Winnyのレビュー・感想・評価
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winny事件の法廷闘争の物語(壇弁護士視点)
当時からネットの住人をしていたものの一人として、この映画は壇弁護士視点の偏ったまとめ方されていることは指摘しておきたい。
とはいうものの、金子勇氏が無謬で潔白とは言い切れないと判断できる事実は作中に描写されているので、当時を知らない鑑賞者にはそこまでちゃんと読み取ってもらえればと思う。
表面的な理解で、金子氏を悲劇の英雄視する者がいないことを願う。
さて。
この映画は、初期から金子氏の弁護にあたった壇弁護士の「法廷闘争」の物語である。
一人の技術者を信じ、支え、共に戦った、弁護士の英雄譚だ。
47の書き込みとwinnyの公開、爆発的な利用者の増加、暴露ウイルスによる情報漏洩の社会問題化、ここまでがタイトルが出るまでのものの数分であっさりと流される。
winnyを作るに至った前提の状況(WinMXの状況など)は描写すらなく、そもそも一般人の間に広まる直接の原因となった悪用を煽る雑誌に対する言及もない(枕元や、アップロードで逮捕された被告の部屋にネットランナーが置いてあった程度)。
本格的に物語が動くのは、違法アップロードで二人の逮捕者が出て、その参考人として金子氏に家宅捜索が入ったところからである。
そこから、警察の不当な捜査手法が、壇弁護士の語る開発者の無病性が、金子氏の自閉傾向を感じるまっすぐさが描かれていく。
弁護士は何を見、知り、感じ、いかに国家の横暴と戦ったか。
その視点では、大変よくまとめられた物語だった。
本作は、全体が弁護士の英雄譚としてまとめられているにも関わらず、冒頭にも書いた通り弁護側に不都合な事実も描写されている。
それを映画制作者の誠実さと見るか、単なるアリバイと見るかは見る人次第だろう。
看守に「あんたの作ったwinnyのおかげで無修正が手に入って感謝してる」という意味のことを言われたシーンは、世間での一般的な認識を示す鋭い演出だった。この部分が実話なら、その時金子氏はどう感じたろうか。考えることをやめ、星に思いを馳せたか。
繰り返すが、壇弁護士には金子氏がどう見えていたか、を知る映画としては面白かったが、当時を知らない者が事件の全体像を知る手段としてはお勧めしない。当時を知り、winnyに否定的な者による背景解説が必要である。
嘘は言っていないが、大事なことも抜け落ちている。
一方からの視点であることを忘れなければ、非常に出来がよい。星4。8001とかこんにちはマイコンとかネットランナーとかよく集めてきたな……。
事件全体について個人的な意見を言うとすれば。
WinMXでのファイル交換に足がつくようになってきたからやめるしかないかという雰囲気の場に匿名で可能とするシステムを提供するのは「自作の包丁を目的外に使われた被害者」ではなく「喧嘩している当事者に自作の包丁を手渡した加担者」であろうし、自分専用にダウンロードのみを可能とするカスタム版を用意してそれで違法アップロードされたファイルを手に入れていた事実は法に触れる使い方が標準であることを認識していた結果であるし、47としての書き込みで既存著作権保護システムの崩壊を予見しそれを容認どころか加速させる発言をしていることなどその他理由を含めて「公権力による責任追及は妥当」と考える。しかし、その追求を急ぐあまり捜査に不当性があったこと、規制できる法が追いついていなかったことから「無罪妥当」でもある。実際、最高裁判断も、行為自体は問題視しながらも特定事件の幇助とは言えないとしての無罪である。映画の印象とは異なり、正しかった、問題なかったとされたわけではない。
本当に金子氏が無謬であり主張通りに情報ソースの匿名性担保が目的なら、ファイル交換より先に掲示板機能の方を整備するべきだった。(それだと世に広まらなかったかもしれないが)
もし、そういう利用者間のコミュニケーションが機能の中心であったなら、そのような使われ方が主流であったなら。
今のTwitterの位置には、winny掲示板がいる未来があったかもしれない。
そう考えると、「タダでファイルが手に入る」として世間一般に広め、それを社会の共通認識とさせた、ネットランナーを筆頭とした雑誌類の罪は、金子氏以上に糾弾されるべきと思うのだ。
怖い
高速道路で制限速度を超えてみんなが走ってる、じゃあ高速道路を創った国土交通大臣は逮捕ですか!?
エンドロールのための素晴らしきプロローグ
著作権法違反幇助の罪で逮捕、起訴された、ファイル共有ソフトWinnyの開発者金子勇氏の裁判闘争を描く作品。PCに詳しくないですが、ナイフで人を刺しても、ナイフを作った職人が裁かれるのではない、との喩えはとても分かり易い。新しい技術を開発する人たちが無用な司法リスクに晒されない済む、この当たり前のようで画期的な判決の意義は大きかったと思います。エンドロールで、今は亡き金子氏本人のインタビューが流れます。最高裁で無罪を勝ち取った直後に撮影されたもののようですが、決して奢らず、飾らないお人柄が滲み出ていました。健気ですらありました。このような開発者の皆さんのおかげで私たちが新しい技術の恩恵に浴することができることに改めて感じ入ると共に、ちょっと変な言い方ですが、正にこのエンドロールのために、この2時間の作品が必要されたのだと感じた次第です。金子氏役の東出昌大さんは安定の好演、それと弁護士壇俊光役の三浦貴大さんは初めて拝見したのですが、表情が豊かで顔芸が何とも良かったです。胸を打たれる作品でした。
前置きが長くなりますが、、、
50過ぎの私にとって「2002年」と聞いてもそれほど昔とは感じません。しかし、改めて映像化された当時を見せられると、すでに30を過ぎていた自分を振り返り、正直目を覆いたくなることも否めません。
ちなみに、Googleで「インターネット元年」と検索してみると、若干のばらつきはあるもののおおよそはWindows95が発売された1995年辺りのこと。ピア・トゥー・ピア型ネットワーク(P2P)という言葉も、このWindows95におけるネットワーク設定の部分で初めて触れた覚えのある言葉ですが、その後このP2Pという言葉を頻繁に耳にするようになったのが音楽の共有を主目的としたファイル共有サービス「ナップスター」の出現です。そしてその数年後、日本では本作の主役である金子勇氏が開発した「Winny」が利用者を増やし、後に事件となるところからこの映画が始まります。
当時を思い起こせば仕事でもインターネットが不可欠になり始めていたけれど、そのためのセキュリティ対策やユーザーのITリテラシーが全くと言っていいほど不足していた印象があります。今考えるとそんな「ずさん」な状況が「満えん(正しくは蔓延)」しているなかで、Winnyによる「情報漏洩」などがニュースになり注目を集めることが、セキュリティが重要視され始める一つの「きっかけ」であったとも思います。また、インターネットの「ブロードバンド化」が進みADSLの普及に勢いがついたのも、実はWinnyなどのP2Pソフトが要因だったような気がします。(ま、諸々は私の「実感」ということで、私周りの詳細は伏せますが。。)
正直この作品、あまり大きな期待はしておりませんでした。私としては「役者・東出昌大」という面白味にあふれた彼の主演作に期待というくらいにつもりで臨んだわけですが、東出さん以外にも三浦貴大さんをはじめ、間違いないキャストの面々の素晴らしい芝居によってこの作品の世界観に惹き込まれます。特によかったのはやはり吹越満さん。巧いのは言わずもがなで、存在感、説得力ともに半端ない。カッコいいっす。あと、最近法廷物にカメオ出演がお約束化しつつある裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火氏もちゃんと出ています。
そして、この作品に対して一番感心したのは田巻源太氏の編集。本作は二つの事件を並行して物語ることで「問題の本質」が立体的に見えてくるのですが、まさにこの編集が素晴らしいバランスで構成されており、状況の変化によってヒリヒリしたり、イライラしたり、ゾワゾワしたりと兎に角スリル感があって素晴らしい仕上がりです。エンドクレジットの演出も含め、邦画っぽくない感じが思いのほか刺さりました。おみそれしました。
テクノロジーと司法のせめぎ合いはこれからも続く
冒頭の壇弁護士の譬え話が面白い。「殺人に使われた(食卓)ナイフを作った人を罪に問えるか」と(実際はナイフ製造ではなく高速道路建設を譬え話に使ったらしい)。おそらく常識的には罪に問えないと答えるだろう。
では包丁ではなく、拳銃なら?爆弾なら?ちょっと考え方が変わってくる。(専門外で恐縮だが)このイシューは製造者の目的とその意図か。ナイフは食品を切ることが主要目的であり、人を刺すことが目的ではない。この作品での裁判でも実際そこが争点になっている。京都府警もそのことを意識して(金子氏を騙して)供述書をとっていた。
正直、検察も裁判官も最後までWinnyの技術の本質を理解できていなかったと思う。
では20年経った今、司法のリテラシーは追いついているのか。残念ながら日本の司法は言うに及ばず、一方、米国ではISISのビデオを載せていたYouTubeの運営元であるGoogleに責任があるかの最高裁の口頭弁論が始まっている。もしGoogleに法的責任があるとされれば、インターネットの自由度は大きく後退していくであろう、techの将来において重要な裁判になる。
今後もAIや人工生命技術等で同じような裁判が繰り広げられていくであろう。司法関係者のリテラシー向上はもちろんのこと、その行方を見守る私たちもアップデートしていかなくてはいけないとあらためて痛感させられる作品。
日本の未来の技術者の開発意欲を潰してはいけないとの金子氏と弁護団の熱い想いに敬意を表したい。
アナログ世代には。
「時代を変える先駆者というのは一番最初の人が叩かれる」
東出さんの声が苦手であまり彼の作品には前向きにはなれないのだけれど、この実話作品には興味があったので鑑賞。結果、とても時間を忘れた作品の魅力に没頭できたと思う。難しい問題をわかりやすく、時系列にならべて、視聴する側を置いてきぼりにすることなく、問題を一緒に追いかけていけたのは素晴らしい作品の証。主人公の人間性やクセや弱点、強みに焦点をあてて裁判の見せ場を作り上げるまでの弁護側の努力が素晴らしかった。彼が作ったWinnyという技術は時代を塗り替える画期的な発明であったが、世に出てみなければ、それらの脆弱な部分を検証することは不可能だったのだろう、と思う。いつの時代も先駆者というのはそれらが常識を根底から覆すものであるほどに一番最初に作った人は叩かれてしまうのだろう、なと考えさせられた。ご本人の映像が出ていたけれど、彼の人柄をうまく表そうと東出さんが役作りを入念にした努力が伝わってきた。ただやっぱり声が高いとセリフが軽く聞こえてしまうから、やっぱり損なんだなーと思った次第。だけど彼の復帰作品として十分に爪痕を残せたのではないか、と思えるほど満足な出来だった。
ジレンマを感じつつ、考えさせてくれる作品
見る角度や立場によって、意見はかなり変わるであろうこの実際の事件を、開発意図と関係なくWinnyが使用されて影響を及ぼした事実も描くことで、単なる権利や裁判を描くだけの視点以上の、世の中にとても大きな影響を与える開発だったということが表現されている。金子さんのキャラクター、そして弁護団の役者達もそれぞれリアルに感じられ、映画としてとても面白かった。
ただ、愛媛県警の告発事件については、かなりしっかりと描かれている意図が今ひとつ分からない。本筋と何か絡むのか?と思ったが、出る杭は打たれる という言葉の連想のみに留まった感じで、吉岡秀隆の告発からその後脅迫に怯える辺り、勿体ないが必要なかったように感じる、ということでマイナス0.5。
金子さんの気持ちを考えると泣けてくる。
不遇の天才を演じた東出昌大完全復活❗️
ファイル共有ソフトWinnyの開発者である金子勇氏の法廷逃走を描いた作品。無罪確定まで7年を要したが、今現在で考えると何故に起訴される事案だったのか不思議だ。警察の不祥事、新しい技術に対応出来ない司法、それに対峙する弁護士の熱量で最後まで引っ張る。法廷ものとしては秀作だと思う。金子氏演じた東出昌大は体重を18kgも増やして臨んだらしいが、喋り方や腕を組むくせなど本人になりきったさまは凄い役者魂だと思った。エンドロールでご本人が登場するので分かります。弁護士役の三浦貴大の熱演も良かった。彼は普通に太っただけだったのかな。金子氏は本当のパソコンオタクで他のことには何も興味の無い人だったのでしょうが、非常に優秀な方でした。この不当逮捕、裁判がなくご存命であれば、現在の日本のPCやネットの歴史は大きく変わっていたと思う。彼が発した日本を良くしたいという言葉が胸に刺さりました。若くして亡くなった天才の不遇の人生だったが、今でも彼の作った技術は進化して受け継がれている。あと法廷ものには阿蘇山大噴火はいいアクセントになるね⁉️
23-040
リアリティ溢れる法廷闘争と東出昌大の演技が見物
「Winny」という実に懐かしい言葉を聞き、思わず本作を観に行きました。Winnyのことは今でも覚えていますが、当時利用者が逮捕されたらしいということはなんとなく聞いたような気がするものの、開発者が逮捕され、一審判決は有罪となり、その後最高裁で無罪となったまでは知りませんでしたので、非常に興味深く観ることが出来ました。
開発者であった金子勇氏をはじめ、基本登場人物は実名のようで、この点だけでも日本の映画、ドラマにしては結構攻めてるなあというのが第一印象。内容的にも、当時のネット界におけるWinnyの位置付けが、警察の取り調べから裁判でのやり取り、弁護士同士の会話などを通じて手に取るように理解できる創りになっていて、中々”教育的な”味付けになっていました。特に悪役になった検察・警察側の人間の描き方は、非常にリアルに再現されていた感じでした。この辺りは、2018年に行われた「ホリエモン万博」というイベントの映画祭でフランプリを受賞し製作が決定したことを踏まえると、さもありなんという気がしないでもありません。
また、容疑者として逮捕された金子勇氏役を演じた東出昌大も、彼のプライベートでのスキャンダルを踏まえると、中々に適役だったと思います。前述の通り、第一審で有罪となってしまった金子氏に対して、ダブル主演だった三浦貴大演ずる壇弁護士は、「日本では一度有罪判決が出ると、譬え最終的に無罪になろうとも、一生拭えない汚点になる」という趣旨の話をします。東出昌大さんのスキャンダルは法廷で裁かれたものではありませんが、それが身から出た錆とはいえ、一生背負っていかねばならない十字架だけに、金子氏の人生とダブっていると感じたところでした。肝心の演技の方も、二枚目の東出がコンピュータ”オタク”の主人公を演ずることで全く二枚目感を出していなかったところが新鮮でした。
また、本筋とは別の物語として、愛媛県警の裏金捻出事件が描かれています。捜査協力費などの名目で組織的に不正な裏金を捻出していた愛媛県警の事件が内部告発により明るみになり、その証拠となる資料がWinnyを通じて流出するとなるという下りは、金子勇氏の物語とは全然別物でありながら、劇中劇として厚みを加えていたように思えました。実際こちらの話も実話であり、これはこれで映画が一本創れてしまうような話なのですが、創作映画であれば、金子氏と警察の不正を内部告発した仙波巡査部長(吉岡秀隆)が出会うところ、本作では全くすれ違わないで終わりを迎えるところがまた良かったかなと思います。
そんな訳で、評価は★4としたいと思います。
Winnyに私もお世話になりました
東出昌大メジャー復活?作品です。
未だに、ニュースサイトでは悪い話しかありませんが、とても良い役者で好きです。
最近も映画に出ていましたが、公開館数が多い映画は久しぶりかと思います。
Winnyはとても便利なアプリでした。
途中で少し出てきましたが、YouTubeよりも前のことでしたね。今では歴史ですね。懐かしい。
その後の騒動で、Winnyに悪い印象があったのですが、映画で再認識しました。
もし逮捕がなかったら、世界に誇れるサービスやアプリがあったのかもしれないですね。残念です。
事実の話なので、ドキュメンタリーのような映画でしたが、ちょっと淡々とし過ぎと感じました。ただ、事実ということなので、余計な演出は不要だったのかも知れません。
時代について行けない行政と司法
出る杭は打たれる!
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