劇場公開日 2023年3月10日

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「金子氏に勇気づけられたというただの感想」Winny とびこがれさんの映画レビュー(感想・評価)

金子氏に勇気づけられたというただの感想

2023年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 金子勇氏のポジティブさに勇気づけられました。
 一連のWinny裁判やこの映画は、政府や警察ら公権力の古い体制に対して、怒りや悔しさ、恐怖、絶望、苛立ちを感じる話であります。それこそVIDEO NEWSの神保と宮台が「どうしようもないね」「オツムが足りない」と徹底的に批判するような(実際してる)話です。全く笑い話の余地はなく、金子勇氏の7年もの人生、立場や気力や名誉が奪われた最悪の話です。無茶苦茶な司法に人生を邪魔された袴田氏の件が映画になるとすれば、ただ苛立ち、無念さと自国の恥知らずさに俯くばかりと思います。
 しかし渦中の金子氏自身が、最高裁判決後の記者会見で「できるだけ前向きに。今できる最大限のよいことは何かを考えて、皆さん動くべきじゃないかと思います。」と仰った。怒りで何かを批判したり糾弾するより、よくしていくためにどうしたらよいのか、に脳みそを使おうと思えた。
 そんな金子氏が中心にいるからこそ、情熱的で前向きな映画が完成したのでしょう。
 警察に対して負の気持ちを抱く気にもならないですよ。
 関わった人間全員が敗者だった、とはWinny事件弁護団の言葉ですね。本当に、使わなくていい時間と金と気力体力を使って、何を進めるためでもない争いを7年続けて。そもそもソフト作っただけなのに。
 けれど嘆くより、今できる最大限のよいことは何かを考えようと思います。

とびこがれ