朝が来るのレビュー・感想・評価
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良い映画でした
先日TBSラジオの番組で河瀬監督が映画の内容や特別養子縁組という制度の話をされているのを聞いたのをきっかけに映画を観に行ってきました。
子供を手放さざるをえない親が抱える問題や気持ちの葛藤。
子供を養子として迎える側の夫婦が持つ事情や悩み。
私自身3人の子供に恵まれ何の問題もなく親になりましたが、世の中には子供を授かるという事に関して様々な事情をもつ方がいるという事をリアルに感じ、自分の置かれた日常に感謝しなければいけないと考えさせられました。
好きな人の子供を授かり、それが望まない妊娠の場合、悩み、傷つき、責任を一番背負わざる得ないのは結局女性であるという現実。
こうした心の傷みを抱えなければならない人を少しでも減らす為に重要なのはやはり若者への教育だと思います。
性教育をはじめ異性を思いやる心の教育に目を向けてもらいたい。
若者をはじめできるだけ多くの人に観てもらいたい映画です。
良い映画を制作して下さった河瀬監督とキャスト・スタッフの方々に感謝です。
いい映画だった。 河瀬直美さんの作品を見たのは初めてだけど、ドキュ...
いい映画だった。
河瀬直美さんの作品を見たのは初めてだけど、ドキュメンタリーの様に撮ってて、途中コレは本当の人ではとか思ったりして
ふと緩むと号泣しそうなのでかなり抑えた。
奈良の景色がたくさん出ていて、特に佐保川の桜のシーンはストーリー似合っていて美しかった
傑作で間違いない!!
劇場を後にしてまだ1時間も経ってないからか、まだ涙腺が緩い状態。
エンディング中必死に堪えて流さなかったから、ちゃんと流せということか…
映画.comの評価が高かったので観に行ってみたが、これは傑作だ!!
主要な登場人物たちが繋がるまでを丁寧に描き出し、それは出演者たちにとってもキャリアアップになったであろう重要作。
主演の永作博美はもちろんだが脇を固めた浅田美代子、そして若い蒔田彩珠が本当に素晴らしい!!
本作を教訓に、チャラい若手男優にキャリアを潰されぬよう切に願う。
うーん
特別養子縁組という、なかなか重たい題材。おそらく現実に縁組を扱う団体は、(絶対と言える)実親と養親は合わせない。個人情報管理も雑。
なんて、半ばもやもやしながら、観ていました。
だけどラストの言葉に、いろんな「こうでしょ」って違和感持っていかれました!
原作未読でしたが、原作読みたい!
二人の母親
望んでも子を持てなかった者と思いがけず子を宿してしまった者。どこかすれ違うような二人の母親が切ない。
この作品では望まぬ妊娠と思いがけない妊娠が分けられており、生みの親であるひかりをもう一人の母親として丁寧にしっかりと描いているところが特に素晴らしく、永作博美、井浦新、浅田美代子といった名優の中でも一切引けを取らずこの役演じ切った蒔田彩珠も凄かった。
光、音、リアルの効かせ具合も巧みでそれらが生み出す余韻が静かな感動を呼ぶ。
最後まで席を立たないでください
河瀬監督らしく光を使った絵作りが本当にうまい、実にきれいです。
二つの視点を交錯させるような作りなのですが、ぶつ切りにせず流れるような転換はとても自然で心地良い。監督ならではだと思います。
そして役者陣は実に良い芝居でしたね。
井浦新が居酒屋で同僚と話をする場面があるのですが、個人的にとても印象的でした。
この時の表情が実に良く、やるせない気持ちがとても伝わってきます。ちょっと見てて辛いくらい。
ここ実際に酒飲んでから撮影したようで、ちょっと驚きました。
蒔田彩珠は芝居もだけど、目の描き方が良かった。
何気に浅田美代子も良いアクセントでしたね。
それとやはり朝斗、彼の目線や眼差が良い演出ですね。そこから始まり、そこに帰っていくかのようでした。
物語は特別養子縁組を軸に、生みの親と育ての親を描いた作品。
この両面の描き方がとても丁寧で、どちらも自分の事のように寄り添ってくるんです。
歌ですが段々と繋がっていく構成も良かったです。最後はちゃんと届くのが嬉しいですね。
そして、エンドロールは最後の最後まで席を立たないでください。
やっと訪れた朝の「光」があるんです。
終焉したのに私は少し席を立てなくなりました。
心にずっと染み入る、本当に素晴らしい作品でした。
やや長尺
河瀬直美監督の新作ということもあり、大変、期待して観に行った。ミステリーと親子ヒューマンがミックスした内容で、各俳優の演技はさすが! ただ、ここまで長尺ではなく、スッキリさせることが出来なかったのかな?
この映画のテーマとは別の話ですが、ミステリーとしての完成度が素晴ら...
この映画のテーマとは別の話ですが、ミステリーとしての完成度が素晴らしいことと、河瀬直美監督という人が、他者の痛みを感じることができる、信頼できる人だということを感じるラストに感動しました。
ドキュメント的な描写が好みの分かれる所ではある作品です。
以前から興味のあった作品で、ポスタービジュアルのやさぐれた感じの茶髪の女性の後ろ姿が何処かホラーチックでどんな内容だろうと興味津々で観賞しました。
で、感想はと言うと、ホラーでは無かったw
観応えはありますが、重い。またどんよりする。
ドキュメント形式の描写が余計に重さをリアルに感じる拍車をかけます。
永作博美さんと井浦新さんが演じる夫婦が抱える問題に、子供を出産するが、育てることを断念せざるおえない女の子のお話なんですが、どうにも切ない。
育ての親の苦悩もさる事ながら、産みの親となる少女の苦悩と葛藤、不幸が重いんですよね。
また育ての親の物語かと思えば、どちらかと言うと産みの親の女の子の物語の側面が強い。
割合で言えば6:4ぐらいかな。
冒頭から何処か怪しげな雰囲気が漂い、幸せそうな家庭環境が余計にその雰囲気を増幅させる。
幸せの家庭を壊すのはいつも他愛もない事からが世の常ではあるが、この作品は割といろんなことが「伏線か?」と思わせといてスカされるw
その辺りが結構絶妙ですが、回り道と言えば回り道ですが、そういう伏線張りは嫌いじゃ無い。
でもそれが多いとちょっと中弛みを感じます。
伏線張りは…少し多いかな。
インタビュー形式的な描写で「ザ・ノンフィクション」みたいな感じで、それが結構多い。全体のバランスから考えるとちょっと多すぎる感じがして、肝心な部分の描写が少なくなってる気がします。
社会派ミステリーと言うジャンルに位置付けされてますが、ミステリーとしての側面を過剰に醸し出している所も感じる。
永作博美さんと井浦新さんを前にした茶髪のやさぐれた感じのポスターが正にそれ。
でも、そこになんとなく牽かれて観賞したので、ここは好みの分かれる所でしょうか?
また、特別養子縁組の制度について描かれてますが、ドキュメント性を出すのであれば、もう少し金銭的な事を含めて詳細を描いても良かったのではと思います。
永作さんと井浦さんの演技力は今更ながらに言わずもがななんですが、ひかり役の蒔田彩珠さんが上手い。
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の加代とは全然違う役柄ですが、最初気付かなかった。
それぐらい全然違いますが上手いし、良い役者さんになりました。
そんな彼女が演じるひかりは不器用に挫折もしながら、それでもなんとか踏み止まろうとする姿が健気。
いろんな事が彼女に降りかかり、その事でゆっくりと転がる様に落ちていく。
彼女が悪くない訳では無いんですが、そんな綻びから付け込まれる様にして、綻びが大きくなっていく。
母親のちょっとした無関心と見栄が余計に腹立ちますがw、感情が優先して、そこから逃げ出したい気持ちも凄く分かる。
様々な人に出会い、優しさに触れ、いろんな事にも傷付く。
それが人生だと言えば、そうなのかも知れないが、それをまだ10代の女の子に背負わすのは観ていても酷。
その辺りを丹念に描いています。
弱い者が様々な事に叩かれる姿は正直見たくないし、映画の中とは言え、立ち直ってもらいたい。
蒔田彩珠さんの上手さが際立ちます。
子供を授かりたくても授かれない苦悩も切ないし、そこに特別養子縁組に至る決断も切ない。
でも、養子とした子供に目一杯の愛情を注いでいる姿が微笑ましい。
意図せず授かった子供であり、周囲との協調を図る為、泣く泣くで手放したが、そこから転がる様に落ちていくが、唯一の救いは悪になれなかった事。
その事がラストにも生きてきます。
重い作品で、中々の尺ですが、見応えもあります。
ですが、ドキュメント的な描写は好みの分かれる所。
興味があれば如何でしょうか?
河瀬直美円熟期
河瀬直美監督は「あん」以来、自分の世界観の押し付けを封印していい意味、原作者や観る側が納得する演出をするようになっている。
キャストも永作博美、井浦新にも役積みをさせ、河瀬組初出演とは思えないくらいフィットしていた。浅田美代子はなくてはならない存在感。助演女優賞レースに絡んでもおかしくない出来です。しかし何よりもひかる役の蒔田彩珠にアッパレです。素晴らしい。星の子でも好演ですがここでの芝居は文句のつけようがない。
アカデミー賞の日本代表も当然の作品。辻村深月さんの原作を読んでみようとも思ってます。
女性の監督ならではの作品
女性の感性みなぎる作品。
テーマは母と子。産みの母、育ての母、養子縁組する母、三者三様の母親の想いを交錯する。子供への愛とその表現の仕方。
映像は自然光のまばゆさを使ったカットが多くて望郷感のある優しい絵作りが母性のイメージと重なる。
観た後に優しく包まれそうなそんな映画。
追記)
社会派的な視点では、女子中高生の妊娠がその女性の人生に多大な影響を及ぼすことの警鐘にも受け取れる。
あとは、若い妊婦を預かる施設内でのドキュメンタリータッチ、インタビューに応えるようなカットはリアル感増し。
大我と小我の物語
自然の命が大我、個の移ろいが小我。
この世は大我と小我の螺旋の中で時を刻む。
特別養子縁組という視点で、このテーマを浮かび上がらせている河瀬監督の映像作家としての手腕は健在だ。
自然の四季を美しく動的に切り取り、人もまた大きな自然の一部であることを、静かにも強く描き出し心を浄化してくれる。
大我は小我を包含することを示唆する幾つかの台詞の中でも、「親が産まれてくる子を選ぶのではなく、子が親を選ぶ」という言葉が心に残り、身近な日常を振り返りたくなる、映画史に深く刻まれる作品だ。
消せない想い
子供ができずに養子を取った夫婦だが、その子の生みの親だと名乗る人物が突如現れ、子供を返すか或いは…という展開になる物語。
序盤、子供ができない夫婦間の苦悩が描かれる。
空港での夫の本音が出るシーンは胸に来るものがある。
そして偶然、養子縁組というものがあることを知った二人が、養子をとることとする。
生みの親は14歳の中学生。ちらっと登場するだけだが、きっと彼女にもここに来るまで壮絶な人生があったんだろうなぁ~なんて考えていたら、寧ろここから映画は彼女の物語がメインとなる。
真面目そうな女子中学生。こうなっていなかったら、ごくごく普通の幸せな人生を送っていたであろう彼女。妊娠のきっかけも、中学生ながら純愛の末だったから、尚のこと難しい。
まだ十代だというのに波乱万丈すぎる人生の末、変わり果てた姿で夫婦の前に現れた理由とは?
観ている側にも重くズッシリとのしかかってくる物語だった。
色々考えさせられる作品だが、夫婦や少女の物語は勿論、個人的に気になったのは養子団体について。ある夫婦の質問に対して、そこだけは認められないと回答する代表の女性。
…難しいですね、その方が経済的にも安定するし、考えようではその方が子供もより幸せになれるのでは?とも思いつつ、団体側としてはある種の「覚悟」も見たかったのかな。
子供が欲しい大人の為ではなく、あくまで子供が親を見つけるのが目標ですからね。
命を預けるには、並大抵の覚悟しか見られないようではダメですもんね。
そしてあの手紙。
当時14歳の彼女がどのような思いで消したのかと思うと、胸が張り裂けそうになる。
親子間での悲しい出来事が多く起こっている昨今の日本。
多くの方に観てほしいと思える作品だった。
アサトヒカリ
ああ…もっと早くみれば良かった。そして映画賞に投票すれば良かった。
今年みた映画で1番心揺さぶられました。
まるで映画のお手本のような作品。
辻村深月さんの原作小説と河瀬直美監督の相性がとても良いのかもしれません。
原作よし、キャストよし、演技よし、脚本よし、演出よし、音楽よし…河瀬直美監督は地道に積み上げてきた実力を余すことなく発揮している。
私は映画をたくさんみるけれど、みた映画はほめる方だけど…
エンドロールが終わって立ち上がれないほどに魂を揺さぶられる作品は10年に一本かもしれない。
上映館が少ない上に回数も少なく、上映期間も短い本作。
もっともっとたくさんの人にみて欲しいと願う。
私の周りにも子宝に恵まれない友人がたくさんいて多額のお金をかけて不妊治療に通ったり諦めたりする姿を見てきた。
栗原夫婦が決断する特別養子縁組も相当の覚悟が要る。
朝斗くんは本当に良い子で、幸せな生活を送る栗原家。
幼稚園のいざこざはあるものの、朝斗くんを信じる母親の姿に学ぶことも多かった。
朝斗くんがこんなに賢く優しい子なのは育ての両親が愛情いっぱいに育んだからです。
それと同時に産みの母親ひかりさんが彼を愛してたからだと思う。中学生の2人が幼いなりにも愛し合って授かった子。
でも理解してはくれない周りの大人の対応でひかりさんは生きる意味を失いかけ、荒んでいった。
実際に養子縁組をしたご夫婦も出演してドキュメンタリー映画をみているかのようなリアルさ。
育ての母親役、すっぴんの永作博美さんの演技とベビーバトン代表の浅田美代子さんの演技が素晴らしい。
そして蒔田彩珠さん。彼女が出演してる映画はどの作品もワンランク上になる気がする。これからが楽しみな女優さん。
新型コロナウイルスがなければね、カンヌ国際映画祭でたくさんの人にみてもらえたのに…
まだまだ今後も本作を大切に届けてほしい。
エンドロールの歌にまた泣けます。
タイトルは〝アサトヒカリ〟
私はこの映画の主人公は実はひかりさんだと思ってます。
朝の訪れとともに最後の最後に発する朝斗くんのひとことで彼女は力強く生きていけるのです。
なかったことにはならないのだから。
蒔田彩珠さん18歳の演技がもの凄い、天才女優誕生。世界の河瀨直美監...
蒔田彩珠さん18歳の演技がもの凄い、天才女優誕生。世界の河瀨直美監督のストーリー構成と光、海、景色の映像美が絶妙、広島の似島に行ってみたくなる。妊娠、出産という本来は感動的な事象に相反する不幸を抱える本来は交わることない2つの人生が重なり、感動的な物語を成す。その後を見せてほしくなる名作。
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