「優しさに包まれた壮大なラブストーリー」糸 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
優しさに包まれた壮大なラブストーリー
本作は、北海道、東京、沖縄、シンガポールを舞台にした、平成の時代とともに綴られる壮大なラブストーリーである。涙する切ないシーンが多いが、単に切なさだけを強調してはいない。大丈夫、抱きしめる、などの台詞に代表される優しさに作品全体が包み込まれている。また、中島みゆきの名曲『糸』を基にしているので、人生、運命というテーマにも踏み込んだ深みのある作品になっている。
本作の主人公は、高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)。北海道の美瑛で13歳の時に出会い、惹かれ合っていた二人は、葵の家庭の事情で離れ離れになってしまう。七年後、偶然、東京で二人は再会するが、お互いの想いはすれ違っていた。その後、漣は結婚し、葵はシンガポールに渡るが、二人の人生には試練が待ち受けていた・・・。
物語は、平成の時代とともに、離れ離れになった二人の山あり谷ありの人生を淡々と綴っていく。記憶に新しい平成時代の様々な出来事に触れていくので、我々の人生を二人の人生に重ね合わせることができる。二人の心情に素直に寄り添うことができる。
ファイト、時代、そして、糸。メッセージ性の強い中島みゆきの楽曲がタイミングよく挿入されている。楽曲の力によって、作品の印象がより強く心に刻み込まれる。
演技派として定評のある菅田将暉は、本作のようなラブストーリーでも演技力で魅せてくれる。漣の心情、特に葵への想いを、台詞、佇まい、表情などを使って、気負いなく自然に表現している。彼の心情が手に取るように理解できるので、その切なさに感情移入ができ涙が溢れてくる。小松菜奈は、台詞は少なめで、子供の頃の不遇ゆえの絶望感、諦め、漣への想いなど、複雑に絡みあった葵の心情を静かに表情で表現している。
ラストシーン。そうであって欲しいと願っていた、作品の締め括りに相応しいものだった。
本作は、切ないラブストーリーではあったが、観終わって優しい気持になれる秀作である。
こんばんは、コメントありがとうございます。
私の書いたのは、話題にしていただかなくて構いませんので。自分の好きなように書いてしまってますので。
そうか、みかずきさんは、一つ一つの作品に愛を持ってられるのですね。レビューする作品のみ?ではないですよね。
どの作品にも長所を見つけ膨らませておられますね。だから、拝読すると作品の事がよくわかります。
みかずきさん、ラブストーリーです。演ずる俳優の菅田将暉は小松菜奈にぞっこんで、成就させましたし。ただ、ストーリーに首を傾げるところが多々ありました。弥生、三月との比較はいかがですか。