「あらゆる意味で残念な作品」カイジ ファイナルゲーム dolceさんの映画レビュー(感想・評価)
あらゆる意味で残念な作品
カイジの原作好きな方は、今までの1、2弾で原作へのリスペクトのなさや、キャストのミスマッチぶりに、裏切られたという人が多いと思いますが、ファイナルでもまた、予想通り裏切られます!原作やアニメのカイジファンの方は、やはりつまらないという確認では、おすすめです!
もちろん、原作の要素は、登場人物が若干かぶる以外はほとんどないから、期待しないでください。
何より、ストーリーが非現実的であまりに粗く、ディテールはもちろん雑だし、話の流れが強引すぎます。わかりやすいストーリーにするには仕方ないのですが、貨幣経済や国家財政もテーマにしてるので、本来複雑な話を、めちゃくちゃな結論にしてます。
日本の財政赤字を国民資産で穴埋めし、新札切替と銀行口座凍結により、政治家が利得を得るのを、カイジ達が阻止するストーリーです。しかし、日本の対外債務はどうするのか、国債を買い込む銀行や大企業に対しデフォルトするのだから、国の通貨の信用はガタ落ちだし、自分で自分のクビをしめます。
また、ギャンブルの際、大金がかかった勝負なら、現物を換算する際のルールを細かく決めないとアンフェアです。港区の土地なら、路線価なのか、実勢価格なのか?象牙もワシントン条約以前から輸入されたものならば、違法ではなく価値はあります。美術品の換算はかなり恣意的になると思います。
最初から100億円差が開いたゲームで、取り分が対等とかアリなのか?友人や味方はどんな人でも可能で、制限なしなのか?ルールがよくわかりません。
最後に、コイン1枚の半分の重さで、天秤が傾くシーン、あり得ません。500億円を金のインゴットで換算すると、だいたいキロ500万円として、10トンくらいになるから、1グラム程度では動きません。人生かけた大勝負の前提がこれでは、内容が粗すぎて、意味がわかりません。
非現実的になればなるほど、話が陳腐でつまらなくなります。
多少誰か経済に専門的な人に監修してもらったら良かったのに。こんな経済無知なら、政府の財政赤字やデフォルトをテーマに絡めるな!カイジの名が泣く。内容が稚拙で恥ずかしいです。