「素晴らしかった」音楽 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
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私事なのだけど、20代からバンドをしていてノイズバンドあがりのロックでオリジナル曲を演奏していて、台湾やイギリスのロックフェスに出ていたのだけど、外国には行かなくなって、数年前まで漫画家のバンドのイベントなどに年に1度あるかないかの活動になっていた。それというのも、音楽で伝えたいものが何もないことに気が付いて、そもそも才能がないし、音痴であることが恥ずかしくなり、今では活動はすっかりなくなった。しかしなぜそんなにもしつこく続けていたのだろうかと、同期でやっていた友達のバンドももう消息が不明で、結局若者のものなのだろう、みたいに思いつつも当時の活動を漫画や小説にできないだろうかなどと考えていた。
そんな折この映画を見たら、確かにデタラメにでかい音を出すのが楽しかったことが思い出された。なるべく少ないコードでどうにかかっこいいリフを作ってでかくてひずんだ音で演奏して、仲間が合わせてくれるのが本当に楽しかった。自分が音痴なので気のいい仲間に合わせてもらうよりしょうがない。そして、我々が演奏しているとなぜかお客さんが興奮して勝手にステージに上がってきて騒いで大変な人数になることがしばしばあって、ちょっと迷惑だったのだが、この映画を見ていたら理由が分かる。へたくそが頑張っていて風通しがよかったのだろう。
主人公、音楽に対する情熱が少なすぎるぞと思ってイライラしていたらクライマックスであの演奏にたまげた。演奏シーンが素晴らしかった。
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