「伝説の巨人をガチで探して歩く珍道中ドキュメンタリー」ジョアン・ジルベルトを探して よねさんの映画レビュー(感想・評価)
伝説の巨人をガチで探して歩く珍道中ドキュメンタリー
2018年6月、サンパウロで開催された音楽ドキュメンタリー映画祭で鑑賞しました。
ジョアン・ジルベルトといえば泣く子も黙るボサノヴァの生き神様。泣く子も黙るどころか本人が来日公演中に黙ってしまって観客が騒然となったという伝説があるレジェンド中のレジェンド。そんなレジェンドに感銘を受け本人に直接会って生で"Hô-bá-lá-lá"を聴かせてもらいたいと何のツテもないのにリオを訪れてジョアンを探すノンフィクションを書いたドイツの作家マーク・フィッシャーはその本が出版される数日前に亡くなっていた。じゃあ彼の足取りを追ってジョアンに会おうじゃないかとリオにやってきたのがスイス人の映画監督ジョルジュ・ガショー。
リオでマークの助手を務めたハケウさんとともにマークが遺した情報の断片を追ってジョアンを知る人達に片っ端から会いに行くジョルジュさん。ミウシャ、ジョアン・ドナート、マルコス・ヴァリ、ホベルト・メネスカウといったボサノヴァの巨人達からショボいレストランのシェフ、床屋の親父、ジョアンの旧友達といった怪しい人々まで会いまくるのですがなんせ全員ブラジル人の爺さん婆さんなのでそりゃあもうエライ目に遭うという、ブラジルあるあるがパンパンに詰まった大爆笑のドキュメンタリー。果たしてジョアンに会えたのかは書けませんがブラジルってそういう国だね!というのがストンと胸に落ちる驚愕のラストであることだけ言っておきましょう。これはスゴイわ、参りました。
この映画祭、何気にジョルジュさんの作品が特集されていて他にも面白そうな作品がいっぱいあったのですが観れなかったのが残念。本編上映前にはご本人も登場して挨拶されましたが、上映後外に出るとご本人がシレッと立っていたので思わず最高でした!と握手してもらって写真も撮らせて頂きました。当たり前ですが作品中のご本人と同じく物静かで優しげな方でした。