「君は、今まで、どうやって生きて来たのか。」猿楽町で会いましょう bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
君は、今まで、どうやって生きて来たのか。
インディペンデント系の匂いがプンプンするのと、石川瑠華が好きじゃなかったので、ほぼスルー態勢に入っていた映画でした。いや、これはスルーしなくて良かった。
石川瑠華の「あざとさ」を逆手に取ったキャスティング。その石川瑠華が体当たりも体当たりで、ドロドロ女子の醜ささらけ出しの役を見事に演じ切ってて良かったです。体当たりの演技をした若手女優さんと言えば、「歯まん」の馬場野々香さんだと思うんですが。この「全く共感できないビッチ役」は、同レベルで勇気が要ったと思うわけで。
業界の内幕暴露と言うほどの脚本じゃなく、一般公開可能な倫理の内側にとどめてあるんだろうなぁ、とは思いますが、結構攻めてます。所謂、マクラ営業もする女の子に挑む石川瑠華ですが、そういう挑戦的な映画と知ってれば、もっと早く見に来たのにw
今時の都会の若者の恋愛事情にとどまらず。自分がどんな人間なのかを知りたくない、なんて言う虚無の境地の女子。フワフワして甘ったるく生きて行きたいのに、ドロドロした現実にあえぎ、欲望も抑えきれず、孤独とも向き合う強さなんてもんは持ち合わせず、現実とのギャップから目を背ける様に嘘をつくことで生きている女の子。
共感要素ゼロの、あざと可愛いいビッチ。
少しづつ。少しづつ。自己願望を実体化させ、写真家としての方向性を定め、実績を積み上げて行こうとしている若者。
少なくとも、これは恋愛物語じゃなく、恋した男子が現実と向き合わない女子に決別する旅立ちの物語。
「自分がどんな人間なのかなんて知りたくないよ」
観る人に、このセリフをグサリと突き刺すための120分。
映画としてのクオリティも高かったし、これは良かったです。予想をはるかに超えてました。
石川瑠華さん、ごめんなさい。体当たりの演技、良かったです。
これからは応援しますんでw