劇場公開日 2020年10月23日

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「アサトヒカリを最後まで聴いて」朝が来る ちかしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アサトヒカリを最後まで聴いて

2020年10月25日
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鑑賞方法:映画館

MARVELがエンドロール終わりまで観させるのを常識にしたにも関わらず、未だに途中で帰るひとが多いのは理解できない。最後まで観るべき作品。最後の一言の破壊力たるや。
原作は未読です。ただ、終わり方はともかく、今まで辻村深月の小説でここまで憂鬱な気分になったことはないので、おそらく河瀬監督の色なのかなと思う。宣伝の仕方からもう少しミステリー調を想像してたら、かなりガツンときました。
夫婦のシーンも恋人たちのシーンも、幸せなはずの場面でも悲壮感が漂う。作品全体のトーンがただただ悲しい。
養子縁組とは、「子どもを持てないひとと、子どもを育てられないひとをつなげる制度」。そんなのは、一方的な考えなのだと思い知らされた。子どもを手放す側からすれば、恵まれない自分たちから恵まれた人間たちが子どもを取り上げて勝手に幸せになるようなもの。そんな考え方もあるのかと、「嫉妬」という一言で衝撃を受けた。
評価はもっとしてもよいのだけど、これもまた永作博美の「八日目の蝉」のときと同じく、親でなきゃ、母親でなきゃわからないことが多すぎて自分には正当な評価ができないので少し低め。それにしても青木崇高はチンピラが似合う。

ちかし