朝が来るのレビュー・感想・評価
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切実なテーマをリアルに描いているが
子供が欲しくても授かることのできない夫婦と、子供を産んでも育てることのできない母親。特別養子縁組による子供、養親、実親の関わりという切実で重いテーマを、リアルに、かつ謎解きの要素を入れて描いている。
木々や島の風と光、ドキュメンタリーと見紛う登場人物の表情やセリフ、揺れるカメラなど、河瀬監督の持ち味が十分に発揮されている。
前半の夫婦のパートでは、妊活に悩む姿、特別養子縁組という制度を知って感銘を受ける姿が、自分事として感じられ、「親のためではなく、生まれてくる子供のための制度」とNPO主宰役の浅田美代子が語る姿に、本当に感動してしまった。
しかし、この作品(たぶん原作も)の真価は、子供を産んでも育てることのできなかった母親の事情と心情を描いている後半のパートにある。そこでの母親役の蒔田彩珠の凄みには目を見張る。よくこれだけの難役を演じきったものだ。
ただし、数年振りに会う母親と名乗る人物が変貌し、金を要求してくるシーンは、謎解きの起点となるシーンであり、事情が明らかになった後にはクライマックスとなるはずのシーンだが、他のシーンの描写の濃密さと比べると、ずいぶん薄味で、しかもセリフに頼っていたように感じ、物足りなさが残った。
後半になるにつれて、謎解きを追いかけるのに性急な感じで、残念ながら、河瀬監督はミステリーを描くのは得手ではないようだ。
ラストの母親どうしの再会、そして子供の視点が、監督が描きたかった本当のテーマなのだろうが、自分としてはうまく読み取ることができなかった。
一人でも多くの人に観てほしい作品
この映画は ほんの少し前に封切られたはずなんだけど…
今日私が観に行った映画館では今週木曜日迄で終了になるらしい。
今日も実際 私を含めて二人のみの観覧者だったので仕方のない現実なのでしょうが、、、。
邦画はチョッとね~とか、思っている方には特に観てほしい!!
私は他の口コミをされてる方々に比べると原作者の辻村深月さんの事も河瀨直美監督の事も殆ど…いえ、全然、予備知識はなかったのですが。
ただ『朝が来る』は たまたまドラマ版を観たことがあって、
私の場合、もし同じ作品をTVドラマで
観てから後で劇場版を見た場合の多くはドラマ版が勝者になる、って感じだったのですが
本来は勝ち負けの問題ではないのでしょうが、どうしてもドラマの方が内容が濃くなって当たり前だし連続で観る映画に比べれば次の回を観たくなる様なメリハリもつけなきゃならないだろうし。
でも、今回の作品に関しては劇場版の方が断然記憶に残るモノになりそうです。
こんなに丁寧に、且つ其々の登場人物に感情移入出来る作品は そうは無いと私は思いました。
他の方の口コミにも有りましたが、こんなにリアルに、まるでドキュメンタリーの様に仕上げられた作品は少なくとも私は出会った事がありませんでした。
私が語るまでもなく、永作さんも井浦さんも、もちろんヒカリ役の薪田彩珠さんも称賛に値する役者さん達でしたが、
私の中では朝斗君の3人目のお母さんにあたる浅田美代子さんも実に印象深い配役だったと思いました。
若い方々には浅田美代子さんの認識は薄いかも知れませんが、
終盤の浅田さんのセリフは浅田さんにしか出せなかった心からの言葉だった様に思えてなりませんでした。
最後に、最初の内にコーヒーを飲んだのが災いしたのか…
エンドロールの少し前からトイレに行きたくなってて、他の多くの方々の口コミを見てなければ最後まで観ずに出てしまうところでしたが、
最後まで観て 本当に良かったです!!
この場を借りて有難うございました!
【補足】邦画が好きだと公言してる割にはあまりに認識がなかったので、後で調べて判明した事ではあったのですが…
私の今まで観た邦画作品の中で印象深いモノの中に辻村深月さんの『ツナグ』がありました~!
ご存知の方には"言わずもがな"でしょうが主演の松坂桃李さんが比較的近年のアカデミー主演男優賞大賞受賞後に樹木希林さんとの思い出を涙ながらに語られた作品です
(長い補足でスミマセン^^;)
望まない妊娠した少女と望んでも生まれない夫婦との有り得る絆
この映画を観ようかどうしようかと迷っている人はまず私のレビューを読んで欲しい。
はい。ようこそ来て頂きありがとうございます。
この映画を観ようか、やめようか迷っているあなた!まずこのレビューを読んで頂ければ幸いでございます。
なんか不妊症の夫婦の話かあ。重そうだな。きつそうだな。はい、わかりますよ。わかります。だって私もそう思っていましたから。
確かに不妊症の話しはかなりの尺を使って描かれます。
男性側が無精子症だと顕微授精でお金が掛かります。心理的な負担も有ります。つらい。観ている方もつらい。しかし・・・
中盤から話しは一転。赤ちゃんを提供した少女の話しにシフトします。しかも最初からです。
ひと恋染めしのドキドキ感から妊娠、そして出産まで。これはこれでつらい。しかし。しかしです。・・・観て損は有りません。きっと。
ここで、まるで違う話しになります。
三年前に奈良に行った時の事です。知っていると思いますが、鹿が沢山います。可愛い。何度も鹿せんべいを買って鹿にあげます。
大仏殿に向かう参道で鹿せんべいを買いました。その刹那。なんか生暖かい。獣臭い。そうです、肩の上に二頭の鹿。脇に二頭の鹿。完全にロックオンされています。
当時は台湾でドラマの「鹿男あをによし」が放送されていて、台湾では大ブームです。8月に行ったのですがお客の半数は台湾の方です。台湾ギャルは鹿に追い回されて嬉しそうです。多分一生忘れないよ。
しかし。しかしです。十鹿十色。鹿は本来優しい生き物です。
大仏殿に向かう途中に小さなせせらぎがあります。暑い盛りなので多くの鹿が涼をとっています。
ふと見ると若い雌鹿。人間だと推定15歳。そしてその横には小さな仔鹿。とてつもなく可愛いです。私は仔鹿を写真に撮ろうとしました。しかし、母鹿が仔鹿の前に出る。
何回も繰り返し結局、仔鹿を写真に収める事は断念しました。
鹿は本来草原で、草を食んで生きる動物。捕食者、被捕食者で言うと完全に被捕食者です。つまり本能として仔鹿を守っているのです。
二月堂に向かうと外国人が何度も鹿にお辞儀をしています。鹿もそれに呼応してお辞儀をします。
オー ニホンノシカハ レイギ タダシイデス❗️
ちょっ!待てよ❗️鹿せんべいは❓あげろよ。私は買いに行ったんですよ。代わりに。そしたら店頭に人がいねえの❗️やる気だせよ。鹿さんごめんね🙇鹿さんは可愛い。ディア 鹿さん。
はい。枕終わり。長いなあ。すいません。まずは簡単にストーリーを紹介します。ネタバレはしませんからね。
栗原清和(井浦新)と佐登子(永作博美)の夫婦は一度は子供を持つことを諦めましたが、特別養子縁組により男の子を育てることになりました。朝斗(佐藤令旺 さとうれお)と名付け、良い子に育ちました。
もうね朝斗くんが可愛いし健気なんです。幼稚園でいざこざが有り、周りがギクシャクした時の一言。
「ママ、ぼくがやったって言った方がいい?」
私はびえんだよ。すいません。調子に乗りました。新しい事を言いたかっただけです。
夫婦に突然の電話。ドキドキ。私の子供を返して下さい。
えっ?まじっすか?その人は家に来ます。茶髪でスカジャンを着ています。夫妻は赤ちゃんの受け渡しの時、女子中学生に会っています。似ても似つかない容姿。
あなたは誰ですか?
そして物語は中盤に入ります。少女の話しです。片倉ひかり(蒔田彩珠 まきたあじゅ)の視点になります。
まず奈良の風景が美しい。流石の「あをによし」です。里山の風景。桜のインサート。光が溢れています。河瀬監督は奈良出身なんですね。奈良愛を感じました。しかし鹿はワンカットしか出ません。
蒔田彩珠。最近観た映画に出ていたんで覚えています。凄く上手い。なんと次の次の朝ドラ「さよならモネ」で清原果耶の妹役を勝ち取ったのだった。凄い。
皆様。名前を覚えて下さい。まきたあじゅ、まきたあじゅ。最後のお願いに参りました。まきたあじゅに皆様の清き一票をお願いします。
何故、選挙風❓
その後の広島の島の風景も素晴らしい。内海なので太平洋のような暴力的な海では有りません。とにかく優しい海です。
あなたの島にお嫁に行きたくなりました。
そんなこんなで泣きました。良かった。凄く。
ネタバレなしなので隔靴掻痒の思いでございます。夜は冷たく長い。でも誰にでも朝は来ます。希望の朝です。
夜は鬼が出ます。朝の映画は如何ですか?
エンドロールの最後まで制作者の愛を感じました。
長文でごめんなさい。
ふざけてごめんなさい。
ここまで読んで頂き感謝カンゲキ 雨嵐でございます。
レビューの良さで期待しすぎた
法律だけでは片付けられない
一本一本と大事に物語を紡ぐ。これが邦画だ。日本映画なんだ!
個人評価:4.4
美しい人。守りたい人。命と人生を扱った素晴らしく、そして誇張がない人間ドラマだ。
河瀬作品はどれも素晴らしいが、自身が物語も手懸ける作品と、原作がある物語を手懸ける作品とではやはり趣きが違う。「あん」でも感じたが、原作がある時の作品は人間描写が素晴らしく繊細と感じる。台詞なしで表情のアップ、その眼差しだけで何を感じているか伝わってくる。人間を描くのが本当に上手いと思う。他作の自身が物語を描く時は、人間よりも土地や風土に宿るモノを描いていると感じるが、人間を描かせた河瀬直美も本当に素晴らしい。
一本一本と大事に物語を紡ぐ。外国映画にはないこれが日本映画なんだ!という作品。
アメリカアカデミー賞に久しく日本映画がノミネートされた事も嬉しく思い、オスカーも必ず取れる作品だ。
送り出す母、向かい入れる母の壮絶なバトルかと思いきや、どちらの母も...
見事な映像の連なりに魅せられた
全ての監督作品を見ているわけではないけれど、個人的には最も好きな作品だった。
私的ドキュメンタリーから始まって、どの劇作品にもその影響が色濃いという認識。この作品もリアルさの追求というものを強く感じたけれど、これまでと違うなと思ったのは、画面の中の絵を意識的に意図したものを作り上げようとしていたようなところ。偶然に捉えたものとか極力抑えて、偶然に見える箇所も明確な演出があってそのように構築されていると強く感じた。故に、これまで以上にカッチとした劇映画という印象だったけれど、その反面、これまで以上に全てがナチュラルに流れている印象で、相当見入った。
とにかく、映像の連なりが見事で、話とか構成も素晴らしかったけれど、絵がいいなあという─、今までこの監督作品ではそんなこと感じたことがなっかたのですが・・・。
まだまだこれから傑作を作り出してくれる監督だとは思いますけど、とりあえず今のところの総決算的な映画のように感じました。
河瀬監督の良さがフルに出ていてよい!!(私も光は合わないと思って同じ意見の人がぜひ!ということで見る決意を)
深いテーマを美しい映像とともに
母性を問う社会派人間ドラマ
母になれない1組の栗原夫婦が発端となって、特別養子縁組の話を絡めた社会派ドラマです。久振りの浅田美代子のベビーバトン代表に、母性に悩み疲れた1人の女性を感じました。それにしても浅田さん老けたな。役作りのせいもあるけど…女性に見てほしいなあと思います。不妊治療、特別養子縁組、未成年の妊娠問題、特に未成年の妊娠は女性側に重い負担を強いることがわかります。妊娠を隠すことができても、十代で妊娠、出産を経験した少女は、心に深いトラウマをかかえいえることはありません。子どもさんをおもちのお母さんにも、見てほしい。中学生で妊娠した少女を体当たりで演じた女優に、過酷な運命選択を選ぶ芯の強さともろさ、悲しさを感じた。親子の絆とは何なのか?血脈を超えた絆、で結ばれた栗原夫佐都子と片岡ひかり。光と影、現在と過去が点滅するようにスクリーンに表れる。とりわけたくみくんとひかりの恋愛と呼ぶには幼い恋のラブストーリーがさざわめく森の木々の音とと光により美しく表現される。またベビーバトンで養子縁組を選択して子供を産み養子に出す少女たちが、渡る広島の1孤島が、まるで母の胎内で聞く子宮の音のように、波の満ち引きの中でぽっかり、海の中に浮かんでいる。こころの帰る場所のない少女たちのうめきを感じてしまった。130分映像の美しさ、子供と親の関係性、育ての親と生みの親との間にたつ子供たち…いくつもの問題提起の中で物がたりのエンドを迎えた。最後まで席を立つことが出来ない。秀作であった。原作が読みたいと思いました。
気持ちがいっぱいになって溢れ出してしまった
エンドロールのその先に
上映終了後女子トイレ駆け込み
不妊のために特別養子縁組で授かった子供を育てている夫婦と、十代で子供を出産し、特別養子縁組あっせんのNPOに子供を手渡した21歳の女性の二つの話。
少女が出産時にNPOで出会う他の女性たち、NPOを運営する女性、アルバイト先の新聞配達の店主、新入りの女の子など、それぞれにみんな事情があり、また娘に子供を手放すよう説得する親も、単純に理解がないと断罪することはできないし、相手の男子生徒もしかり。どの人の判断・選択も間違っているとは言えない。誰のせいでもなく誰が悪いわけでもない。何に泣いているかわからないまま終盤は涙が流れ続けた。元は辻村深月の小説だが、不妊に悩んだ末に息抜きで出かけた温泉旅館の部屋でたまたま付けたテレビで特別養子
縁組を選んだ人達のドキュメンタリー番組を見る主人公夫婦など、効果的に映像ならではの要素を用いている。
原作がどうなのか読まないとわからないが、少女の出身が奈良で、河瀬監督また奈良をねじ込んできたな、とは思った。
完璧と言っても良い傑作
正直「光」を観てから河瀨直美作品は合わないと思い込んでいたが、本作は完璧と言っても良いくらいに高いレベルでストーリー・演出・演技のすべてが調和した素晴らしい傑作だった。
養子縁組を考えた栗原夫妻の物語、子供を手放さざるを得なかったひかりの物語、それぞれを丁寧に描きながら、冒頭場面の謎を丹念に解いてゆく。
先の場面では映されなかった部分や表情が後から映像的に明らかにされたり、風景を使った抒情的な演出が当時人物の気持ちを的確に現していたり、河瀬演出がピタリとハマっている。
永作博美も井浦新も浅田久美子も本当に素晴らしい演技なのだが、なんといってもひかり役の蒔田彩珠が素晴らしい。
途中からほずっと、なぜこの社会はこうして女性の側にばかり犠牲を強いるのか、とにかく彼女が救われて欲しいと、祈るような気持ちで画面に釘付けになっていた…
最後の最後、エンドロールが終わりきるまで目を離さないでほしい。あと、ハンカチ必須です…
的がわからないかな…
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