「「無邪気」と「バカ」は違う」Winny キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
「無邪気」と「バカ」は違う
私は、東出昌大という俳優のプライベートやらスキャンダルに関しては特にどうという感想もない側の人間ではあるが、少なくとも役者としての彼は「ど下手くそ」だと思っている。
まぁそう思って観る以上、そこに文句を言うのは筋違いだとは理解した上で。
この事件当時、私もこの裁判の動向には興味を持って見ていた記憶がある。
この作品が、金子勇という人物の功績や、彼や弁護団の活動によって守られた技術者達の自由・権利を、一連の事件においてまさに「被害者」でもある映画界が語ることには大きな意義があるとは思う。
脇を固める役者陣も渋い実力派だし、
警察権力との関連など、物語としても面白かった。
「じゃ、なんで主人公が東出昌大なのさ?」
やはりソコに至ってしまう。
あの特殊な背の高さ
あの特殊な顔の小ささ
あの特殊な甘いマスク(+童顔)
あの特殊な声
特にあの声(しゃべり方・トーン・音の高さ)は登場の瞬間からすごく違和感があった。
カメラ位置や猫背の姿勢などで身長もカムフラージュしてたけど、どう見ても普通じゃない。
「無邪気なパソコン少年がそのまま天才プログラマーになった」っていうキャラクター設定に、彼の容姿や声はものすごく邪魔になっている。
もう少し赤裸々に言うなら、申し訳ないけど私は今回の彼から「知性」を感じられないのだ。
「無邪気」と「バカ」は違うワケで。
最後に金子勇氏の当時の映像が流れて、ようやく納得する感じ。
「あ、なるほど。そういう感じの人ね。」
もちろん、この不適合の原因は東出昌大という俳優自身の責任ではない。
それを良しとした作り手の問題。
(…あと、私自身の問題…なんでしょうね。)
もう一つ言うと、女性登場人物の使い方。
あの法律事務所の女性が知らないことを起点にして、知識の補填の必要を担わせているのは何となく気になったかな。
こういう法的な知識や先端技術の話に「解らない→解説」という流れは当然つきものだけど、事務所の中年男性には「年齢」というエクスキューズが付くのに、女性にはない。
お茶くみの事務員さんだから?…でも話し合いにもちゃんと参加してる様だし。
事実ベースのお話なので、脚色が難しい部分があるのは解るけどね。