「本当に福本先生は脚本書いてる?」カイジ ファイナルゲーム Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に福本先生は脚本書いてる?
いきなりメインのゲームの《人間秤》なんだよね。色んなゲームをなんとか乗り越えて「さあ」ってのじゃないの。しかも裏技を使うわけでもなく、純粋に金塊の多さで競おうって作戦なのね。
それで、その金塊の準備っぷりが説明されてるから、意外感がないの。「ここ裏切るんだろうな」ってところで裏切ってくから「そうだよね」しか思わないし。吉田鋼太郎のクズっぷりも描写が浅いのと、そもそもが大きなギャンブルだから「そりゃ政府ぐらい動かすよね」ってなって。
「金塊が100億足りない。さあ、どうする?」ってときに「俺がギャンブルするつもりだった」って如何にも奥の手出してきたみたいにしてんだけど、最初からギャンブルやって稼いでても良かったじゃんって。ゲームを隣でボーッと見てないでさ、カイジ。
それで10人に1人しか生き残れない《ドリームジャンプ》やるんだけど、ここで関水渚の『強運』使うのかなと思ったら使わないの。「キュー!」の伏線回収してどうだ!ってところじゃないよ。『強運』キャラ、ほぼ使ってないからね。ていうか、関水渚不要になってるの、この話。
「コインのカケラで勝った!」と強引に良い話っぽくまとめ上げて、まあ勝つよねそりゃ主人公サイドだもんという感じで《人間秤》は終わって、「でも手は打ってある」と福士蒼汰が言って、「いや、そこまで読んでるよ」とカイジが上をいくんだけど、ここも全然やられた感がない。「それくらい、やるよ」って手なんだね、福士蒼汰の手が。
そして最後は福士蒼汰と《ゴールドジャンケン》。だいたい読めた通りの展開で終わり。
カイジならではのドンデン返し感が一切ないんだよね。「そうくるか、やられた!」がないの。「なんとかドンデン返しにしなきゃ!」ってスタッフが頭を捻りに捻って「苦しいけど、これでいくか。あとは藤原さんがなんとかしてくれるだろ」ってレベルの脚本なんだよね。福本先生が脚本に入ってないんじゃないかと思ったんだけど、エンドロール観たら入ってた。本当に入ってたの?
舞台設定の「東京オリンピックのあと景気が一気に悪化してインフレが進んで……」っていうのは、リアリティあって怖かったよ。