「彼らにとってのそれは音楽だった。」音楽 shinkatoさんの映画レビュー(感想・評価)
彼らにとってのそれは音楽だった。
物語的な意味で最も奇跡を感じたのは研二が音楽室から楽器を拝借するときにギターとベースを間違えたところ。
もしあの時、間違えずにギターを持って行ってたら、鳴らした音を彼ら自身はどう感じただろうか?おそらく気持ち良さよりもそれぞれが抱くバンドサウンドとの程遠さによる失望が上回り、その後、彼らは古武術になることは出来なかったと思う。
彼らが初めて鳴らした音が偶然にもリズムの本質に肉迫したことで、彼らは感動を覚えたし、それは観てる我々にも欠損なしでダイレクトに伝わってくる。
そこに作品的としての奇跡が融合される。絵を観た時、思い浮かんだのはちびまる子ちゃんだ。さらに笑いの部分も「緊張と緩和」的なものが多く、さくらももこ風味を感じた。しかし、彼らの体の動きはそれとは違う。妙にリアルで若干の不気味さを感じる程であるが、それが演奏する彼らにダイナミズムを与えており、日常とのギャップが鮮やかに表現されていて素晴らしい。
ラストのフェスシーンは若干理解不能なことがあったが、原作を読んで確認したい。それでもこみ上げてくる熱いものは何だ?傑作であることは間違いないだろう。
個人的には研二達を見守るアヤの存在感が最高だ。
コメントする