「物事を違う視点から見ることはやはり大事だと痛感」朝が来る 木根間さんの映画レビュー(感想・評価)
物事を違う視点から見ることはやはり大事だと痛感
『あなたは誰ですか…?』
そう私も感じた。
そして、探った。
あのひと時を過ごした家にいた旧友ではないか。
黄色のパーカー着ていたし、ロングヘアだし。
あ、一緒に暮らした借金取りに追われている親友か。
黄色のジャケットだし、ロングヘアだし。
だが、違った。
訪ねてきた人は疑う余地もなく、あの子だった。
私は反省した。
永作博美の視点から見過ぎていたのだ。
彼女の5年間の変化に気づいた時、私は涙をしていた。
そしてその背景を我々鑑賞者ほどは知らずとも、永作博美も涙した。彼女の「その後の」人生を推し量ったのだと思う。
そして、彼女自身も広くて綺麗な家でおもちゃもたくさん与えられ、大切に育てられている子供に対して介入するべきではないのだと知る。
両者とも何も悪くない。
そして、子供にも無論罪はないのだ。
悪いのは避妊せず逃げたクソ男…と思いたいが
ここで私は考えてみた。
違う視点から見てみよう…
この男も中学生。友人に囲まれ、高校受験を控え、大学も行き社会人になるのだ。
そして、その中でひと時の恋をするのだ。
避妊しなかったのは悪い、そして泣きながら逃げた。
その事実は変わらない。そのせいで女は1人、荒んで生きることになったのだから。
しかし、彼にも生活があり、人生があるのだ。
彼のその後なんて知る由もないがまた彼の視点から見た話が頭の中で膨らんでいく。それも映画の醍醐味だと気づいた。
挿入歌と主題歌がいい具合にマッチしていたこと。
『命』を表すように、森や川や木々や鹿や夕陽、そして朝陽。
殆ど顔のアップしか映らない登場人物達。
なんて素敵な監督なんだろう。
明日見る朝陽はきっと格別だ。
とても綺麗な作品だった。
そして辻村さん。ありがとう。
いい映画でしたね!
私は新聞屋さんの店長さんにちょっと共感しました。私でも同じように優しく声をかけるのだろうけど、ちょっとズレてて届いていない感じがたまらなかったです。そういう色々な人の優しさがにじみ出てくる感じが良かったですね。