「ふたりの今後をそっと追いかけたい。」猿楽町で会いましょう はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたりの今後をそっと追いかけたい。
ラストシーン。私はめっちゃ良かった。もうおそらく交わることのないふたりのこれからを想ってまだ余韻に浸っている。
似合わない金髪で精一杯自己主張する修司。何が撮りたいのか伝わってこないと言われつつもフリーカメラマンとしてなんとか仕事を得てここ猿楽町で生きている。
田舎から上京し読者モデルをしながら役者を目指すユカ。上っ面な世界に片足をつっこんでなすがままに搾取される。いろんなものを。心を許せる相手なんてきっといない。この街には。
中途半端な修司と嘘つきなユカが出会う。
「あんな子はこの業界にはたくさんいる」と揶揄されるユカ。まさにそう。よっぽどでない限りどの世界にも誰かの代わりがいて、代わりの代わりだっている。だからよっぽどになる為にもがく。傷付け合いながら。
はじめからずっと嘘つきなユカとその嘘を暴くために嘘をつく修司。なんて醜悪でやるせないのか。でもふたりの結末に他の選択肢はなかっただろうな。
「あなたはどんな人ですか」こんな問いかけにきっぱり答えられる人がいるならやっぱりその人も嘘つきなのかもしれない。人って結局いろんな嘘をつきながらうまくその場をしのいだりして生きているような気がする。
監督はこれが長編デビューですか。次も楽しみですね。そして体当たりで挑んだ主演のふたりが本当に素晴らしかった!とくに金子大地が良かったな。横顔が印象的でした。今後も大注目。
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