「三作目は駄作の法則とかいうレベルを超えた、パクリB級映画としてなら満点の何か」カイジ ファイナルゲーム 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
三作目は駄作の法則とかいうレベルを超えた、パクリB級映画としてなら満点の何か
カイジって、邦画の中ではかなりの名作な部類でしたよね?金曜ロードショーでは何度も放送され、その度に何度観ても飽きない、約束された名作娯楽映画シリーズ。
洋画のように純粋に楽しめ、何度観ても何度観ても飽きない、”本当のエンターテイメント”な映画シリーズだったはずなんですよ。
なのに今作は・・・・・
とんでもない・・・・・・
ダ゛サ゛ク゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛になってやがるっっ!!!!!!
物語はオリンピック後に崩壊した日本が舞台。おいおい、仮にもオリンピック前にその題材はアリかよなどとは思いつつ、一応は日本列島全体がフィクションの世界に染まっています。
で、相変わらずなカイジ君登場。まあ娯楽映画だから良いんですが、流石に全く成長の感じられないカイジにイラついた方も多かったはず。
インフレで物価が上昇し、事実上経済が崩壊している日本では、市民の娯楽も終末状態。そんなある日、”バベルの塔”なるゲームで大金を得る代わりに情報を得たカイジは、そこから国家の陰謀に巻き込まれていく・・・・。
まず始めに、ここでお金を選ばなかったことに関しては作中でも説明が有るのですが、いや、お前映画の最後でケース持ち歩いてたやんとw 情報開示の有無はあるにせよ、ケースコンコンは無いやろと。その辺でも崩壊した日本という世界観作りの甘さが、目に余りましたね~。お前序盤のセリフを思い出せと。
それから今作の目玉ゲーム。秤に金と硬貨を投げ込んで重い方が勝ちー!というゲーム。見栄えはすごく良かったんですが、駆け引きは・・・?
あのゲームって要は、投げ込む”作業”しか無いんですよ。その間に、お友達パートで裏切られたー!と、最後に一般人を引き入れる件が有るだけ。
「お前ら俺に投票しろおおお!!!」←いや、ギャンブルは?w駆け引きは?w
大目玉のゲームが俺に投票してくれーですもん。そりゃつまんないですわ。ただのどっちが金持ちかゲームですもん。一応、間に”ドリームジャンプ”ってのは有るんですが、本来ならアレももっと熟考したり攻略方法を見つけてやるゲームですよね。命が掛かってるんですから。
「ちょっと死のゲームやってくるわー」ぐらいのノリでさっさと攻略して帰ってくるから、映像的にはもちろん、ゲーム的な面白さなんて皆無。むしろ、あれは渚ちゃんとか仲間がやるべき枠でしょうに。全部カイジ。塔も天秤もジャンプもジャンケンも、全っっ部カイジ。
登場人物に関しても、カイジは良くも悪くもtheカイジ。逆に言えばカイジというキャラクター過ぎて、人間味を感じられないキャラでした。なんと言うか、モノマネのカイジに近いと言うか。あと、常に正論ばかり言ってるんです。ならお前はなんでそんな現状なんやと。どの口で言うとるんやとw
日本経済が崩壊しているにせよ、カイジ自体は堕落した性格なわけで。そんなカイジの悪い一面みたいなのが一切垣間見えなくて、逆に気持ち悪かったです。
他の登場人物なんかもう最悪。
大ボスの福士蒼汰と味方サイドの執事は、メガネと服装の組み合わせで似すぎw流石に自分も日本人なので見分けは付きますが、外国人には厳しいレベル。執事の方なんか後半消えるし、絵画の件以外ではほぼモブ(笑)。
極めつけはヒロイン枠の渚ちゃん。渚ちゃんを叩きたいわけではないけど、なんか金持ちの娘にしか見えない(笑)。確か普通に一般人の設定だったよね?そして番号の件以外では要らない。このポリコレでうるさい世の中には珍しくアホっぽいヒロイン役でしたが、テンプレ的なうるさいヒロインでシンプルに邪魔でした。取り敢えずヒロイン枠としてブチ込んだはいいも、使えてないと言いますか。
そもそも、今作カイジ以外は全員持て余してます。悪役サイドも鋼太郎さんは吠えてるだけで、福士蒼汰は最後にちょこっと出るだけ。
他にもガキ集団も全員モブな感じで、お人形感満載。金持ちのおっさんも、班長も、前作の坂崎おじちゃんも、みんなお人形感が酷いんですよ。特に、9年ぶりということで集めたであろう坂崎のおっちゃんと天海さんの扱いが酷い。
前者は1シーンで退場するし、後者はお人形感の極めつけのような演出でした。それっぽいセリフを言わされ、それっぽい行為をさせられる。そもそも、最後渚ちゃんが天海さんに従う理由も無いんですよ(笑)。渚ちゃんに酷い演技をさせた挙げ句、最後にクズ女にも仕立て上げる扱いの酷さw
制作陣総出でのイジメかと思いましたよ。
ストーリーについても、今作は駆け引きが少ないんですよ。塔はカイジが先に触れましたー。天秤はアレもコレもソレも仕込んでましたー。ジャンプもアレもコry。そして最後のジャンケンはカイジの独力で、そもそも茶番というオチw
一作目の香川照之を追い詰めていく感じや、二作目で坂崎のおっちゃんと試行錯誤して攻略していたようなカタルシスが、微塵も無い!!
”全てが”
その場での場当たり的な攻略なので、全っっっ然面白くないんですよ!!!だから私はタイトルに”パクリ映画なら”と書きました。
あと、これはもう言及するまでもないとは思いますが、古臭いお涙頂戴的な展開もクソでしたね~。誰があの短時間で大してバックボーンも描かれてないキャラに何を思えと。ただテンポを悪くしていただけでした。
これは藤原竜也が出ているカイジに似た何かです・・・・。