「映画ではなく新春隠し芸大会」新解釈・三國志 Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
映画ではなく新春隠し芸大会
福田監督作品は「ヲタクに恋は難しい」「今日から俺は」
を今年観てまあ作風といったものは概ねわかった状態で観賞
この監督の作品はとにかく
①テンポ無視のアドリブギャグの数打ちゃ当たる
②そのくせボケるツッコむみたいなメカニズムもない
③特定層にはウケてるっぽい
④割とアクションシーンが良かったりする
⑤実績があるのかどんなキャストも揃えられる
⑥原作ものはとりあえずファン激怒
という印象です
ブランド化してるっぽいですが
「映画を観た」気にさせてくれない監督です
しかもそもそもそれくらいの志向なので怒っても
仕方がありません
カップラーメンに海原雄山がキレるようなものです
で今作ですが
三国志を舞台に有名な「桃園の誓い」「三顧の礼」「赤壁の戦い」
などのエピソードにギャグを入れつつ辿っていく作品となっており
西田敏行扮する歴史家の新解釈という設定でどう見ても
「カ■▪サの屈辱」のパロとしか思えない雰囲気で進めていきます
その新解釈では
劉備は普段は全然やる気無いけど酒が入ると豹変
関羽と張飛はボケ倒す劉備のツッコミ役
諸葛孔明はハッタリ屋でアイデアは奥さん頼み
曹操はスケベのお調子者
孫権はバカ(まあ全員バカなんだけど)
などのキャラ付けがされています
前述の通り史実通りに進んでいくのですが
相変わらずどうでもいいとこばかりダラダラボケを繰り返す
パターンはテンポをぶち壊しにしておりゲンナリします
序盤は笑い声があったのですが後半はシーンとなっていました
モンティ・パイソンのテリー・ギリアムがどんなにボケ倒した
映画作っても客は最初の40分しか笑わないと言ってましたが
ホントそう思いました
まあそもそも面白くないギャグってのもあるんですけどね
なんか歴史観のないバイトとかネバギバとかって単語を
使うだけで面白いと思ったのかもしれませんがそもそも
演じ方が現代なりなので全然滑っていましたね
序盤の黄巾族役の山田孝之の無駄遣いとか
いきなり厳しいです
あれ別撮りだったんでしょうね
有名な糜夫人が子供を趙雲に託し井戸に身投げするシーンも
少なくともギャグで処理するシーンですかね?
つまり映画特有のメリハリのある場面展開もなく
きわめて尺が長いTVドラマ的にダラダラ進んでいく展開で
客は映画を観た気分にさせられていない印象を受けるでしょう
映画だと思って観なければアクションシーンの案外な良さや
結構凝ってる衣装などもあるのですが
全体的には正月にやる新春隠し芸大会にしか見えません
あれってまだやってるのかな
まあ重たい話の映画を観た後だとこっちは明るくて良いなと
思えるところもあるでしょうしこの作風に慣れているか
慣れていないかで多少評価も違ってくるかもしれません
ただ自分みたいに映画館行きまくる人ばかりでなく
普通の滅多に映画館行かない人はいざ映画館に行く時って
映画ならではの体験や名作を求めていると思います
そういう人たちに向けては相変わらず
前払いで欺されたと怒らせる作品にしか
なってなかった気もしますが
テレビ的なノリのほうが安心して観に行く人も
いるのかもしれないし…
この調子で日本の戦国時代とかもやっていきそうな
感じがしますけど中身は変わらなそうですね