「リアルの凄さ」ダゲール街の人々 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルの凄さ
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街を紹介するドキュメントというとテレビの「出没!アド街ック天国」や地井さん、加山さん、高田さんと続く「散歩シリーズ」が思い浮かぶが本作は監督アニエス・バルダさんの興味の対象の選び方と編集のセンスが見どころでしょう。
アニエス・ヴァルダさんはベルギー生まれ第二次大戦を逃れてフランスに渡り後に映画監督になりヌーベルバーグの祖母ともよばれる才人です。個人的にも好きな監督さんで「幸福(1965)」の衝撃と映像美、遺作となった「顔たち、ところどころ(2017)」など印象深く思い出されます。
原題のDaguerreotypesは街の名にもなったルイ・ダゲールさん考案の銀板写真のこと、アニエス・バルダさんも元は写真家だったから興味を持ったのでしょう人々の撮り方もどこかポートレート風に撮っていました。
出てくる人はパン屋さん、仕立て屋、肉屋さん、香水屋さん等のご夫婦、楽器店の店員、運転教官などご近所さんらしい。いつどこから来たの、なれ初めは?とか皆に同じ問いかけ、お堅いドキュメントでは退屈と思ったのか街を訪れたマジシャンのショーを織り交ぜ、マジシャンの動作にリンクした街の人々の日常動作を繋ぐ古典的な編集も愉快でした。
登場人物で気になったのは香水屋さんの奥さん、他の人が快活に仕事や私生活を語るのに何故か言葉少なで憂いが漂っていましたね。何も説明はなかったですが監督も惹かれたのでしょう、撮影分量が多かったように思えます、普通のご婦人の表情が大女優の演技を越えるリアルの凄さを感じます。
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