Winnyのレビュー・感想・評価
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世の中が良くなるのなら、私は有罪になっても構いません。
Winnyとは、なにか?
当時マスコミにこの事件が登場したとき、さっぱりわからなかった。そしてたいして関心もなかった。だけどこうして全容を知ると、自分を含めた世間全体の無関心が、ひいては今の日本の技術全般の停滞を生んでしまったのだと痛感する。悪意の欠片もない金子氏が、なぜ逮捕されなければいけなかったのかは、劇中の警察内部の闇が示している。いや、常に高圧的で他者の意見を聞こうともしない検察も、そしてテクノロジーと言うものを理解できようもないロートル裁判長を起用した裁判所でさえも、この事件を正義の方向へ向かう努力を放棄し、原告となった警察の思惑に加担したとしか思えなかった。
そんな司法の専門家たちにしてみたら、金子氏は"与しやすい敵"だったことだろう。世間知らずでお人よし。自分が犠牲になることよりも、世の中が良くなるのなら苦労を惜しまない善人。悪く言えば、世間に甘い。だけど、そういう人柄っていうのは、2ちゃんねるの住民たちは敏感に感じ取っていたのだろうな。だからこその善意の支援があれだけ集まってくるのだ。同じ思いの壇弁護士の「私は金子さんのために自分の人生の5年間を使うので、金子さんは、このあと出てくる技術者のために頑張ってください。」という言葉には震えたな。
彼の技術開発は、10年早かった(だから逮捕の憂き目にあった)のか、10年遅かったらいい(もう既に誰かが似たようなものを開発していて一定の世間的認知されている)のか。少なくとも、金子勇という天才の頭脳を、2年半も封印させてしまったこと自体が罪、ということだ。これを誰に償ってもらえるのだろう。この閉ざされた2年半で彼がどれだけのものを作り上げただろうか、後進たちの指標となったであろうか、そう思うとつらい。まるで、愚策"安政の大獄"で処刑されてしまった吉田松陰たちを思う気持ちと同じ悔恨が胸をよぎる。そして彼の早すぎた死に、この心労が大きく影響しているであろうことがなにより悔やまれる。
現在の日本は、かつての「技術大国日本」の光彩をとうに失っていて、テクノロジーはもとより、家電メーカーや自動車メーカーが諸外国にどんどん後れを取ってる。それは何も技術者たちがここ数十年を安穏と過ごしてきたからではなく、こうして彼らの足を平気で引っ張る世の中(正義を標榜しておきながら、権力におもねるマスコミしかり)のせい。そりゃあ彼らはアイデアを出す前に委縮してしまうし希望ももてないよ。そのせいで、それがまわりまわって自分たちが暮らす生活に損害、損失を与えていることに気づくこともない。哀れだな。
Winny事件の真相
当時、逮捕者が出た2003年11月、IT系の仕事に勤めていた私は
あるPJ、システムの11/01切替トラブルで、翌年の春までホテル暮らし。
寝る間もなく、たまにインターネットを見ることはあったが、
当時はまだ新聞やテレビでニュースを見る時代であり、
ネットではさほどニュースをみていなかった。
Winnyというソフト自体は知っていたが、Winnyの利用者だけでなく、
作者が捕まったところまでは知っていても詳細を見ている時間すらなかった。
その事件の真相をこの映画を通して初めて知った。
愛媛県警の裏金事件についても並行で描かれ、Winnyにより
証拠が漏洩するといったストーリーはなかなか。
結局のところ、警察を守るために、誰かが犯人に仕立て上げられたのか。
そして、天才プログラマは有罪となり、以降無罪を勝ち取るまでに
年月を費やし、それからわずか後に亡くなっていたとは。。。
映画の描写、俳優さんの演技もすごかったのですが、
エンドロールのご本人のメッセージ、動画が一番胸を打たれた。
権力が潰した才能
実はこの映画を見るまで金子勇氏が亡くなっていたことを知らなかった。Winny のことは覚えていたが、正にこの映画で示されているように、権力側の情報操作に乗った報道ばかりが印象に残っていて、最も重要な最高裁の無罪判決もろくに覚えていないことに戦慄する。国家権力とは自分たちのメンツを守るために平気で一人の人間の人生を潰す恐ろしい組織である。
愛媛県警の裏金問題との関連は、警察側の事情が明らかにされないので証明できないが、多いにあり得る話で、何らかの意図がなければ、ここまで作り込まれた冤罪が起きるとは考えにくい。
権力の犯罪として公務員研修で見せてほしい。また、金子氏のような法律に疎い技術者に予め法的な教育をする機会を作ってほしいと思った。
ネスケ
秀作だ。でも私には合わない…。
予想をはるかに超えた良さ。ストーリーも面白い
Winniy事件の真相を知ることができた。
より善い社会を作るために戦った人々の記録
金子さんが逮捕された当時、私はまだ中学生だったので「何かすごいことが起こっている」というくらいの印象だったが、こんな壮絶な舞台裏があったとは。
日本の技術者の未来を、より善い世界を守るためにたくさんの人が(2ch住人も含め)戦っていたことを痛烈に感じた。
金子さんの純粋な想いもさることながら、檀さんはじめとする弁護団の正義感や使命感にもグッとくるものがあった。
金子さんと檀さんの関係性が被告と弁護人という関係から、互いを理解し合える友人に変わっていくところも素敵だと感じた。(思い出して目頭にくる)
あの弁護団じゃないと勝ち取ることのできなかった結末だったんだろうな。
新しいことに挑戦することの苦労と意義をとても感じるとともに、金子さんと檀さんに敬意を抱いた。
技術者や研究者には是非観ていただきたい作品。
ウィンナーじゃないほう
東出君が不倫で人民裁判に…ではなく、著作権法違反幇助で刑事裁判にかけられる話。国内の法廷ものとしては珍しく裁判のようすを時間を使ってしっかり見せている。阿曽山大噴火が傍聴席にいたのがリアル(笑)。権力を敵に回す姿勢も個人的には好ましく、警察の意向に沿ったマスコミ報道や組織内での空気読みなど、日本のクソな部分に対する吉岡秀隆の告発にはグッときた(その後どうなったのか気になったけど)。
一審有罪で終わり?と思いきや、続きはCMの後で…という締め方もよかった。警察の言うなりにホイホイ陳述を書いちゃう常識のなさとか、実際の金子勇を見て、この人はホントにただのギークだというのが伝わった。
ただし、2000年代前半の話なのに警察車両がY31型セドリックとかディテールの時代考証が雑でちょっと残念だった。予算がないのだろうけど。せっかく東出君や三浦貴大が増量までしてがんばっていたのに(三浦は素かも)。
キャスティング良し!
自分はこの事件のリアルタイムの記憶がない。まずそのことがショックだった。愛媛県警の裏金事件も並行して描かれる。こちらの方は記憶にあるけど、巧みな並走エピソード。
モデル出身のカッコいいオーラを封印してオタクプログラマーに寄せた東出昌大、熱血弁護士・本当にこういう人いそうな三浦貴大、横山やすし似?のカミソリ弁護士・吹越満、、、その他役作りに好感!皆んなが使命感に燃えて撮影に臨んだのではと思わせる。
主人公・金子勇の部屋のセットのリアリズムが彼の短命をすでに予感させていて、終始哀しかった。
秋田弁護士の刑事事件弁護士としての勝利への極意も非常に参考になりました。
今日は奇しくも袴田さんの再審請求が確たるものになりましたが、組織を守るために一体全体どれくらいの人々の人生、どれくらいの質と量の国力の源が葬られたのだろう。
もっと面白くなりそうなのに
もっと闇ありそう
天才プログラマーのドキュメンタリータッチ作品
出る杭が打たれても負けない時代となるために
はたして彼は英雄か?
同時代にネットをやっていたけど、2chに始まる、チョイアングラ系の文化の軽いのりは、なんとなく合わなかった。
そんな中で、2chに端を発したWinnyが世の中で喧伝され、日本のインターネット空間をみるみる蔽っていった。ネットを普段使わない人達がどんどんWinnyを使うためにネットを始めているのをみていると、やはり違和感を感じざるを得なかった。
この映画では、47氏(金子勇氏)の一途な技術的な興味に駆られてWinnyを開発してしまった様子が描かれていた。技術屋の悲しい性とでも言うような描かれ方だった。映画としては面白かったし、雑に扱われている印象もなかった。その点では映画として面白かった。法廷論争の流れも興味深いものだった。
Winny事件のウィキペディアでも書かれているが当時の空気として、47氏(金子勇氏)の開発動機は面白半分的な意図があったと私は感じていた。だから、天才・英雄として祭り上げることは少し違和感がある。(映画では、決して煽っているように描かれていない)
ただ、彼が立派だったことは、最高裁まできちんと争い無罪を勝ち取ったこと。もしこれがなければ、将来の技術者に禍根を残す事になってしまっただろう。
久しぶりに、2000年頃のPC、WindowsXPかな?を見ることが出来た。随分と遠くまで来てしまった感が否めない。
この戦いが無ければもっと日本は落ちぶれていたかもしれない
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