劇場公開日 2023年3月10日

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「エンドロールで流れる実際映像の金子氏が最も印象強い」Winny moroさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5エンドロールで流れる実際映像の金子氏が最も印象強い

2023年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

未来の日本の若者たちのために、人生をかけて戦い抜く覚悟を決めた当事者たちの物語です。
いま観るべき題材で、見ごたえあるシーンもありますが、芯がつかみにくい構成演出だったのが残念です。

画期的なアイデアが形になったWinny。
Winnyが悪事に利用され社会問題に発展したことから、開発者の金子勇は罪に問われ裁判にかけられてしまいます。
このまま泣き寝入りしては新たなアイデアや技術にチャレンジできない社会になってしまうと、金子と弁護団は戦い抜く覚悟を決めます。

物語は二重の構成で、Winny事件の第一審をメインに、警察の不正問題をサブに、交互に展開されていきます。
この構想はよいのですが、メインとサブの繋がりがわかりづらく、効果的な演出ではなかったように感じます。

東出昌大が演じる金子のピュアさがとてもよいです。
人に優しくありたいとする言動、社会通念の通用しない突き抜けた個性、プログラミングに夢中になれる純真さがよく表れていました。
惜しかったのは、裁判を戦い抜くとする強い覚悟を感じられなかったことです。

エンドロールで流れる実際映像の金子氏は、愛すべき人柄はそのままに、日本社会への憂いと裁判にかける思いの強さが感じられました。
この激しさは、サブストーリーの仙波(吉岡秀隆)が補ってくれました。

弁護士たちもとても魅力的なキャラクターです。
裁判の戦略や尋問テクニックが語られるなどもあり、法廷ものとしても楽しめます。
特に秋田弁護士(吹越満)の尋問シーンは見ごたえがあります。

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moro