じにはなるのでその辺りの加減が難しいんですよね。
ラストの線路の上で自分の子供に帽子を被せてもらうシーンなんて、感動的で良いんですよね。このシーンだけを見ると感動作に思えますが…騙されますねw
銚子電鉄の経営不振は時折ニュースなんかで見かけますが、全国各地のローカル線は
何処も同じ様な感じで、銚子電鉄だけが特別でも無いんですが、ただそれをギャグにすると言うかとりあえず話題しようと言うのは買うと言うか、商魂逞しいw
まもなく創業100年を迎えようとする程の歴史があり、地元に密着しているとは言え、沿線人口の減少による業績悪化などで四苦八苦状態。
それでも状況改善として、ぬれ煎餅の製造販売や「まずい棒」、地元名産の鯖を使った「鯖威張るカレー」の販売など、なんでもありの生存戦略は関西人顔負けw
この辺りは関西の「ひらパー」こと「ひらかたパーク」になんか似ている感じ。
ただ、遊園地と違うのは、だからと言って地元でも無い限り使うか言えばしょっちゅう使う事は多分稀。
いずれにしても厳しい状況が続くんですが、「銚電を必要とする人たちのためにこれからも電車を走らせ続けたい」と言う想いから、映画製作に取り組み、クラウドファンディングも行うなどで完成を試みた訳ですが、「もっと売れる内容の作品にしろ!」とか「映画を作る暇があるんだったら、本業に精を出せ!」と言う言葉は山程来ていると思うんですよねw
多分映画の内容云々よりも話題になって、お客が入って、その売上で本業の鉄道業務の補填になれば良し!と思っているのであれば、まあ内容はやっぱり二のツギ三のツギなんでしょうねw
出演者は著名な方は殆どおられなくて、オリエンタルラジオの中田敦彦さん、片岡馨(プリティ長嶋)さん、ホラー漫画家の日野日出志さん、鉄道アイドルの木村裕子さん、全日本プロレスの宮原健斗さんと見事に演技にあまりご縁が無い方がズラリw
この辺りも作品のB級感いやC級感が漂います。
銚子電鉄の社長、代表蔵本勝介役のコウガシノブさんがめちゃくちゃ頑張っていて、コウガシノブさんの演技が光る作品です。
銚子電鉄の危機的な状況を何処か楽しむ感じでいろんな事にチャレンジして、結果映画を作って、その姿勢が作品にも表れている感じですが、映画を真面目に作っても全てが面白い訳でもないし、どちらにしても面白い事をやろう!とする姿勢は嫌いじゃないです。
単館系作品に一石を投じると迄は行かなくても、話題になるのは確か。
ハナ肇とクレージーキャッツの「スーダラ節」の様なテンションで、社長の姿勢が何処か社風にもなっていますが、そこが「無責任一代男」や「黙って俺について来い」みたいなノリに感じますw
好みはありますが、期待しないで観ると結構楽しめますし、観る事で映画の懐の深さも味わえますw
上映館は限りなく少なくなっていますが、機会がありましたら如何でしょうか?