劇場公開日 2020年10月23日

朝が来る : 特集

2020年10月12日更新

世界の河瀬監督、新たなる領域へ… 渾身の意欲作は期待を優に越えていた あなたはどちらの“母”に共感しますか? 価値観に問いかける衝撃作

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この映画を見たあと、あなたは何を感じますか? 日本が誇る映画監督のひとり・河瀬直美の最新監督作「朝が来る」が、10月23日から劇場公開される。

養子を迎えた平和な家族のもとにかかってきた、1本の電話。電話口の女は「子どもを返してほしいんです」と言いだして……。

原作は、ベストセラー作家・辻村深月による衝撃のヒューマンミステリー小説。その、あまりにも切ない“ふたりの母親”の物語にほれ込んだ河瀬監督は、自ら映画化を企画したそう。

2020年の第73回カンヌ国際映画祭で、オフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出された本作。名監督が並々ならぬ情熱を注ぎ、渾身の想いで紡ぎあげたエモーショナルなドラマは、きっとあなたの心を震わせるはず――。


【予告編】1本の電話から、運命が動き出す 物語はこちらでチェック

いつもの安定感、かつてない新要素――河瀬直美の《進化点》が、ここにある 揺るがない作家性×人気の原作×期待の役者=最高傑作が誕生

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・初の劇場映画で、カンヌ新人監督賞を最年少受賞! 世界を驚かせた無二の才能

1997年、カンヌ国際映画祭新人監督賞を“史上最年少”で受賞してから、20余年。河瀬監督はこれまで、人間の本質に迫る力作を次々と作り上げてきた。

しかしこの「朝が来る」は、今までと何かが違う――。安定したクオリティを保ちつつ、見る者を選ばない“ドラマティックな味付け”がなされているのだ。ビックリするほど見やすく、それなのに感情を持っていかれる……。そんな感動作に仕上がっている。

河瀬直美監督
河瀬直美監督

・辻村ミステリーに初挑戦! 永作博美・井浦新・蒔田彩珠・浅田美代子ら実力派ともコラボ

「今までとなにか違う」。その要因には、初タッグとなる辻村深月の存在が大きい。「ツナグ」や「鍵のない夢を見る」といった人気作を生み出してきた辻村による、見る者を引き込む“ミステリー”と“物語力”に、河瀬監督の“色”が重なったとき――「入りやすく、それでいて深い」映画が立ち上がったのだ。

そして、河瀬組に初参加となるキャスト陣が、新鮮な風を吹き込んだ。永作博美と井浦新という実力派の2人が、運命に翻ろうされる夫婦を熱演する。

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河瀬監督の作品では「役を積む」という特殊なアプローチが行われる。「24時間役として過ごす」「現場では役名で呼ばれる」などのルールに沿って撮影が進むのだ。永作と井浦は、そんな河瀬監督との“化学反応”のなかで、新たな表情を見せている。

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さらに、是枝裕和監督の“秘蔵っ子”であり、2021年度前期放送のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」でヒロインの妹役に大抜擢された若き演技派・蒔田彩珠が、壮絶な人生を生きる少女を体当たりの演技で魅せる。

河瀬監督作「あん」(主演・樹木希林)にも参加した浅田美代子とのコラボレーションにも注目だ。

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この物語は、他人事じゃない――河瀬監督が感じた《運命》が、見る者に伝播 産みの母・育ての母 2世代間の“母親”のドラマが、深い共感を呼び起こす

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「朝が来る」はなぜ、見る者の気持ちをこんなにも揺さぶるのか――。それは、ふたりの女性を通し、「あったかもしれない/あるかもしれない、私たちの物語」を描いているからだ。


[物語]特別養子縁組で出会った2人の“母親” 託した我が子を、「返して」

主役は、実の子を持てなかった女性・佐都子(永作博美)と、実の子を育てられなかった女性・ひかり(蒔田彩珠)。妊娠・出産・夢・人生――異なる立場の女性たちが抱える、苦悩や葛藤といった複雑な心情を繊細につづり、私たち観客の心にダイレクトに訴えかける。

佐都子は、夫・清和(井浦新)との間に子どもを授かることができず、失意の日々を送っていた。一方、中学生のひかりは、予期せぬ妊娠で平穏だった生活が一変してしまう。ふたりは「特別養子縁組」というシステムを通して出会い、ひかりは佐都子を信じて、涙ながらに我が子を託すのだった。

だが、それから6年後、ひかりを名乗る女性から「子どもを返して」と、脅迫めいた電話が佐都子に届く……。彼女は本当に、あの優しかったひかりなのか? 一体、何が起こっているのか?

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[テーマ]ミステリーをはらみながら、「あなたならどうする?」と問いかける

ショッキングなミステリー要素をはらんだ「朝が来る」。最初は、“謎の電話”の真相に興味を惹かれ、見始めていくことだろう。しかし、映画が進むにつれ、佐都子とひかりの過去が明かされ、次第に“他人事”として見ることができなくなっていく。

自分が佐都子だったら、どうするだろう? ひかりだったら、何を思うだろう? スクリーンから伝わってくる、河瀬監督×辻村×永作&蒔田というさまざまな女性たちの“想い”が、見ている私たちの心情と重なったとき、「朝が来る」は紛れもない「私たちの物語」へと、姿を変える。

本作をいち早く鑑賞した女優・土屋太鳳も「この物語はあなたであり私。心を抉る『何か』が愛情なのかは分からないけれど、これだけは伝えたい。観て」とメッセージを送っている。きっと、ただの映画鑑賞とは全く違う、人生観や価値観が変わる“体験”となるはず――。

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【レビュー】コロナ禍の時代に《家族の形》を問う、「いま見てほしい」1本 入り口は衝撃、出口は感動――力強い愛のメッセージが、胸に染みわたる

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2020年、世界のルールは根底から覆されてしまった。新型コロナウイルスの全世界的な蔓延による、緊急事態宣言と外出自粛。映画「朝が来る」も、公開延期を余儀なくされた。

自宅で過ごす時間が増えたことで、多くの人が家族と多く過ごすようになったはずだ。或いは、故郷に暮らす家族のことをこれまで以上に考えたのではないか。コロナ禍のなかで、私たちの中の“家族”に対する思いは、まるで違ったものに変化したと思う。

「朝が来る」は、「特別養子縁組」という制度を題材にしている。厚生労働省のサイトによると、「養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度」とのこと。つまり、養子を法的に実子と同じ関係性にする制度だ。

特別養子縁組によって結ばれた、佐都子・清和の夫婦(育ての母)と、ひかり(産みの母)。両者の姿を通し、本作は“家族の形”を改めて、真摯に問いかける。

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河瀬直美監督は、原作者の辻村深月氏と初対面した際、開口一番「この映画を撮るにあたって、(息子の)朝斗のまなざしというものは必要不可欠だと思っています」と告げたという。ふたりの母からの目線だけでなく、小さな息子が何を見て、何を感じているのか――。それこそが、最重要のピースと考えたのだ。

このエピソードからも、いかに河瀬監督が原作を愛し、映画化に並々ならぬ情熱を注いでいたかが伝わってくるが、同時に、映画版ではより「家族の物語」の要素を強めようとしていたことも、うかがい知れる。

家族とは何か――「新しい生活様式」の中で、私たちの頭の中に渦巻く思いと、本作は不思議な縁で結ばれている。タイムリーな題材と、人気作家×名監督×実力派俳優による安定のクオリティ。間違いなく、“いま見てほしい”映画だ。

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