「これが音を楽しんでいるということか」音楽 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
これが音を楽しんでいるということか
劇場公開を見逃してしまった本作。
なんだこの映画は。と予告を見た時に思っていたが、それは映画を見たあとも同じだった。だが、意味は違う。強烈で猛烈にいい映画だった。
圧倒的に足りていないコマ数と情報量。
わざわざ映画にするほどかねと思ってしまう作画。
冒頭はなんだこれと言いたくなる。このまま、意味がわからない展開が続くのかと不安になっていたが、もちろんそんな訳は無い。
後半になるにつれて、コマ数と情報量の不足、とても映画とは思えない作画が計算された上でのことだと思い知らされる。こんなのはこの映画にしかできない。ただのアニメでは、ただの実写映画では表現することが出来ない。言葉では表現出来ないカッコ良さがあった。
キャラクターの一人一人の背景なんてもんはもちろん無く、ストーリーも突拍子が無くてどれもいきなり始まる。なのに、登場人物全員個性豊かで全員印象に残る。疾走感のあるストーリー展開に、70分というすごく短い尺。終わり方も何から何まで完璧だった。
こんなに短い映画なのにちゃんと笑いの流れみたいなのも作られているし、間のとり方が上手くてシュールな笑いがたまらないためストーリーの面白さとしても、コメディ的な面白さとしても完成度が高くて中々の満足感が得られた。あのヤンキー集団と絡まれた時のケンジの対応がめっちゃ笑えた笑
そしてタイトルにもあるように、この映画は「音楽」の魅力を最大限出している。音を楽しむと書いて音楽。彼らはまさに音を楽しんでいた。皮肉のように登場していたロックフェスのアーティスト達とフォークソング部。一体それは音を楽しんでいるのか?本当に楽しんでいるのは不良3人だけではないだろうか?
やっぱり、音楽は偉大だ。最高にぶち上がったし、最高に楽しかった。無知で適当で雑な感じがとてもいいのだ。彼らの音楽に対して誰も批判をしないのもまた素晴らしい。音楽に正解なんてないんだから。
ポスターと名前でこの映画と距離を置いているそこの貴方。騙されたと思ってぜひ見て見てください。音楽をやっている人、音楽に興味が無い人に特に見て欲しい傑作です。