「やりきれない」カルガ 積荷の女 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
やりきれない
1990年代、共産圏の崩壊のためヨーロッパの経済体系が変化し、女性たちは失業し、貧困にあえいでいた。そんな中、出稼ぎのため国境を越え、希望を見出そうとしていた。ヴィクトリアという少女もその一人。しかし、行き着いた先は人身売買グループのアジトだった・・・
どこの国だかわからないようになっていた。悪の組織のリーダー、ヴィクトルはロシア系で英語を話す。10人の男女がアントニオの運転するトラックからバンを乗り継いでアジトに到着。品定めをされ、男たちがいきなり銃殺されるのだ。女性だけ残されたということは、やっぱり巨大売春組織。女性たちの人種も様々だった。
とにかく暗い。組織の人間も罪のない人々も簡単に殺される非情な世界。銃殺シーンを目撃してからは、ヴィクトリアはとにかく逃げることしか考えてない。しかし、悪人の中には彼女たちを哀れんで脱走の手助けをしてくれる者も現れる。車を盗んで逃げる、逃げる。ガス欠になってからは線路沿いを歩き、森の中を駆け巡る。そして行き着いた一軒家には・・・
希望も何もない暗闇。生き残ってる者たちは家族を巻き込みたくない一心で耐えているだけで、心を失った人形のよう。自分がいる国さえもわからない、言葉も通じない、といった状況がとても孤独。無事に帰れたとしても、心に大きな“積荷”を背負わなければならないのだ。見終わってもスッキリしないし、終盤のとあるシーンもスッキリしない。こうした事件が現実に起こっていることだということしか残らないのだ。空しくなる・・・
ヴィクトルの妹とヴィクトリアが二役だったなんて、エンドロールまで気づかなかった。
コメントする