「面白かったー!」Winny snowwhiteさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かったー!
前情報全く無しでこの映画を観ました。冒頭から東出昌大演じる主人公金子勇さんの言動に違和感しかない状態で観てました。東京大学の先生がこんなに何も知らない筈がない、この脚本ひどすぎるとか思いながらに観てました。
が、しかし、最後になってこの映画が実話であることに気付きました。更にエンドロールでご本人登場で、あっ!この人知ってる、こんな裁判確かにあったわと、自分がこの裁判を知っていたことを思い出しました。
当時理系の息子にWinnyって知ってる?凄いの?と聞いたことまで思い出しました。
あの頃テレビで見た実際の金子勇さんは東出昌大さんが演じている程気持ち悪くなかったと思う。オタクっぽさはあるものの気持ち悪い人ではなかった。東出さんの演技はわざとらし過ぎるような…?笑
(ネタバレあります。あらすじ+感想)
開発中のWinnyという画期的なソフトの試験版が2チャンネルに公開され、それを悪用した犯罪が起きてその犯人2人が捕まる所から映画は始まる。
警察はWinnyの開発者の金子勇の所にも行き金子は取調べを受ける。
困るんですよねぇ。こういうものをばらまいて貰っては。貴方が犯罪を起こそうとしたんではないのですか?
色んな質問を受け帰らして貰えない中警察からある提案がなされる。
しょうがない、誓約書書いて貰えますか?もうこんな事はしませんってね。そうしたらすぐ帰って貰えますよ。
刑事は見本を持ってきてこの通りに書いてサインして貰えますかー!
書類の題名は誓約書ではなく申述書になっていて中身も自分が犯罪を助長するためにソフトを作りばら蒔きましたという内容になっているにも関わらず書き写してサインしてしまう。冤罪事件の始まりだ。
ここまで観てああこの映画は冤罪事件がどう起こっていって無罪を勝ち取るまでを描く映画なんだなと思ったがそんな単純な話では無かった。
弁護を受け持った壇弁護士の説明が分かりやすい。
ナイフで犯人が被害者を刺したという事件があって、犯人が悪いのは明らかなんだけど、じゃあこのナイフを作った人も有罪なのか?という問題だ。
世の中の為になると思ってソフトを作った金子。色んな人に試して貰ってバグ等の改良に努めようと2チャンネルにアップしたが、そのバグを悪用した犯罪が起こってしまう。
悪いのは悪用した人で作った人ではない筈。もしこれが罪になるとしたら、日本の科学者は研究できなくなる。それは日本にとって大きな損失だ。世界を変えることが出来るような天才なのに…。
テレビで裁判の報道を見ていた頃、ただの免罪事件だと思ってそこまで深く理解できていなかった。映画は色々と考えさせる作りになっている。
20代の若い監督であるが、言いたいこと伝えたいことがはっきりある監督だと思う。免罪事件を普通に取り上げただけでは弱いと考えて全く別の場所で起こった事件を絡めて描こうと思ったと言う。
その事件もWinny事件を調べている内にWinnyに関連があって見つけたものだったとの監督の映画後のトークショーでのお話が興味深かった。若い監督であるが非常に深く考えて色んな観点から自分の描きたいこと伝えたいことが伝わるように映画を作っておられるのに感銘を受けた。今後注目していきたい監督さんである。
映画後のトークショーが実に面白かった。
吹越満さん演じる弁護士はヘビースモーカーで火のついた煙草を持ったままあちこち指して話すのだがその演技が凄かった、凄いなあと見入ってしまったと東出。
どういうことかと言うと正面1台、左右2台のカメラで撮影しそれを何回か撮影して後で編集して繋ぐのだが、いい加減に手を動かしたのでは絶対に上手く繋がらない、不自然になってしまう。そこを吹越さんは計算して演技されてて、凄いなあと感じたと。もう僕じーっと見入ってしまいましたー!と。
煙草には火が着いていて手を動かす度に煙がすーっと後を引く。あれを後で繋いだ時不自然にならないような演技って凄すぎる。そんなことなど今まで考えたことも無かったけれどこれから見方が変わりそう。