「私ってどんな人?どんな色?」猿楽町で会いましょう 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
私ってどんな人?どんな色?
予告からは全く想像のつかない展開を見せる“すごい”映画だった。
駆け出しの写真家小山田と夢を追って上京してきた読者モデルのユカ。
幸せそうな前半。
ただし、ユカからはなんとなく不信感が漂う。
言葉にはできないモヤモヤが蔓延しきったchapter1。
答え合わせ的に始まるchapter2。
そして、chapter3。
何故、嘘をつくのか?私は一体何者なのか?
多分、ユカ本人もよく分かっていないと思う。
わからないからこそ、嘘をつく。
なんでこんな宙ぶらりんな関係が続くのか?本当は誰が好きなのか?
本当に人を好きになったことある?
本当に人を好きになるってなんだろうか。
そういった彼女のヘルプが、画面越しにまざまざと伝わってきた。
登場人物はろくでもない奴らばっか。
男たちはキモいし、女たちは怖いし。
東京という場所に「夢」だけを追いかけてやってきて、訳も分からず、自我も構築されないまま東京の街に染まろうとする。
そして、東京という街に搾取されていく。
だから、どうしようもなくてもユカを救ってあげたかった。
画面のこちら側からでも守ってあげたかった。
知らない方が良いこともある。
どんなに親しくなっても、自分の知らないその人の裏の部分は誰にでもある。
プライベートなことはあまり詮索しない方が良いとは思うけど、愛があればそこに疑いが生まれるのは当たり前のことで…難しい…
石川瑠華さん本当にお疲れ様でした。
なんとも言えないオーラがあり、ヤバいやつだけど守ってあげたいヒロイン感が素晴らしかった。
メンズエステでバイト先の山本君に襲われるところや小山田が帰ってきちゃうところが、やけにリアルで苦しかった。
前野健太さんの印象が悪くならないか心配です笑
何かはわからない。
エンドロールの空いた口が塞がらないほどの衝撃。
東京渋谷区猿楽町。
「丁目」の設定もないこの小さな街が、とてつもなく巨大なものに思えた。
猿楽町で会いましょう。