「「日の丸○○」の凋落と根っこは同じか」Winny penさんの映画レビュー(感想・評価)
「日の丸○○」の凋落と根っこは同じか
米国はおろか、世界的に見ても「デジタル後進国」に位置づけられてしまった日本。何故そうなったのか?については新聞でも割と分析記事を目にすることが多くなりましたが、①高齢化による利用層の厚みの減少と高齢者を大切にする国民性②スタートアップを支援する金融の仕組みの脆弱さ③社会のダイナミックな新陳代謝を嫌う同質性の高い国民性④国際標準からすると、かなり遅れた旧態依然たる司法制度等があげられるでしょうか。
これらは多分複雑に絡み合っているのだと思いますが、この映画は、際だった才能をもつ「出る杭」が、いかにこれら(特に③④)の中で抹殺されてきたのか、日本の開発者にいかに心理的圧迫を与えてきたのかを中心に描かれているように思いました。
監督はまだ30歳のようですが、裁判記録をすべて読み、実際に金子氏の裁判にあたった弁護士を監修者に迎え、法廷シーンを綿密に再現しているので、映像にとても説得力があったように思います。東出昌大が「純粋に世の中のためになりたい」気持ちと「自分を表現したい」気持ちに突き動かされる青年を好演しています。
「日の丸○○」相次ぐ撤退が報道されていますが、変化の激しい世界に経営が旧態依然としていて、変化に対応できていないのが要因といわれています。つまり根っこは同じなのではないか・・そんな気がします。
金子氏の努力で「自由な創発」に対する司法面の抑制要因は取り払われたようにも見えますが、善し悪しは別として、③④はそう簡単には変わらないでしょう。よりよい日本になるにはどうしたらよいのだろうか・・・いろいろ考えさせられる作品でした。
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