朝が来るのレビュー・感想・評価
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ひかりにもっと幸せを。
ラストには泣かされてしまう。育ての母佐都子と、生みの母ひかりの思いが凝縮されているからだ。手紙に隠されたメッセージに、ひかりが子供を産んだ時と、産んでから今まで彼女が味わってきたつらさがオーバーラップして泣かされる。C&Kの泣かせる曲に乗せて、朝斗がひかりにかける言葉を聞くともう感情クライマックスである。本当に河瀬監督は憎らしいほどの巧みな抒情的な映画作りをする。河瀬監督の映画の一番の特徴は、ドキュメンタリータッチのどこにも嘘やごまかしがないと思わせる演出だ。それは主要な人物だけではなく、ちょい役の演技にも徹底されていて、映画(作り物)であることを忘れさせてしまうようだ。
この映画は「母性」がテーマになっている。これは人類不変の感情なので、感動を呼びやすい反面、通俗に平凡な話になりやすい。特に生みの親については、仮に望まれない子が生まれて手放すことになっても、その後の人生が幸せならば忘れてしまうようなことだ。ひかりの場合は、生むときにつらさを味わい、その後もとてもつらい人生を送っている。ひかりの不幸を強調することで、育てられなかった子への思い、「母性」が際立っていると思う。ラストではひかりにもっと幸せになってほしいと心から思ってしまう。育ての母からの理解が得られたのも良かったし、朝斗が二人の母親を自然に受け入れているのもとても良い描き方だと思う。
永作博美には、同じく「母性」をテーマにした「八日目の蝉」を自然に思い出す。「母性」をテーマにした傑作2本に主演するのも、何となく感慨深いものがある。
予想外の展開が凄かった!
思ってたストーリーと違ってたんだけどこれが良かった!
完全にノーマークだった展開。
主役もストーリーも何もかもが想定外。
素晴らしい作品に巡り会えた感じで満足感はかなり高め!
撮り方やセリフがドキュメント番組の様な場面が多め。
そのリアルな感じに圧倒。
特にセリフにはアドリブ感が満載。
その時の役者さんの表情から演技してるとは思えない印象。
ひかり役の蒔田彩珠さんの演技にも圧倒された感じ。
彼女も今までノーマークだったけどこれから彼女の作品に注目したいところ。
特別養子縁組と言う重いテーマなんだけど、更に重たくした展開に圧倒された感じ。
エンドロールの歌の最後のセリフで救われた感じ。
上映前に養子縁組の広告を観たのは初めてかもれません( ´∀`)
知ってた? 海って一つしかないんだよ。
突然目の前に現れた、あまりにも落ちぶれたヒカリ。夫婦は、彼女を立ち直らせようとあえて突き放したのか、と、はじめ僕はそう思った。だけど違っていた。あまりにも姿を変えて現れたヒカリを本人と気付いてさえいなかったのだ。だから、まったくの恐喝と信じて、朝斗を守ろうと対峙した。なぜなら夫婦にとって朝斗はかけがえのない宝物なのだから。二人はこれまで、朝斗の真実と向き合ってきた。朝斗に対しても、真実を隠さずに接してきた。朝斗を大事に大事に育ててきた。この先だってそうだろう。「これからも読み聞かせます」なんてとてつもなく強い意志を感じた。その勢いに、ヒカリは屈したのだ。
だけど、僕はヒカリを責める気分にはとてもなれなかった。ちょっとしたつまずきから、順調に行くはずだった人生を中学生やそこらで転落してしまった彼女の人生を目の当たりにしたあとだから。顔を落とし、目線を合わせる気力もなく、不良のような風体に見えた彼女だったのに、彼女の人生を追いかけたあとには違って見えた。”なんでもできる”ジャンパーを着て、勇気を振り絞ってやって来たことが痛いほどわかるから。
ヒカリを追い払ったあとに見つけた、消してしまった「なかったことにしないで」の言葉。ヒカリは、産んだことを後悔はしていなかった。むしろ、会いたいくてやって来たんだ、とサトコも、そして僕も気づいた。ずーん、ときたなあ。
河瀬監督の演出にも毎度堪える。
太陽の光を巧妙に使う。柔らかく降りそそぐ優しさにもみえて、揺れる思春期の戸惑いの心にもみえて、見通しの利かない不安な未来にもみえて。
劇中に若い二人が歌う歌も、センチメンタル。映画の主題歌にもなっている。エンディングで流れ、
♪可愛い人 愛しい人 美しい人 守りたい人
この瞳が光を奪われても
きっと君を探し出すよ 必ず君にたどり着くよ
夫婦と、朝斗と、ヒカリに寄り添った見事な楽曲だと思えた。
そしてテロップで見つけた曲のタイトルは「アサトヒカリ」。 ここにも巧妙な仕掛けがあった。いく通りにも解釈ができて、エンディングを見ながら、監督の言いたい意味を探っていた。
そこまでかと思ったところに、ぼそりと聞こえた「会いたかった」。
だめですよ、そんなに僕の心を乱しちゃ。
True Mothers
河瀬直美監督の巧みなストーリーテリング力に驚かされた。『殯の森』でこの監督を知った私にとっては、叙事的で独特な性を介した死生観こそがこの監督の魅力だと思っていたからだ。しかし、本作では2人の母の姿や感情を徐々に炙り出していく丁寧な物語運びで我々の目をスクリーンに釘付けにし、産みの母と育ての母が抱えるそれぞれの葛藤を描いていく。
入れ子式の物語構成は一歩間違えれば、どちらか一方に肩入れをしてしまうリスクを孕んでいるものの、絶妙なバランスをとってこの危うい橋を渡り切っていく。いや、橋を渡るというよりは、両端に立った2人の母を橋の中央に向かって、ゆっくりと丁寧に歩み寄せると言った方が適切かもしれない。それぞれが我が子という決してブレない一本の軸の上に立っているからこそ、互いの母に感情移入せざるを得ない。これこそが本作の強みだ。
実際に養子縁組によって子供を授かった人々の声をドキュメンタリー調に織り交ぜることで物語に強いリアリティを与える一方、愛し合う、命を紡ぐという映画ならではの眩いまでの映像美が、それぞれの母親が抱く感情の輪郭をより明確になぞっていく。誰が悪い訳でもない、誰も責められない、だからこその苦悩が複雑な感情を持って観る者の胸に突き刺さってくる。
近年世界的にも家族の形を問う作品が増えつつあるが、家族の多様性と普遍性の両面を持って、命の繋ぎ方を問うていく本作はきっと多くの人の記憶に残ることであろう。『朝が来る』というタイトルの意味はラストシーンが物語ってくれるが、本作の英語版のタイトルは“True Mothers”。何分にも、私は英語版のタイトルの方が気に入っている。母(Mother)が複数形である点にも是非注目してご覧頂きたい。
ラストが不満でした
好きな原作、好きな監督ですが後半、特にラストが淡白。ひかりの不幸は彼女を助け、導いてくれる大人が親を含めていないことだと思うのです。それが回り回ってやっと佐都子に巡り合った。原作を知らないで映画を見た人はそれがわかったかなと。ただ監督が描きたいテーマはそこではないかもしれないですが。役者さんは皆さん良かったです
最後まで…。
この映画を観る前まで、内容が重いなぁ。と思ってました。
確かに重いです。しかし、重厚感がある中に映画とドキュメンタリー的な要素が加わりながら、カメラアングルで物語を考えさせられます。
この映画、エンドロールが終わり、室内の明かりが灯るまで、携帯の電源をいれたり、立ち上がって出口に向かっては行けません。
しっかり最後まで観てください。
善き人すぎて
いろいろな意味を含んだタイトルであり、内容の重さを説明するのに十分な構成だと
思いました。
不妊治療、若年出産、家庭内格差、非行などなど、福祉の狭間が盛りだくさん。
なかったことにしたい過去もあれば、なかったことにはできない過去もある。
どっちも、「あったこと」なんですよね。
過去とどう向き合うか、というテーマと、子どもを本気で育てるのに、血縁じゃない、というテーマ。どちらも答えはそれぞれの心の中に。
重いテーマのわりには、ドロドロした感じがしないのは、登場人物がみんな善き人ばかりだからでしょうか。
人って、もっと嫌らしいとこ持ってない?っていうのが、率直な感想。
いい人ぶっても、腹の黒さあるから、人って面倒くさくていとおかし、なんじゃない?
そういう意味で、小説は奇なりとはならないんだな。
全ての人に爽やかな朝陽が降り注ぎますように。
原作未読で鑑賞です。
永作さん出演作なので、予告編が良かったので
ワクワクしながら観ました。
予告編ではサスペンス?と思いましたが大違いでした。
原作未読だと、こーいうのが嬉しいですね。
まず、繊細かつ丁寧に紡がれる物語と、
朝、夕陽、波、海、風の描写が素晴らしく
引き込まれていきます。
当たり前のように、地球が自転している限り
繰り返される毎日のもと、人間は人生を歩みます。
平等に一日は明けて暮れるはずなのに、
その歩みは時には朝陽が届かない場所を彷徨う
事もあるんでしょう。
だけど、きっと、生きていれば朝陽が注がれる
と信じたいし、願いたいです。
そう、この作品は人生讃歌であると思いたいです。
女性監督だから?なのでしょうか?
女性の描き方が心情が痛い程伝わってきます。
また、場合によっては弱者になってしまう、
転がらざるを得ない感じが、見事に表されてます。
演出の妙もあります。
施設の中の映像、プライベートな感じがとっても
とっても良く、また演者の皆さんが本当に素晴らしく
(まほちゃん役の女優さん凄い!)
感情移入度がめちゃめちゃ高いです。
また、話の見せ方が上手いです。立場かわれば、、、
ってことですよね。
ホント、僕は最後にごめんねー、あんな風に考え
ちゃってごめんねー!って涙ウルウルで謝って
ました。
そして何より、女優「蒔田彩珠」が素晴らしすぎる!!
志乃ちゃんも良かった、最近では星の子で一際輝いてました。
で、本作品、、、彼女以外はキャスティングできないの
では?とさえおもいました。
いや、皆さんすごいんです。
永作さんと子供の戯れ会話のシーンなんて
親子にしか見えません、はい。
地味な作品ではありますが、傑作です。
沢山の方に観ていただきたいです。
ただ。一点。
ラストの締め方、あれでいいのかなー?
エンドロールは良いんだけど、うん、うん、
そーだよね!って言えるんだけど、でも、でも
もうちょい、リアリティが欲しかった。
それまでは満点だったからちと残念。
辛口すぎるかな?(笑)
エンドロールの後に、、、
一瞬ノンフィクションを見せられているのか?というカメラ回しが現実と勘違いする。
個人の心情を丁寧に繊細に描いており、自然風景とマッチして作品自体が深みを増している。
必ずエンドロールの最後まで席は立たないように
名画と出会えた
河瀬監督、カンヌで高い評価にも関わらずちょっと苦手でした。
初めの方のシーンで女優のアップが続いた時は、何でこんなにアップにする必要があるんだろうとちょっと自己顕示強めであぁ、やっぱりダメかも〜と。
でも話が進んでいくうちにすっかり世界観にハマってゆき。
凄く良かったです。感動しました。
題材を小さくまとめず、普遍的なテーマ(生命の神秘性)(家族)(女性の選択、生き方)として描き、スケールの大きさを感じました。映像美、音楽、ドキュメンタリーの要素を盛り込んだ演出方なども新鮮でした。
産むにせよ、産まないにせよ、生きることへの絶対的な肯定と優しい眼差しがあって胸が熱くなりました。
日本ではダルデンヌ兄弟やケン・ローチのような作品は出てこないだろうなぁ、なんて思っていたけれどこのような名画に出会えて幸せな気持ちになりました。
鮮やかな終幕。
特別養子縁。
なぜ夫婦は血の繋がらない子供を育てる決心をしたのか。
なぜ産みの母は我が子を養子に出すに到ったのか。
2つのエピソードが丁寧に描かれています。
夫婦役に井浦新さん(モデル時代から本当に大好きです!)永作博美さんを迎え実力派達が若手俳優陣をしっかりサポート。
青木崇高さんのチンピラや三浦誠己さんの刑事も絶妙でした。
誰が育てたって子供が幸せならそれでいい。血の繋がりよりも大切なことはいくらでもある。そんなことは十分分かっている。でもやりきれない想いもある。
我が子を手放すと決めた母達が時折見せる涙がリアルだった。
都会の闇に同化して建物の輪郭は見えない。暗闇に高層ビルの部屋の灯りだけが煌々と映えている。
夜と朝。昼と夕暮れ。太陽の瞬き、海からの風、そして音楽。全てが心地よく融合している。
どれだけ暗く長い夜でも必ず朝が来る。
そして話題のエンドロール。
これまでの物語は全てこのための伏線だったのか。監督が仕掛ける鮮やかな終幕の魔法をお見逃しなく。
原作の悲痛さが、そのまま描かれて
公開が延びていましたが期待通りでした 原作を前日までに読みましたが、小説とはいえひかりの14歳からのあまりの過酷な生活がとてもつらく、話の展開がみえつつも、彼女の幸せを願わずにはいられない思いでした 原作と同様タワーマンションでの満ち足りた一家の暮らし、幼稚園での事故とママ友とのすれ違い、そして不妊治療の時期の2人の生活に戻り、ベビーバトンを通じて男の子とひかりに出会い、そのあとのひかりの中学校時代からの悲しい日々が描かれていきます 原作にあった新聞販売店に来る「取り立て」から逃げてから、ホテル清掃の住み込みの仕事をして、追ってくるしつこい「取り立て」のために横領をするところは省かれていました しかし保証人に仕立て上げられてそれが無効であることも、あの年齢で相談する人がいなかったら、ああやって騙されていく 世話になった人、姉、実家に迷惑をかけられない、と小さな胸を痛めている原作の姿が、蒔田彩珠さんの表情そのものでした 笑うことが少なくなった自宅での生活から、ベビーバトンの寮で、新聞店の宿舎で、子どもらしい表情をみせたことが救いでした 限られた時間の中で最後に「みつけてもらう」ことまでを描き切るのは大変でしたが、ひかりの思いが警察が訪ねてきてから、広島のおかあさんを朝斗にみせたい、という母、佐都子の強い思いがあっただろうというところは原作を読んでの感想です ひかりの母親役の中島ひろ子さん、「櫻の園」で制服姿だったのが30年前だったんですね (10月29日 イオンシネマ高の原にて鑑賞)
どちらも辛い事です。
子が授からず、
病院で検査した結果が、
まさか自分の責任だったなんて、
ご主人も立場がない、辛いですね。
昨日、偶々ニュースで取り上げられてました。
無精子症で悩む男性は4人に1人と
言われてるらしい?
日本では、
性教育の遅さに問題ありで、
小学生くらいになれば、AVの動画やDVDくらい
1度は観てると思いますよ!
あんな異質なものを観て、
親からは、
ドラマのキスシーン、セックスシーンなど、
凄い顔して嫌らしいと観させて貰えず、
その後、真面目な性教育をされても、
ただの冷やかしにしかならず、無駄な時間になります。
もう、嫌らしいが植え付けられてるもんね。
5・6歳くらいで始めてもいいのでは、
未成年の避妊に関しては、
中学生になればコンドームくらい鞄に入ってて
普通ぐらいにならないと。
赤ちゃんを授かる為に必要な行為なのだから、
親も学校も真面目に考えて、
やみくもに不純だ!と叱れば叱るほど
子供の興味はかっぱえびせん状態になるのです。
ちょっと古いか?わからん人おるかも?
主役は、彼女……
原作未読。予告だけ観てなんとなくのストーリーを想像するも完全に裏切られ、こんなに素晴らしいと思う映画に初めて出会いました。
日常のありがちな他人の言葉に、心を少しずつえぐられていく感じ。初めは、そうだったのに次第にこの映画の独特な手法にハマり、苦しさは消え彼女の孤独感に感情移入させられ、さらに哀しく苦しく。でも、それだけでは無くみんなが愛に溢れていて、特に本当の主役の夫婦が清らかな愛に溢れていた。時間軸が、行ったり来たりして最初に観せられた過去の出来事が次に観た時には、たくさんの想いが重ねられ涙が止まらない。ひとつひとつの場面が、観ている側に奥深さや情感をアップデートさせていく。いくつか、そういう繰り返しで本当に巧妙に創られた映画だと思いました。
最後の最後まで、よかった〜
いや、最後がよかった!
追記、、劇中の井浦新さんの酒酔いシーンがリアルで上手いな〜と感心したんですがSNSで本当にお酒呑んで撮影したらしく、なるほど!
必見です!
本当に最後の瞬間まで席を立たないでください
どうしても観たくて、昨夜帰宅途中立ち寄って観てしまいました。特別養子縁組の話ですが、好きな河瀬直美の作品で、予想以上の感動です。
予告編にも出てくる実母と名乗る女性の正体は何なのか、あの後女性はどうなるのかなど、気になりっぱなしの2時間でした。女性の最悪の結末もあり得ると覚悟しながらも、どこかで「それは勘弁してくれ」と願い続けました。
最後、エンドロールが終わっても絶対に席を立たないでください。ずっと聞きたかった言葉がぐっと胸に刺さります。ネタバレはしたくないので、何はともあれ、ご鑑賞ください。
確かに良かった。でも、、、
みなさんレビューが高いので水を差してしまうようですが、ちょっと間延びしているなと感じました。
特に後半のドキュメンタリー仕立ての映像でなんだか冷めてしまいました。
これは誰が撮っていて誰に向かって話しているんだろうって。
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