「〝糸〟というよりも〝ファイト‼️〟の方がふさわしいかもしれません」糸 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
〝糸〟というよりも〝ファイト‼️〟の方がふさわしいかもしれません
冒頭のレビュワーの方が、「いい映画を観た、と言える作品」と書いておられたので、普段は感覚的にしか物事を捉えることができない私が、柄にもなく、『はて、いい映画の条件とは?』なんて考えてしまいました。
この映画はサスペンスやホラーやSF要素はないという前提でいくつか思いついたのが下記です。
・登場人物を応援したくなる
・自分の日常では、たぶん死ぬまで経験できないようなビジネスの世界や憧れの場所や未知の国へ連れて行ってくれる
・泣いたりヤキモキしたり、色々な感情が次々と味わえる
・見終わった後、満たされた気分に包まれる
あれ?この映画、すべて当てはまってる❗️
そのうえ、さらにです。
・ヒロインは少女時代も成人してからも文句無しの美形‼️
・ガサツに見えてもおかしくないのに、食事しながら泣いてる表情が狂おしいほど愛おしい❗️
もっと決定的なのは、コロナ禍の渦中にこの映画を見ることで、どれほどの温もりが日常の中から失われているか、を突きつけられることです。
・泣いたり悲しんでいる人を抱きしめてあげる
・子供食堂のような集まり
・守りたい人や愛する人の手を握りしめる
・大声で思いの丈を吐き出す
・結婚式などのパーティー
この映画は、ついこの前までの平穏な状況で、出来映えはどうかな、と観てしまうと、まぁそこそこ、と感じる方もいらっしゃるような気もしますが、先行きの見通せない不安を抱えているリアルタイムの感覚の今観ると、とても暖かくて前向きな気持ちになれる作品だと思います。
私はとても心に染みました。
(以下、ふと思いついたことを追記。2020.8.20)
『思い、思われ、ふり、ふられ』を観たあと、ああ、繋がっているんだな、と思うことがありました。
それは〝安全基地〟という言葉。
「朱里は私にとっての安全基地だった。今度は私が朱里にとっての安全基地になる」
縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は
いつか 誰かを
暖めうるかもしれない
いつか 誰かの
傷をかばうかもしれない
自分にとっての安全基地が、今度は子どもや他の誰かにとっての安全基地にもなっていく。
葵にとっての人生は、幼い頃から恵まれることのなかった安全基地がどこかにあるはずだと求め続けていく旅ですから、途中で、こんがらかったり、切れたり、見失ったり。
誰にとっても、その思いは切実で、決して人ごとではないと思いました。