ブラインドスポッティングのレビュー・感想・評価
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白と黒は違う…
鑑賞前に舞台となるオークランドを少し調べたところ、今は少し改善されたようだが、全米有数の犯罪率の高い街。子供の頃からそこで生まれ育った黒人と白人の親友二人。暮らしが厳しいのは変わらないが、白人と黒人では見られ方が違い、それは命にも関わることだった。偶然、目の前で黒人が白人警官に銃殺されるところを目撃したことから、その現実が浮き彫りになってくる。同じことをしたとしても、撃たれるのは黒人。何気ない生活の不平不満から、命の叫びまでラップで捲し立てる様は圧巻。軽いノリの二人の掛け合いから、重い現実まで強弱がはっきりしており、見やすかった。
すごくよかった
ずっと地元で暮らして幼馴染と友達付き合いしている青年たちだが、大人になると家庭を持ったり持たなかったり、悪さのレベルも司法が介入するレベルになり、それでも仲良くつるんでいるのが頼もしい。オレにはそんな友達はすっかり絶滅してしまい、うらやましいばかりだ。
保護観察が終了まで残り3日という状況設定が、何気ない日常でも「何か起こったら?」とスリリングに感じさせる。ストーリーでぐいぐい引っ張られる感じはないのだけど、日常の引っ越し業務や家族の存在がすごく生々しくリアルだった。
映画秘宝で紹介を描かせていただいた。
nigga ≒ , ≠ nigger
"COMMANDER MOVING"という引越し屋に勤めている幼馴染のコリンとマイルズのいかにもいかつい2人のいい大人が、今夜もつるんでいると、なぜか乗れない男コリン。それもそのはずで、1年間待った日本ではみられない保護観察期間満了まであと3日、穏便に何事もなく、ましてトラブルなんてチョー大変。その上、仮住まいの更生復帰施設には門限もあり、しかも行動範囲つまり自分自身だけで行ける地域も限定されている。そのことが最後にオークランドの地域図を破り捨てるところでわかるし、施設の管理者からはコリンの度重なる門限破りに目を光らしているプレッシャーもかけられている。
I, uh, saw the cops kill a nigga last night.
そしてある夜、コリンが1人でいつもの運送トラックを運転して赤信号で待っていると突然、トラックの前に黒人青年が飛び出してきて、その彼の後を追ってきた警官が警告もなしに発砲し、黒人青年は道端に倒れたまま動かなくなってしまっている。コリンはバックミラーで彼の姿を見えると同時にちょうど運転席の横に警官が立っており、警官もまた瞳孔を開いたまま放心状態で魂を抜かれたかのようにこちらを見つめていた。
その夜から何故かコリンは警官に射殺された黒人青年を何とかしてやれたのではないかと思ったのか、いつかは自分もあのような姿になると思っているのか、次の日からは悪夢や幻覚を見るようになり、そのことを悩み憂鬱な日々が続いていく。
そんな中、昔付き合っていたヴァルからも過去のことで
What if the cops showed up
and they saw you stomping that white dude?
Who do you think they would have shot? Miles?
なんて言われ完全にヴァルがコリンと距離をおいていることがわかる。
マイルズとマイルズの妻、アシュリーとの子供ショーン(ショーン役のジギー・ベイティンガー君、すみませんでした。最後の最後まであなたのことをheと言われなければず~ッと女の子と思っていました)。彼がある事をしたために、怒ったアシュリーはコリンと旦那のマイルズ2人とも家から追い出してしまう。
そんなことはお構いなしに2人してパーティに行くがそこでマイルズが些細なことから黒人青年と喧嘩になってしまう。マイルズのことがわからなくなったコリンが..........?
Yeah, my nigga.
-Yeah, bruh.
Nope. Say it.
-What?
Say"nigga."
-Oh, fuck you!
Say it! Say, "Yeah, my nigga!"
-No, and you know........Come the fuck on!
But........But why?
-'Cause you know I don't say that shit!
-You been calling me that since we were 12 years old.
........................
“nigga”という言葉が、マイルズの中では2人の間に何故か垣根のような隔たりを感じさせる場面となっている。
ラストのシーン、引越しを受けた先が、あの警官の家だとわかるとコリンは、感情をラップの韻を踏みながらあらわにし、警官に詰め寄る。
The difference between me and you is.......
I ain't no killer.
I ain't no killer.
最後は、キュートな終わり方で次の行き先は、有名なフットボールチームのクウォーターバック.........なんていつの間にか普段の2人となっていました。
ちなみにアメリカの受刑者の数は世界の受刑者の1/4とも言われ、犯罪者の数は当然のこととして、それを上回ると考えると、この映画の保護観察制度というのも納得ができ、オークランドの地が古くは、ブラックパンサー・パーティの発祥の地として知られている。そのため黒人の人権活動の活発な土地柄もあってか、唯一無二の殺人者でカルト教団の教祖であるチャールズ・マンソンのおかげで、せっかく死刑を復活させたのに今年になってから州知事が、"一時中止”命令書にサインをしている。700人を超える死刑囚はどちらへ? しかしながら今現在でもカリフォルニア州の中でも犯罪が増加しているといわれるウエスト・オークランド。その地がこの映画の舞台となっているが、その危険な土地柄にもかかわらず、その反動の代わりと言っていいのか文化やファッションなどカウンターカルチャー(古い言葉?)特にミュージック・シーンの発信の地としても知られている。
前半のコミカルな2人のオトボケな場面も出てきていて、多少笑える部分も登場するが、ラストのシーン、マイルズが通称:グリーン・ジュースを飲む場面や途中、黒人青年の言った言葉やしぐさなどに差別とまでは言わないにしろ無意識に、また知らず知らずに抱いていた表現のしにくい感情、違和感に対して怒りを爆発するシーンを見ると映画の題名になった「Blindspotting」の意味を再確認できる。映画の中でも"脳が無意識にいつでも無視してしまう盲点?それを回避できると思っているとそうでもない。"という言葉。
何もなかったようにまた2人して引越し屋の仕事をこなしていくところは、何か言いようのない、ある意味爽やかさも感じてしまう心地よい映画と言ってよいものとなっている。
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