劇場公開日 2020年2月7日

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「【静やかな日常の中の”不連続性”を優しい視点で描いた品性ある作品。】」静かな雨 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【静やかな日常の中の”不連続性”を優しい視点で描いた品性ある作品。】

2020年2月19日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

 ・こよみは、毎朝起きると不安そうな顔で戸を開け、
”ここ、ゆき君の家?。・・・雨上がったね・・。”と、呟く。

 ・行助は四角に並べたベーコンの真ん中に卵を落とす、特製ベーコンエッグを作りながら、明るい声で、”おはよう・・。”と返し、同じ話をする。(但し、劇中では冒頭しか描かれない・・・。)・・良い。

 ・こよみも、行助と出会った時から、彼が足を引き摺って歩く理由を聞かない。

 ・二人を結びつけたのは、こよみが”一個焼きの鯛焼き器”で丁寧に焼く、熱々の少し焦げのある、鯛焼き。
 美味そうである。

 ・出会った当初、こよみが行助に語ったリスボンという名の栗鼠の話。

 ・そして、行助が苦手なブロッコリーが頻繁に夕食に出る。作るのは、こよみ(ブロッコリー好き)。

 ・行助がこよみの”昔の知りあい”に会った晩の夕餉に出されたポトフにもブロッコリーが浮かんでいる。
 つい、声を荒げてしまう行助。戸惑い、哀しい目をして、家を飛び出すこよみ。

 ・行助が室内のあちこちで見つけた紙片に書かれていたこよみの”文字”・・。思い出す、”リスボン”の話。
 ー この件で、切なさがぐんぐんと込み上げて来てしまう・・。 ー

 ・職を失い、カップ酒を煽り、虚ろな目をして公園のベンチに座るサラリーマンの姿。

 ・行助の担当教授の”知り合い”の老人が60年綴ってきた日記をある日、突然燃やすが、その後、何もなかったかのように、書き出す話。

 ◆薄ぼんやりとした朝日の光が川岸に座る、こよみと行助を照らすシーンが暗示することは何か・・。
 そして、常に二人を照らす、下弦になりかけの月が語る事は何か・・。

<何気ない日常には多くの不連続な出来事が密やかに起きている・・。その事実を優しい視線で描いた作品。>

 ー 衛藤美彩さんは、今作で初めて拝見したが、身に纏う品性の良さと、きりっとした眼差しと横顔の美しさに魅入られた女優さんであった。
 又、どこかの劇場で出会いたい女優さんである。 ー

NOBU