「中川監督の新作に期待して」静かな雨 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
中川監督の新作に期待して
「わたしは光をにぎっている」「四月の永い夢」にみる中川監督の繊細さが、原作のある作品をどう描くのか 本屋大賞受賞作の著者の作品であるし、とても期待をしていました
主人公の女性は頭部外傷に伴う障害の残る症状である高次脳機能障害の中で、最近の記憶が損なわれる後遺症を持っている いわゆる高齢者の認知症と異なって本人に「忘れる」という自覚がしっかりとあるので、「忘れる」自分と向き合うことがとても苦しい 何と
か忘れないでおこうと「ブロッコリーが嫌い」というメモをノートに壁に、額の裏に貼りまくっていた場面は、この症状を自分で何とか克服したいというこよみの思いに他ならない
が、そういった障碍をわかっていても受け止めきれず、行助のように爆発させてしまうことはたくさんあるのだろう 行助も足に障碍があるが、自らの不得意さ、欠点、短所があることを自覚していても、パートナーや相手のそれを受け止めていくことの難しさ 時に嫉妬や自分の知らない相手の過去に苦しみながらも、こよみと一緒に生きていくことに期待を持たせるラストでした 大賀さんは葛藤に苦しむ役がとてもあっていますし、三浦透子さんもいい存在感でした(2月11日 MOVIX堺 にて鑑賞)
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