劇場公開日 2020年11月20日

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「【フランス児童文学の金字塔を映像化した事で、作品の持つ品性をさらに高めた稀有な映画作品。フランスの文化度の高さが垣間見える作品でもある。】」家なき子 希望の歌声 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【フランス児童文学の金字塔を映像化した事で、作品の持つ品性をさらに高めた稀有な映画作品。フランスの文化度の高さが垣間見える作品でもある。】

2022年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

◆感想

 ・南フランスの農村で暮らす11歳の孤児の少年レミを演じたマロム・パキンの聡明で優しき表情と美しきボーイソプラノ。

 ・優しいバルブラン母さん(リュデュヴィーヌ・サニエ)の貧しいながらも笑顔を絶やさずにレミを育てる姿。

 ・レミが義父により売り飛ばされる旅芸人の親方ヴィタリス(ダニエル・オートゥイユ:流石にフランス映画界の至宝と呼ばれるこの俳優さんは知っていた。)の、レミへの接し方。
 - 文字を教え、彼の歌の才能を見抜き、”与えられた才能を信じて歌いなさい”と説く姿。
   そして、哀しき過去を抱えながらも、媚びる事無く生きる姿。-

 ・レミが、犬のカピや猿のジョリクールと親交を深めながら、ひたむきに辛き旅を続けていく中で学んでいった事。
 - 身分の違いを越えた、車椅子の少女リーズとの淡い交流。そして、彼女がレミのために行った事。
   ヴィタリスがラミに自分の生き方を選択させるシーンも良い。-

 ・冒頭の老いたレミ(ジャック・ペラン:流石にこの人も存じ上げていた・・。)が昔話を子供たちに話すシーンからの、ラスト、隣で横になる女性に掛けた言葉。
 ”グッド・ナイト リーズ・・”
ー レミが、過酷な人生を克服し、幸せな人生を送った事が分かる。-

<フランスの作家エクトール・アンリ・マロが1878年に発表した「家なき子」。
 幼き時に読んだ筈であるし、アニメも観た記憶が僅かにある程度であった。
 が、今作を鑑賞し、”こんなに素晴らしき物語であったか!”と思わせてくれた作品である。
 過酷な人生で、最高の師と出会えたレミの幸運。
 師にとっても、レミと出会えた事は、幸せではなかったか・・。

 劇場公開時には、吹き替えしか上映されず、観賞を見送ったが、漸く字幕版を見れて満足である。>

NOBU