「原作の悲痛さが、そのまま描かれて」朝が来る chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
原作の悲痛さが、そのまま描かれて
公開が延びていましたが期待通りでした 原作を前日までに読みましたが、小説とはいえひかりの14歳からのあまりの過酷な生活がとてもつらく、話の展開がみえつつも、彼女の幸せを願わずにはいられない思いでした 原作と同様タワーマンションでの満ち足りた一家の暮らし、幼稚園での事故とママ友とのすれ違い、そして不妊治療の時期の2人の生活に戻り、ベビーバトンを通じて男の子とひかりに出会い、そのあとのひかりの中学校時代からの悲しい日々が描かれていきます 原作にあった新聞販売店に来る「取り立て」から逃げてから、ホテル清掃の住み込みの仕事をして、追ってくるしつこい「取り立て」のために横領をするところは省かれていました しかし保証人に仕立て上げられてそれが無効であることも、あの年齢で相談する人がいなかったら、ああやって騙されていく 世話になった人、姉、実家に迷惑をかけられない、と小さな胸を痛めている原作の姿が、蒔田彩珠さんの表情そのものでした 笑うことが少なくなった自宅での生活から、ベビーバトンの寮で、新聞店の宿舎で、子どもらしい表情をみせたことが救いでした 限られた時間の中で最後に「みつけてもらう」ことまでを描き切るのは大変でしたが、ひかりの思いが警察が訪ねてきてから、広島のおかあさんを朝斗にみせたい、という母、佐都子の強い思いがあっただろうというところは原作を読んでの感想です ひかりの母親役の中島ひろ子さん、「櫻の園」で制服姿だったのが30年前だったんですね (10月29日 イオンシネマ高の原にて鑑賞)
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